うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

アガサ・クリスティ

「ハイコンテクストだからこそ意味を考えたくなるコンテンツ」について。

「ハイコンテクストすぎて意味がわからん」と途中で投げ出すものもあれば、「ハイコンテクストだからこそ意味を考えたくなる」ので、何度も通読して寝食も忘れて文章ひとつ、語ひとつの意味まで考えたくなる作品もある。 今回は後者の「ハイコンテクストだか…

【ドラマ感想】アガサ・クリスティ「青ざめた馬」 怪奇色強めのホラーミステリーの秀作。

NHKで放送されたアガサ・クリスティ原作のドラマ「蒼ざめた馬」の感想。 「蒼ざめた馬」か。随分、渋い選択だな。 ノン・シリーズものだし、クリスティの作品の中では知名度は余りないけれど、怪奇色の雰囲気が楽しめつつ、謎解きもしっかりしている。 何故…

「『考察とは何ぞや?』から始まる創作をどう読むか」についての持論

いま、ちょっと話題になっているので、「考察とは何ぞや?」についての持論をまとめておきたい。(あくまでこのブログにおける持論) 創作における神は「創作内でのみ機能する独自の法則性」 「考察」とは、物事を明らかにするためによく考え調べることだが…

「ナイルに死す」の新訳(黒原敏行訳)が欲しい&翻訳について思ったこと。

最近出版されたアガサ・クリスティーの「ナイルに死す」の新訳の訳者が、黒原敏行だった。 ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15) 作者:アガサ・クリスティー 発売日: 2020/09/11 メディア: 文庫 硬質な純文学を訳すことが多い、という…

ミステリーをメタ視点で読み解く面白さ「ロジャー・アクロイドは、なぜ殺される? ー言語と運命の社会学ー」を紹介したい。

アガサ・クリスティの代表作で、超有名なトリックが使われている「アクロイド殺し」を、物語の構造や言説、表紙や献辞を含めた本そのものの作り、クリスティが当時置かれていた状況や人生などから、多角的に読み解く、という非常に面白い本。 アクロイド殺し…

【小説考察】アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」の事件と犯人を細かく検証してみた。

*本記事には、アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」の重大なネタバレが含まれています。本編未読のかたは、本編から読まれることをお勧めします。 そして誰もいなくなった (クリスティー文庫) 作者: アガサ・クリスティー,青木久惠 出版社/メーカ…

アガサ・クリスティ原作ドラマ第四弾「予告殺人」が原作以上に面白かった。

www.tv-asahi.co.jp 毎年恒例になりつつある、アガサ・クリスティ作品をドラマ化した相国寺竜也シリーズ。 今年は「予告殺人」かあ、と実はいまいちテンションが上がらなかった。 余り好きじゃないんだ。 親族内・家内・地域内の箱庭的な人間関係、ある気づ…

アガサ・クリスティ「春にして君を離れ」は「他者性をはく奪する罪深さ」を書いた傑作だ。

この記事は以下のものの内容に触れています。ご注意ください。 アガサ・クリスティ「春にして君を離れ」「暗い抱擁」 北川悦吏子「半分、青い」 桐野夏生「メタボラ」 竜騎士07「うみねこのなく頃に」 読んだことがないかたは、この記事を読む前にぜひ読んで…

【ドラマ感想】アガサ・クリスティ原作/三谷幸喜脚本ドラマ「黒井戸殺し(アクロイド殺し)」

2018年4月14日(土)に放送されたアガサ・クリスティの有名作「アクロイド殺し」を原作にしたドラマ「黒井戸殺し」の感想。 原作・ドラマを未読・未視聴のかたはご注意ください。 www.fujitv.co.jp 黒井戸ときたか 安久路さんとかかと思っていたけれど、黒…

アガサ・クリスティ原作ドラマ「パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~」が予想と違っていたので感想を述べたい。

2018年3月24日(土)に放送された、アガサ・クリスティ原作「パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~」の感想を述べたい。*ネタバレ注意 www.tv-asahi.co.jp 実は余り期待していなかった。 正直なことを言うと、「鏡は横にひび割れて」に比べて、…

アガサ・クリスティ原作ドラマ「大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~」について、原作と比較しながら感想を述べたい。

2018年3月25日(日)に放送された、アガサ・クリスティ原作ドラマ「大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~」の感想及び、原作との相違点についてなどを語りたい。 www.tv-asahi.co.jp 原作及びドラマのネタバレをしています。未読未聴の方はご注意くださ…

【アガサ・クリスティーならこれがおすすめ!】数ある作品の中から、シチュエーションごとのおすすめをピックアップ

ミステリーの女王として名高いアガサ・クリスティーの作品群の中から、テーマやシチュエーションごとにおススメの作品を取り上げます。 *犯人とトリックはネタバレしていませんが、作品を紹介するに際して、多少中身に触れています。ご注意ください。 初め…

仲間由紀恵主演ドラマ「そして誰もいなくなった」を、原作と比較しながら感想を述べたい。

2017年3月25日(土)26日(日)に二夜連続で放送された、仲間由紀恵主演ドラマ「そして誰もいなくなった」の感想及び、原作との相違点についてなどを語ります。 第一夜 発売日: 2017/03/29 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 原作及びドラ…

ミステリーのホワイダニットの構造について&おすすめの「ホワイダニット」ミステリー

ミステリーで主要な謎である フーダニット(犯人は誰か?) ハウダニット(殺害方法は何か?) ホワイダニット(動機は何なのか?) であるが、ホワイダニットはどんな作品があるか?と考えたときに、とっさに思い浮かぶ作品が少なかった。 今回はこのホワイ…

【ネタバレなし】結末に絶対に驚く 犯人が意外なミステリー5選

ミステリーの醍醐味は謎が鮮やかに解明されること ミステリーの最も大きな醍醐味と言えば、 「最初に提示された謎が鮮やかに解かれる」 「なおかつ、その解答が非常に意外なもので驚かされる」 そのため大きなカタルシスが得られる点だと思います。 今回は物…

読むと三日はへこむが、それでも読んで欲しい、鬱本五選

「鬱本」とは、ただ暗く残酷な描写にされているのではなく、 「自分にも、こんなことがあるのではないか」 「自分にも、こんなところがあるんではないか」 そんな風に思わせる本です。 読むと落ち込むけれど、素晴らしい本であるためぜひ読んで欲しい「鬱本…

作家の才能のタイプを、独断と偏見で五つに分類してみた。

人にそれぞれ性格があるように、才能にもタイプがあります。 自分の才能はどのタイプかを考えることは、才能を伸ばす上で大きなヒントとなります。 今回は作家の作風や才能について、考えてみました。 ちなみに完全に、独断と偏見に基づいています。 職人型 …

クリスティー好き必見。「アガサ・クリスティー完全攻略」のご紹介。

アガサ・クリスティの全作品を読破した作者が、一作品ごとの批評と評価を語っています。クリスティ好きは手にとって絶対に損はない、おススメの評論集です。 著者のクリスティ愛がすごい。 本書の一番いいところは、溢れんばかりのクリスティへの愛を感じる…