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うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語ります。【ネタバレ前提です。注意してください】

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【小説感想】 「ぼっけえ、きょうてえ」 岩井志麻子

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「ぼっけえ、きょうてえ」恐いよりも、心が痛い話。

第六回日本ホラー大賞受賞作。

「ぼっけえ、きょうてえ」とは、岡山弁で「とても怖い」という意味だそうで、

いったいどれだけ怖い話なのだろうと読んでみたら、

恐いというよりも、めちゃくちゃ痛い話だった。

(精神的な意味で。)

 

よく、ネットで「人生詰んだ」という言葉を見ますが、

この小説の主人公は、生まれたときから詰んでいるというか、

生まれる前から、人生が詰んでいる。

 

知れば知るほど、苛酷で残酷な人生。

どこにも出口がない。

密閉された箱に詰め込まれて、土中に埋められたようなものだ。

 

「親なるもの 断崖」の主人公の梅に、若干境遇は似ているけれども、

それでも、梅はまだ三人の男性に愛されたり、子供も授かったり、

悲惨な人生な中にも光がありました。

(漫画「親なるもの 断崖」の感想はコチラ↓)

 

saiusaru.hatenablog.com

 

「ぼっけえ、きょうてえ」の主人公には、ひとすじの光すらない。

 

自分の人生の中でただ一人だけ優しくしてくれた巡査さん、

(別に個人的なつながりは、何もない。)

その人が客として来たら耐えられないから、

地元の遊郭ではなく他の遊郭に売ってくれ、と泣きながら頼むシーンは、

泣くのを通り過ぎて、吐きそうだったよ。

 

自分の中のただひとつの神聖なものが、

名前も知らない人のささやかな優しさしかない。

しかもそれを守るためには、泣きながら土下座しなければならない。

 

どんな人生だよ。

こんなに暗闇の中を這いずるまわるような人生でも、

生きているだけで素晴らしいと言えるのか?

こんな闇に閉ざされたような世界でも、生きていかなければならないのか?

 

「かわいそう」という言葉を、口にすることすらできない。

読み終わったあとはただただ衝撃を受けて、無言で本を閉じました。

 

最後の主人公の顔の秘密も、それ以前に虚脱状態だったので、

ただうすらぼんやりとした気持ちで読んでいただけでした。

 

こういう人生を送る人の前でも、

生きているということの意味を語ることができるだろうか??

 

ものすごく短い小説なのですが、そんなことを考えさせられました。

 

  ちなみに「インプリントーぼっけえ、きょうてえ」というタイトルで

映画化されていますが、拷問シーンが余りに残酷すぎて、

米国では放送禁止になったそうです。(-"-)