読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

うさるの厨二病日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語ります。【ネタバレ前提です。注意してください】

follow us in feedly

≪ドラマ≫ NHKドラマ「夏目漱石の妻」 第三回「やっかいな客」あらすじ&ネタバレ感想

ドラマ 過去のドラマ

【スポンサーリンク】

 

NHKドラマ「夏目漱石の妻」の第三回のあらすじ&ネタバレ感想です。

前回のあらすじ&ネタバレ感想はコチラ↓

www.saiusaruzzz.com

 

「夏目漱石の妻」第三回あらすじ

明治38年、雑誌「不如帰」に掲載された金之助の小説「吾輩は猫である」は評判を呼び、金之助は小説家「夏目漱石」として一躍有名になる。

金之助は大学の講師を辞めて、新聞社に小説家として就職する。

 

金之助のもとに、養父・塩原昌之助の代言人が訪れる。昌之助は現在、生活が困窮しており、金之助が書いた念書をたてに、自分の生活を援助するよう申し入れてきた。

金之助は断るが、昌之助は金之助と共倒れになるのも辞さない覚悟を見せて執拗にまとわりついてくる。

鏡子は現在の夏目家の当主である金之助の兄のもとを訪れ、金之助が塩原の家から夏目家に戻った経緯や、金之助と昌之助の関係などについて聞く。

昌之助が金之助を我が子同然に可愛がっていながら、金のために泣く泣く手放した経緯を知り、鏡子は昌之助に今まで貯めた全財産を渡し、念書を奪い返す。

昌之助はそれきり、夏目家にやってこなくなる。

 

平穏になった夏目家に、暴動が起きた足尾銅山から荒井という男がやってくる。荒井は社会主義運動にも取り組んでおり、足尾銅山の様子を金之助に小説にして欲しいと頼みにきたのだ。

 

 

第三回ネタバレ感想

前回に引き続き、重い展開だったのですが、前回が昼ドラ要素をぶちこんだかのような話だったのに対して、今回は百トンハンマーで殴られたかのような深い話でした。

人間が生きていくうえで避けて通ることのできない、他人との関係性についての話です。

「金に困ったろくでもない養父にしつこく絡まれる話」

とひと言で割り切れないところが、この物語の面白いところだと思います。

 

昌之助は、本当に金之助を愛し可愛がっていて、昌之助の存在がなければ金之助の子供時代はそうとう悲惨なものになっていたと思います。昌之助が金之助の人生において大きな存在だったことは、否定できないことだと思います。

しかしそんな風に愛した存在でさえ、自分が追い詰められれば利用しようと思ってしまう。

前回の鏡子の父親もそうでしたが、人間というのは誰もがそういう弱さや醜さを持っているのだと思います。

だからといって、醜くなり自分に害をなす存在に変質したから、その相手をスパッと切れるのか……というと、頭ではそうしなければと分かっていても、難しいと思います。

 

人間というのは「他人との関係性で成り立つ存在」だからです。

その相手を切り捨てるということは、その相手との関係性を否定することであり、その相手と関わった過去を否定することになる、という風にどうしても意識が働いてしまうと思います。(頭では、そこはイコールでつながらないと分かっていても。)

 

金之助が養父が去ったあとに言っていた「身内というものは厄介だが、自分が生きてきた証拠でもある」というのはまさにその通りだと思います。

どれだけ厄介な存在になろうとも、ある一時期はその人との関係性の中で自分の存在はあり、自分の歴史を築いてきた部分があると、関係性を完全に断つということは、自分で自分の手足を切り落とすのにも等しい行為だと思います。

ましてや、今は厄介な存在になりましたが、昌之助は金之助にとって、親が与えてくれなかった愛情を与えてくれた人物なのです。

さらに言うと、親というのは子供のときは世界の大半を占める存在ですから、その関係を断つのは子供だったころの自分を殺すにも等しい感覚だと思うんですよね。

 

「子供のとき辛い思い出しかなかった」ならば、親殺しの儀式を経て生まれなおす感覚を得ることもアリだと思いますが、子供の金之助にとって昌之助は愛情を与えてくれた存在です。なかなか、「今の自分にとって害になる存在だから切る」という風には割り切れないと思います。

 

こういうどちらが悪い、こうしたほうがいいという白黒では決して割り切れないテーマをうまく書ききった脚本と、各々の微妙な感情を全て演じきった俳優さんたちに拍手を惜しみません。

 

長谷川さん、尾野さん、竹中さんのそれぞれの演技は、まさに圧巻の一言でした。

特に竹中さんはパナマ帽をかぶり、貧困に追いつめられた狂気の演技からの、「不人情はどっちだ」と問い詰められて、自分の弱さと醜さを恥じ入りながら、それでもどうすることもできないといった演技が素晴らしかったです。

この三人の演技力が高水準で拮抗していたからこその、深く胸をうつ物語になったのだと思います。

あの展開は下手な人がやったら、爆笑もののコメディになっていたと思います。

 

こんな灰色の人間模様を、物語としてうまく収束させた脚本も素晴らしかったと思います。

鏡子と金之助は、自分たちができうる限りはお互いを思いやり、補い合おうとしていますが、どうしても分かり合えない部分もある。そういうリアルさが、不吉な予感のように見ている側にも伝わってきます。

素晴らしい回だったと思います。

 

ところでこのドラマ、脚本も俳優陣も素晴らしいのですが、演出が若干、おかしくないですか?

昌之助が学生たちと散歩しながら歩く金之助を見ているときのホラーみたいな演出は、殺人事件でも起こるのかと思いました。

あと、荒井が房子の手を握って走りだしたあのシーンで、あんなに明るいテーマソングを流すのはどう考えてもおかしいだろう、と見ながら突っ込みを入れてしまいました。

 

シリアスドラマになったり、ホラーテイストになったり、コメディ調になったり、「そのシーンでその音楽やアングルはおかしいだろう」ということがけっこう多いです。

まあ、そういう狂気じみたところが割と好きなのでいいのですが。

 

来週は最終回です。漱石の死までやるのかな?

虞美人草 (新潮文庫)

虞美人草 (新潮文庫)

 

 

坑夫 (新潮文庫)

坑夫 (新潮文庫)