うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

(小説考察)銀河英雄伝説:ロイエンタールがなぜ、反乱を起こしたか考えてみた。

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ただの一考察にすぎません。解釈は個人個人違うと思っています。

いま、手元に原作がありません。

  とりあえず、記憶を元にして書きますが、後で改めて書き直すかもしれません。

 

この記事は、田中芳樹氏の著作「銀河英雄伝説」の中の

登場人物オスカー・フォン・ロイエンタールが何故、反乱を起こしたのか

ということを考えながら、ロイエンタールについて語っています。

知らない人(記事、読むか?)は、ウィッキで調べてください。

 

 

ずいぶん前にネットで「なぜ、ロイエンタールが反乱を起こしたのかわからない」という

文章を読んで、「えっ???」と思った記憶があります。

 

その方の意見としては、

 ・戦力的に勝ち目がないことは分かっていたはず。

ロイエンタールは勝算がないとわかっていて、反乱を起こしたのか?

→反乱を起こさなければ、自分の身が危ういという状況でもなかった。

(総司令官のミッターマイヤーが身柄を保証するって言っているんだし。)

→勝てない戦いをするつもりはない、みたいなセリフも言っていたはず

→勝てないと分かっていて、反乱をするほど、ロイエンタールは馬鹿ではないはず

ロイエンタールはラインハルトの部下なのだから、

 元から反乱するつもりがなかったのならば、釈明するのがスジでは?

 

かなり、うろ覚えで申し訳ないのですが、だいたいこんな主張だったと思います。

完全に正論なのですが、なぜ、私がこの文章を読んで「えっ??」と思ったかと言うと、

ロイエンタールが反乱を起こした理由って、

論理性などまったくなく、完全に感情的な理由だと思っていたからです。

 

怒る方もいると思うのですが、

私はロイエンタールの乱は、痴情のもつれみたいなものだととらえています。

ロイエンタールもラインハルトも、公益そっちのけで私情に走りまくっています。

 

その方の論調としては、

「理知的な名将であるはずのロイエンタールが、こんな勝算のない反乱を成り行きのような形で起こすのはおかしい」

という感じでした。

確かになんで、こんな訳の分からない反乱を訳の分からない理由で起こしたのか、

ということは、地の文で書かれていないのですが、

わたしはロイエンタールというキャラは、もともとこういうキャラだと思っていました。

 

なので、このときのロイエンタールの行動に、まったく違和感を感じません。

そういう人がほとんどだと思っていたので、

ロイエンタールが、こんな反乱を起こすのはおかしい」

という意見に、びっくりしました。

 

「なぜ、ロイエンタールがこんな行動を起こしたのか」

ということに関して、前提として思うのは、

ロイエンタールという人は、実はかなり感情的なのではないかということです。

ビッテンフェルトのように、感情のふり幅が大きく表に出やすい人、という意味ではなく、

「行動を決めるときに、理性と感情がぶつかったとき、感情を優先させる人、

しかもその感情の量が、人よりもかなり多い人」

実は、そんな人だと思っています。

本人が思っているよりも、情が深い人なんだと思います。

 

なぜ、そう思うのかというと、やっていることも言っていることも矛盾だらけ(全然、理性的でも論理的でもない)だからです。

そもそも、ロイエンタールを語るうえで外せない、

「赤ん坊のときに、母親に片目をえぐられそうになったから、女性嫌いになった。

でも漁色家」

この設定からして、文章にしたら無茶苦茶じゃないですか。

英伝以外の世界にいたら、間違いなく

 

「ただの重度のマザコンじゃねーか」

 

って突っ込まれていますよ。

ミッターマイヤーはまったくそんなことを考えず、

エヴァちゃんをかばうことだけを考えていますが。

 

なぜ、オーベルシュタインと反目するのかという理由も、

ミッターマイヤーが考える場面がありましたが、

ミッターマイヤーは自分の場合は気質的なものだが、

ロイエンタールはラインハルトを取り合っているんじゃないか(超意訳)と予想していました。

わたしはさらに底を掘って、なぜ取り合うのかという理由を考えた場合、

この二人(ロイエンタールとオーベルシュタイン)は、超似た者同士だからなのだと思います。

 

この二人は感情の量が人よりも多く、

基本的には感情を行動原理として動いています。

感情が抵触しない事柄については理性で動いているし、

しかもその理性や知性も常人以上なので、

一見すると、理性的な人に見えるだけなのだと思います。

オーベルシュタインはロイエンタールよりも、感情に抵触する事柄が少ないので、

(意識して、少なくしているのだと思います。)

矛盾が少なく見えるだけです。

オーベルシュタインがゴールデンバウム王朝を滅ぼす理由が、

野心でも保身でも、社会改革でも理想の実現でもなく、

 

「個人的な憎悪」ですよ??

 

憎悪で、宇宙の半分を何百年も支配してきた帝国を滅ぼそうとするんですから、

よく考えたらすごい話ですよね。

 

ロイエンタールを見るときは、

ミッターマイヤーという観察者を通して見ることが多いのですが、

疾風ウォルフは戦場では名将でも、人間観察については今いちです。

ポイントはそこじゃないだろう、と常に突っ込みたくなります。

肝心な部分までくると、「考えても仕方ない」みたいに、考察をやめちゃうし。

本当はたいして興味がないんじゃ……とすら、思います。

 

というわけで、ロイエンタール(やオーベルシュタイン)と言った、

複雑な陰影を持つキャラに関しては、本人も含めて誰も説明してくれないので、

読者にはその内面がかなり分かりにくくなっています。

みんなオフレッサーのようだったら、分かりやすいのですが……。

 

銀河英雄伝説ではこの二人だけが、別の物語の登場人物のように複雑なキャラです。

ヤンもこの二人に比べれば、別に複雑な人物だとは思いません。

思考回路も行動原理も「ヤンへの尊敬」という一点しか持たない、ユリアンのようなキャラもいるし。

というかそういうキャラのほうが多い。

銀河英雄伝説は娯楽小説なので、「キャラクターが単純」というのは、

別に欠点でもなんでもありません。

複雑ではなくても、キャラクターは全員魅力的だし、ストーリーもとても面白いからです。

 

「溢れんばかりの感情を、普段は理性と知性でコントロールして行動している人」

として見ていくと、

ロイエンタールというキャラは比較的わかりやすいです。

 

なぜ、ロイエンタールが反乱を起こしたかと言うと、

 

「やってもいないことで、頭を下げたくない」

「自分がラインハルトに勝てないのか、試してみたい」

 

結局はこの二つだと思います。(作中で本人も言っていましたが)

改めて書いてみると、ひどいな。

いい年した社会人が言うことかよ、と思います。

ラインハルトも「そんなに俺に頭を下げるのが、嫌か」

とか言っていましたしね。どっちもどっちか。

 

銀河英雄伝説を初めて読んだのは、中学生のときです。

当時は、ロイエンタールのそういう矛盾している割に、えらそうなところが嫌いでした。

(なんだ、こいつ???と思っていた。)

大人になってから分かりました。

男の人が持つ、強さと弱さと美学を全開にしたキャラクターだったのですね。

そりゃあもてますわな。

 

でも、オーベルシュタインのほうが好きです♪