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うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語ります。【ネタバレ前提です。注意してください】

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「思い出のマーニー」って怖くないですか?

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スタジオジブリのアニメ映画「思い出のマーニー」って怖くないですか?

 

あの映画ってひと言でいうと、

「杏奈教」だと思うんですよね。

 

主人公・杏奈のためだけの世界。

杏奈を中心に世界がクルクル回り、

登場人物はみんな、主人公・杏奈との関係性だけでキャラが成り立っている。

 

大岩夫妻は、杏奈に優しいからいい人。

信子は、杏奈のトラウマに踏み込んだから悪い子。

杏奈のことを気遣ってお祭りに誘ったり、浴衣を貸したりしたのに、

親子そろって、空気の読めないデリカシーのない奴らみたいな扱いになっている。

 

わたしは「目が青い」と言われた杏奈よりも、

「デブ」とののしられたこの子のほうが心配なのだが、間違っているのだろうか……。

しかも、大岩夫婦は杏奈に「気にするな」とか言うし。(;゚Д゚)

 

いや、なんで暴言を吐いた側の杏奈をいたわるんだよ。

自分の感性がおかしいのかと不安です。

 

信子は「杏奈のトラウマに触れる」という、杏奈教における重罪を犯したので、

「太っちょブタ」と罵られるくらい当然みたいです。

恐るべし、杏奈教。

聞いてもいないトラウマも、察しなければいけないみたいです。

 

他にも血のつながっていない子供を一生懸命育てても、

助成金や支援金を受け取ると、「おばちゃん」と呼ばれたりします。

涙を流して反省して謝るまで、許してもらえません。

 

思うのですが、金銭的な支援を受けないで生活が苦しいために、

家に余りおらず、昼夜を問わずに働いて寂しい思いをさせると、

それはそれで「おばちゃん」と言われたりするんだと思います。

 

どちらにしろ、北海道まで行って、涙を流して反省して謝らなければなりません。

恐るべし、杏奈教。

 

マーニーも杏奈のことを寂しがらせたので、

幼いころからさんざんな目に遭い、

最後には娘と喧嘩別れをしたままになるという罰を受けます。

(時系列はおいておいて、物語の構造上、そうなっているという意味です。)

 

何ですかね? 

この物語には、杏奈が幸せになるまで、

杏奈以外の人間は幸せになっちゃいけないというルールでもあるんですかね??

 

この世界の中心に自分がいるのが当然という発想、

対象となるひとりの人間から存在を認められることで、

いきなり自己実現してしまうという物語構造、

 

映画「思い出のマーニー」って、少女漫画とまったく同じ作りなんですよね。

 

自分のことを認めてくれる人間が「男」じゃなくて、「祖母の若いころ」なだけです。

 

ふつうの場合女性は、他の女性もいる中で、こういうことをやってしまうと、

どれほど迫害されるかということを実人生で知り尽くしているので、

これほどあからさまにはやりません。

 

なので、通常、少女漫画では、

ライバルのいいところも申し訳程度に描写して、後々和解してみたり、

自分の味方である仲のいい友達には、幸せをおすそ分けしたり、

たまにあて馬的男子に振られたり、

(それよりもっとハイスペックの本命男が現れるので、まったく無問題ですが。)

そういうことを通して、

「ほらね。わたしばかりが得をする、わたし中心の世界じゃないよ」

というエクスキューズをするのですが……。

 

そういうことが分からない男性が、少女漫画風味の物語を描こうとすると、

これほど自己中心的な物語になるのか、

という衝撃を受けました。

 

(たまに女性漫画家でも、

主人公に自己投影をしすぎて同じ轍をふんでいる人がいますが。

青○琴美、新條○ゆ、北川○ゆきなどが代表格です。

少女漫画なのに女性に評判が悪いのは、

プリンセス願望が、あまりにあからさますぎるからだと思っています。)

 

自分がお姫様なので、自分のために世界があって当然。

他人は自分との関係性の中でしか、存在意義がないと当たり前に考えている。

 

本当に恐ろしいです。

どこの国の独裁者だよ。

 

しかも、男性が描いているせいか、

この物語の根本にあるプリンセス願望の発散のしかたも、どこかピントがずれています。

杏奈に自分を投影してみても、そんなに楽しくもなく、

結果、

 

一体、何のために誰のために存在している映画なんだろう???

 

という疑問が今だにぬぐえません。

 

プリンセス願望を持った主人公に迫害されるか、

あからさまにプリンセス願望をむき出しにして、他の女性から迫害されるか、

その二者択一しか存在しない「思い出のマーニー」は、

主にとっては、戦慄を禁じ得ないサイコホラーです。