うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語ります。【ネタバレ前提です。注意してください】

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【福本伸行原作】土曜ドラマ「銀と金」が最終回を迎えたので、感想&総評を熱く語りたい。

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土曜ドラマ「銀と金」が最終回を迎えたので、全12話の感想及びドラマ全体の総評を語りたいと思います。

第一回を見たときの感想はコチラ↓

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ポーカー編を見終わった段階での、くっそうるさい文句はコチラ↓

www.saiusaruzzz.com

 

「原作よりもいいのでは」と思う部分が多々あった。

上記の「こうるさい文句」とは矛盾していますが、「原作よりもいい」と思う部分が多々ありました。

第一に、脚本の改編の仕方が上手かったです。

 

安田、船田、巽のキャラの変更

脚本で一番いいと思ったのは、この三人のキャラ変更です。

原作は三人のキャラにそれほど差がなく、特に船田と巽はモブとほぼ変わりありません。船田って、セリフありましたっけ?

巽の女体化に関しては色々と物議を醸したようですし、自分も最初は気になりました。

 

ただ女性にすると、「女性である」という一事だけで船田・安田とキャラ分けできるし、使い勝手も大幅に広がります。

例えば「麻雀編」。

漫画と違い、ドラマでは麻雀のルールなどもセリフで説明しなければなりません。ドラマでは巽が「麻雀のルールをよく知らない」と言って、船田に説明を求めています。

このシーンは巽が男性だと「裏社会に精通している男が、麻雀のルールを知らないのか?」と不自然に感じますが、女性で店を経営している情報屋という立ち位置のキャラだと不自然さが軽減されます。

感覚的なものですが、こういう「自然さ」というのはすごく大事だと思っています。

原作を読んでいない人にも、視覚的に「強面が安田で、若いのが船田で、女が巽」とすぐに区別がつきます。

 

絵画編で川田の役割を船田に代えたのもよかったです。

川田はすごく好きなキャラですし、森田と川田の別れのシーンは福本漫画屈指の名場面だと思っているので残念な気持ちもあります。でもドラマの放送時間が限られていることを考えれば、あの役割を船田に差し替えたのは英断だと思います。

 

原作の船田と巽は「いるだけキャラ」ですが、ドラマのこの三人はそれぞれ個性がきちんと出ています。

安田は「アカギ」の安岡と見分けがつかない、福本漫画定番の「説明おっさんキャラ」なので、原作の三人にはほとんど興味が持てませんが、ドラマの三人はこの三人でもドラマが作れるのではないかと思うほど個性的です。

演じていたマキタスポーツ、臼田あさ美、村上淳もキャラにぴったりでよかったです。

 

俳優陣の演技がすごかった

ドラマで一番いいと思ったのは、出演していた俳優さんたちの演技が素晴らしかったことです。

「ポーカー編」で西条を演じた大東駿介さんも良かったですが、「麻雀編」で蔵前を演じた柄本さんもすごかったです。

 

蔵前は福本作品に一人は出てくる「巨額の資産と権力を持つ、倫理観のねじ曲がった金持ちの老人」で、漫画的なキャラなのですが、柄本さんはとてつもなく深い闇を抱えた人物として非常にうまく演じていました。

 

福本伸行の作品は魅力的なセリフが多いのですが、それはすべて漫画ならでは、のセリフです。

ドラマでセリフとして喋ってしまうと、とんでもないものになってしまうのではないかと見る前から心配していました。

一話を見た段階では「漫画的なセリフはぜんぶ削るのかな?」と思っていましたが、蔵前の印象的なセリフはほとんど脚本に入っていてびっくりしました。

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(引用元:「銀と金」福本伸行 双葉社)

 

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(引用元:「銀と金」福本伸行 双葉社)

 

この二つもだいぶ驚きましたが、一番驚いたのはこれ。

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 (引用元:「銀と金」福本伸行 双葉社)

 

「ヘル・エッジ・ロード」言っちゃうんだ?!!

 さらに驚いたのは、こういうセリフがまったく漫画っぽく聞こえなかったことです。

 

リリーフランキーや柄本明の演技を見て思ったのは、「狂気性」などの非日常的なインパクトの強いもの(キャラであろうとセリフであろうと行動であろうと)は、むしろサラッと演じたほうがいいんだということです。

「ここ!! ここがこの登場人物の特異なところですよ!!」

っていう演技をやられると、完全に漫画になってしまいます。

 

「ポーカー編」の大東俊介の演技も良かったですが、蔵前のような「ザ・漫画」というキャラクターをここまでリアルに落とし込める、それでいながら個性はむしろ漫画よりも際立っている柄本明の演技に脱帽しました。

こういうものを見ると、俳優って、演技ってすごいと思います。

 

話の都合上、余り出番がなかったリリー・フランキーですが、最後の最後は全部さらっていったなという印象です。

「運命に対する冒涜云々」のシーンも、演技が控えめなところが良かったです。

ベテランの俳優は、引き算の演技が上手いですね。

抑制された静かな演技で逆に存在感を際立たせられる、そういうベテラン俳優陣の底力が銀二や蔵前の凄みにつながっている、というメタ構造がよかったです。

 

まとめ&「有賀編」について

ドラマ「銀と金」は「脚本の上手さ」「演技のすごさ」というものが改めて感じられる、とても上質なドラマでした。

原作と比べてどうこうではなく、ドラマにはドラマにしかない良さがありました。

原作の大ファンである自分も、三か月間、楽しく見ることができました。

面白いドラマをありがとうございました。

 

Amazonプライム限定で、第13話「有賀編」がやるらしいですね。すごい好きな話なので見たいのですが、プライムに入るのはちょっと…悩みどころです。

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