うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語るブログ。

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「NHKクローズアップ現代+ 2兆円超のアニメ産業 加速するブラック労働」を見て、アニメ業界の今後が心配になる。

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www.nhk.or.jp

 

6月7日(水)に「クローズアップ現代+ 2兆円↑アニメ産業 加速するブラック労働」が放送された。

 

伝統的な下請け構造で、末端に利益が還元されない。

「アニメ業界は長時間労働低賃金のブラック業界だ」とは聞いていたけれど、番組内で放送された現状は想像以上にひどかった。

一番の原因は、業界が下請け構造になっていること。

出資する企業でつくられる制作委員会に版権や二次利用の権利があり、末端のアニメーターはもちろんのこと、制作委員会から出資を受ける制作会社にすら、グッズなどの売り上げの利益は還元されない仕組みになっている。

 

日本の産業は下請け構造の業界が多いけれど、利益がある程度予測できる中で「下請けへの支払いはこれくらいしか出せない」というのならば(かろうじて)分かる。

 

ただアニメ業界の、作品が爆発的にヒットしても、その利益が末端にはまったく還元されない仕組みはやはりおかしいと思う。

どんなに作業が早い人でも、一日20枚しか仕上げられない絵の一枚の単価が200円。単純に計算すれば日給4000円。週6日働いたとしても、月収が10万円前後では暮らしていけない。

どれだけアニメが好きで業界に飛び込んでも、こんな現実では辞めてしまう人が多いのも分かる。

アニメーターの平均年収は、一人ならばかろうじて生活できるという範囲の333万円。「結婚している人は、アニメーターの上位2割くらい。何かを犠牲にしなければ続けられない仕事」というのは尤もだ。

 

若者が「やりがい搾取」されている現状。

この仕組みがなかなか変わらない理由は色々とあるようで、ひとつはこんな現状でも「好きだからアニメ業界で働きたい」という人が後を断たないことだ。番組では「やりがい搾取」という言葉が使われていたが、まさに「代わりはいくらでもいるから使い倒す」という発想だ。

だがこれから働き手はどんどん減っていく。どの業界でも人手不足になりつつあるのだから、人がいる今のうちに構造を変えておかないと「クールジャパン」どころではないと思う。

人材を育てるどころか、人材を使い捨てている現在の環境を見ると、これから海外に文化として発信できるアニメどころか、それなりに面白いと思うアニメが見れなくなるのではないか、という不安さえある。

 

ビジネスの視点を持つことが急務

番組でもうひとつ取り上げられていたのは、アニメ業界に所属する人にはビジネスとして物事を考えたり、交渉事が苦手な人が多い、ということだ。

製鉄会社というまったく異種の業種からアニメ制作会社のCEOになった人は、作業の進捗率を可視化したり、作業能率を高めるために配置転換を繰り返したりしたが、「工場みたいでイヤだ」という声も多かったそうだ。

「コスパを考えることや能率化よりも大事なことがあるのでは?」というのは、多少ともクリエイティブな面のある仕事ではありがちな課題だとは思うけれど、それが精神論や根性論「好きな仕事なのだから、時間や給料など関係なく頑張って当たり前」という意識につながっているのでは、と思う。

 

効率化は創造性と対立するものではなく、効率化することによって作品の質も高まるし、業界全体の待遇も向上して、いい作品を生み出す土台作りができる。そういう考えかたを浸透させられる人が、どんどん出てくるといいのではと思う。

アニメ愛に依存した精神論は、すでに限界にきているように見える。

 

宅配業界なども発注元の通販会社の言うことを全て聞くのではなく、やった仕事に対しては正当な対価を要求する、仕事がもらえるからと言って無理な要求は受けつけないなど、伝統的な下請け構造も少しずつ変わってきている。

アニメ業界も制作会社が連携して、出資企業に交渉したり、フリーランスのアニメーターでも入れる労働組合を作るなど色々できそうだけれど。(この辺は、やっているかもしれないが。)

 

出資会社は一本に絞って、それこそ広告はこの会社に、書籍化はこの会社に発注するなど制作会社が仕切ることも難しいのだろうか。

出資会社を一本に絞ることについては、番組中で「ひとつの会社だけの出資金を増やすことは、他の会社との兼ね合いがあって難しい」と言っていたので、巨額すぎて一社では出せないというよりは、他の会社との足並みを乱すことが慣例的にできない、というニュアンスだった。

 

業界内部のことは全然分からないけれど、すごく微妙な答えかただったので、この辺りが一番の問題なのかなと何となく思った。

 

業界全体のことを考えないと、アニメ産業自体が危うくなると思う。

まったく業界の事情を知らない自分でさえ、「この構造を何とかしないと、アニメ産業自体が将来的には危ういんじゃないか」と思ったので、現場の危機意識は相当だと思う(変えなくては、という気持ちは伝わってきた。)

 

最近見た「鉄血のオルフェンズ」や「無限のリヴァイアス」も本当に面白いアニメだった。

複雑な人間心理やテーマなどを描いていて、「大人が観ても面白い」どころか、大人が観ても色々と考えさせられる作品だった。世界中の人が熱狂するのも尤もだと思う。

そういうアニメをこれからも見たいので、タコが足を喰っているに等しいこういう現状を何とかして欲しい。

 

面白いアニメを見て、「自分もこんなアニメが作りたい」と夢見て飛び込んだ若者が、月収10万円前後、一日10時間労働月の休日4日の環境で使い倒されて、半年ももたずにやめていくような業界に未来があるわけがない。

どの業界にも言えることだけれど、そういう未来まで考えて自分が関わる組織や業界を育てるのが、上に立ち力を持つ人の責任だと思う。

 

結局、日本のアニメ、マンガは儲かっているのか? (ディスカヴァー携書)

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アニメビジネスがわかる

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最近Amazonプライムビデオで見た「鉄血のオルフェンズ」と「無限のリヴァイアス」。特に「鉄血のオルフェンズ」はすごく面白かった。

こういうアニメが面白かったから、今回見てみようと思った。

www.saiusaruzzz.com

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