うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語ります。【ネタバレ前提です。注意してください】

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【PS4版】エロゲじゃないと売れないの? 「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」

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PS4版「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を購入。

PS4でリメイクされた「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」をプレイしている。

「アドベンチャーゲームの傑作」の評価にたがわず、とても面白い。

 

サターン版は、友達にすすめられたけれどプレイしなかった。

サターン版が発売されたとき、友達に「すっごい面白いよ」と言って薦められた。その友達は「 EVE burst error」と「EVE The Lost One」も貸してくれた。

当時は今ほどアニメやゲームの認知度がなかったので、アニメ絵で元々はエロゲとして発売されたゲームをやるのは抵抗があった。

エロゲの存在自体は否定しないけれど、それならば本当にエロだけを目的としたもののほうがまだしも潔い(?)のではないか、という考えがあったのだ。

 

いま思い返してみると「 EVE burst error」はとても面白い物語だった。

それに対して「EVE The Lost One」は、ミスディレクションが下手くそすぎて、「かまいたちの夜」と「かまいたちの夜2」のように、似ているようで比べものにならない出来だったが、当時の自分はアダルト要素が一切なかった「EVE The Lost One」のほうが好きだった。

 

友達は「YU-NO」と「デザイア」も貸してくれると言ったが断った。

「アニメやエロでプレイヤーを釣るなんて邪道だ。アドベンチャーゲームなら『スナッチャー』や『ポリスノーツ』みたいに、クールで媚びない感じのほうが好きだ」

という謎の自意識もあった。

比べるものでもないのに。まさにナチュラルボーン厨二。

ただずっと気になっていたので、PS4版のキャラデが好みだったこともあり、購入してみた。

 

「A.D.M.S」もいいけれど。

「YU-NO」が語られるうえで、真っ先に上げられているのが「A.D.M.S」だ。他のアドベンチャーゲームだと目に見えない分岐点やルート表を可視化したシステムで、単純にこれを埋めていくだけで面白い。

分岐を見つけて道がつながったマップを見ているだけで楽しい。

スキップシステムすらなかった(確か)「ダブルキャスト」には、こういうシステムを取り入れて欲しかった。(途中で挫折した。)

 

すごく評判がいい「A.D.M.S」だけれど、自分が「YU-NO」で最もいいと思った点は別にある。

 

「YU-NO」は、脚本がいい。

男性向け女性向け問わず、ハーレムもののゲームは数あるけれど、こういうゲームでは物語はキャラクターを攻略する過程で生まれる副産物に過ぎないことが多い。本筋の物語は皆無であるか、ほんの申し訳程度のものでしかない場合のほうが多いと思う。

必然的に攻略されるキャラクターは、主人公との関わり以外、ほとんど普段の生活もそれ以外の人間関係も感じさせない。

要するに「攻略されるためだけに存在するキャラクター」にしか見えないのだ。

 

だから恋愛的性的な欲求を刺激されない、女性向けのゲームを男性がプレイしたり、男性向けのゲームを女性がプレイしても、多くの場合面白いと感じないことが多いと思う。

下手をすると、自分と同性のキャラクターをプレイヤーの欲求を満たす道具としてしか見ていない視点に、不快感を覚えかねない。(そういう視点しか感じないゲームは、男性向け女性向け問わず自分は余り好きではない。)

 

「YU-NO」は元々はエロゲとして発売されたけれど、リメイク版をプレイしている限りでは目的がエロであるようには感じない。

もちろんラッキースケベや物語の流れの中でのエロシーンは出て来るのだけれど、それはあくまで物語の中の一要素に過ぎない。

「ゲーム・オブ・スローンズ」でも裸や過激な性的シーンはバンバン出てくるけれど、別にエロを目的としたドラマではない。

それと同じだ。

 

「YU-NO」には「男の欲望を満たすためだけに、一方的に女性を性的に消費する」視点が一切ない。

プレイヤーの分身となる主人公たくやのキャラクターに、それがよく表れている。

こういうハーレムものの主人公は男女問わず、「平凡な主人公がこんなに都合よくモテるわけないだろ」というご都合主義な設定が多いのだが、たくやは女性にモテるのがすんなり納得できる。

 

また女性キャラクターも「主人公に攻略されるためだけに存在する」人形のようなキャラではない。

背景も人物像も丁寧に作りこまれていて、ちゃんと主人公とは関係ない自分たちの人生を生きている。

それぞれのルートで、そういう女性キャラとの関係性がきちんと描かれているので、ルートごとに相手が入れ替わってもご都合主義の展開に覚えやすい白けや不快感をまったく感じない。

 

そのルートではその相手のことを、主人公が常に必死になって思いやっているからだ。

時にはそれほど必死になって相手の女性を思いやってもうまくいかず、主人公の気持ちが踏みにじられることすらある。

主人公に自分を投影して欲求を満たす装置のはずなのに、こんなに必死になっても報われない思いを疑似体験させるのか、とびっくりした。

ちなみに亜由美ルートのバッドエンドの話だ。

たくやに感情移入しすぎて泣きそうになった。

何でだよ、亜由美さん!

 

エロゲを作りたかったのか、エロゲじゃないと売れないと思ったのか。

なぜこのゲームをエロゲというジャンルで売り出したのか、不思議なほどだ。

こういうエロゲを作りたかった、という自負があったのかもしれない。

そうではなく、当時は今よりゲームの購買層が狭かったからエロゲじゃないと売れない、という事情があったのかもしれないとも思う。

確か「マヴラブ」でそんな話を見たような気がするけれど。

 

前者ならば作りたくて作ったのだからまったく構わないのだけれど、後者だったら時代もあったとはいえ、もったいなあと感じる。

エロゲだと、どうしても購買層は限られる。年齢制限もあるし、特に女性はそれだけで興味を失くす人もいるだろう。

 

「YU-NO」はゲームとしてもとても面白いし、物語は謎が多く面白いし、恋愛描写は下手な少女漫画よりもずっとキュンキュン♪♪出来る。

これが男性に受けているならば、意外とキュンキュン要素を感じる部分は男女に差はないんじゃないだろうか、と思った。

 

旧版からのファンの中には「エロがなきゃダメだ」という人もいるのかもしれない。

長くファンをやっている人には思い入れもあると思うけれど、自分はこれだけ物語が丁寧に作られているなら、リメイク版は全年齢対応で出しても良かったんじゃないかと思う。

やや難解な設定も、新しい世界に引き込まれていく楽しさも、主人公の人を真っすぐに思う気持ちも、気持ちが伝わらない辛さも、性差を問わず中学生から大人まで楽しめると思う。

女性でも中高生でも十分楽しく遊べると思うから、その購買層を切ってしまうのはもったいないと思ってしまうのだ。

 

いま思えば、そう思ったから友達も貸してくれようとしたんだろうな。

Mちゃん、すまなかった。

EVE Burst error R - PS Vita

EVE Burst error R - PS Vita

 

「EVE」は、リメイク前の絵のほうが好きだなあ。