うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語るブログ。

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【ネタバレあり】PS4「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」ストーリーのまとめ&感想

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先日、「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」をクリアした。

 とてもよくできた物語で、今でも「ADVの最高傑作」として名前を挙げる人が多いのもうなずける。

元々はエロゲだけれど、PS4版だと描写がだいぶマイルドになっているので、エロに対して相当抵抗感がある人以外にはおススメしたい。

 個人的には女性にも、ぜひやって欲しい。

 

ネタバレなし感想にも書いたけれど、ハーレムものにありがちな「女性を性的にしか消費しない」「攻略されるためだけに存在する紙人形のようなキャラクター」しか出てこず、同性だと楽しむどころか不快感を感じかねないようなゲーム、ではない。

恋愛描写などは、むしろ女性向きのような気さえする。絵も可愛いし(旧作ファンの方には申し訳ないけれど、絵はリメイク版のほうが圧倒的に好き)女性キャラは同性から見ても、個性的で好感が持てるキャラが多い。

 

現世編はね。(フラグ)

 

以下、エンディングまでのストーリーのまとめとネタバレ感想。

ネタバレなし感想は下記をどうぞ。

【PS4版】エロゲじゃないと売れないの? 「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」

 

 

「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」ストーリーまとめ

高校三年生の有馬たくやは、父親で歴史学者の広大を亡くし、広大の再婚相手・亜由美と二人暮らしをしている。

たくやが通う高校の理事長であり父親の研究仲間だった竜蔵寺から、父親から何かを託されていないかとしつこく問われる。

 

自室の引き出しで「リフレクター」と呼ばれる装置と父親のメモを発見したたくやは、「今夜十時に剣ノ岬へ行け」という手紙の内容に沿い、剣ノ岬に向かう。

そこで金髪に緑の瞳の女性を発見するが、彼女はたくやの目の前でいきなり消えてしまう。

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(「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」©MAGES.)

驚くたくやの前に、亜由美を連れた竜蔵寺が現れ「リフレクター」を渡すよう脅され、銃を突きつけられる。

その時、地震が起こり辺りは光に包まれて、たくやは気を失う。

 

気が付くと、彼は一人で剣ノ岬に倒れていた。竜蔵寺も亜由美も金髪の女性も、どこにもいない。

訳が分からないまま家に帰り、朝を迎える。

 

翌朝出会った竜蔵寺も亜由美も、昨晩の出来事をまったく覚えていない。

それは異なる事象が起こっている別の次元に移ることができる「リフレクター」の力だ、とたくやは思い至る。

「時間とはひとつの流れしかないわけではなく、別の事象が起こった別の次元も存在する。時間自体は可逆性があるが、起こった事象(歴史)は不可逆的なものだ」

それが広大の説明だった。

たくやが別の次元に移っても、彼が元の次元で行った出来事は「歴史」として積み上げられていく。

 

亜由美が勤める「ジオ・テクニクス社」は、境町の地下に眠る「超念石」と呼ばれる石を掘り出そうとしていた。

広大は生前、この境町には、有史以前に存在した文明の痕跡が眠っているのではないかと考えていた。

 

たくやは剣ノ岬で地下に眠る遺跡を発見し、そこから現世とは別次元に存在する世界「ジオ=グラント」に飛ばされる。

「ジオ=グラント」で口のきけない少女セーレスと結ばれ、一人娘ユーノをもうける。

セーレスは、巫女の職務を放棄して帝都から逃げてきた身だったが、帝都からやってきた追っ手に暴行を受け、死んでしまう。

たくやは復讐を誓い、ユーノを連れて帝都に向かう。

途中でユーノとはぐれたたくやは、レジスタンスの一員であるアマンダと知り合い、共に帝都にたどり着く。

 

帝都を治める神帝は、竜蔵寺が銃を向けてきた事象世界の亜由美だった。謎の光に包まれた彼女は、五年前に「テラ=グラント」にやってきた。

神帝である亜由美の口から、この世界の真実の姿について説明を受ける。

 

この世界は非常に高度な技術を持つ「先住民」が住んでいた地球であり、彼らは隕石が地球にぶつかることを予測したために、自分たちが住んでいた大陸を別次元に移動させた。以降「テラ=グラント」は、次元の狭間をただよう世界となる。

次元の狭間を漂うテラ=グラントは、四百年に一度、たくやたちがいた「現世の地球」に近づく。そのときに地球とテラ=グラントの住民の行き来が可能になる。

たくやの実の母親・恵子も四百年前にテラ=グラントからやってきた人間だった。

 

四百年に一度起こる「テラ=グラント」と「現世」との衝突を回避するには、巫女である女性が「テラ=グラント」のマザー・コンピュータ「テラ・グランディア」と意識をシンクロさせ、「テラ=グラント」の航路をコントロールするしかない。

 

巫女であったセーレスが死んだいま、巫女の資格はユーノにある。

成長した姿でたくやと再会したユーノは、亜由美からすべての事情を聞いており、衝突を回避するために「テラ=グランディア」と意識をシンクロさせ、事象のかなたへと旅立つ。

その衝撃でたくやは再び、現世に戻ってくる。

最初に出会った金髪の少女は、次元の狭間を漂う存在となったユーノが一瞬、現世に現れた姿だった。

彼女と再び同じ時間に出会ったたくやは、ユーノと共に次元の狭間を漂うことを決意する。

 

 ネタバレ感想

 

*注意。「異世界編」については、かなり辛口な感想です。

 

以前「ネタバレなし感想」で「YU-NO」のいい点として、ハーレムものにありがちな「存在意義が主人公と恋愛するためだけで、主人公や物語の都合のみで動く、紙人形のようにペラペラな設定のキャラクターが出てこない」と書いた。

 

男性向け女性向け問わず、ハーレムものだと「主人公を好き、という属性しか持たないキャラ」というのは本当に多い。

時には作者の願望が露骨に投影されていて、そういうキャラが織りなす物語を見るのは、主人公に共感できない場合は苦痛でしかない。

 

「YU-NO」は基本構造は恋愛ゲーにも関わらず、恋愛相手となるキャラクターが作りこまれている。「主人公との関係性だけがアイデンティティ」のようなキャラは一人もいない。

キャラ固有のルートにおける相手役以外の女性は、主人公に恋愛感情を抱いていないので、主人公が異様にモテる不自然な状況にもなりにくい。(例えば神奈ルート以外だと神奈はほとんど主人公に絡まないし、美月ルート以外の美月は、元カレである主人公への感情を完全に吹っ切っている)

 

またそのルートでは主人公は常に相手のことを一途に思いやり、心を通わす過程もしっかり描かれているので、どのヒロインでも主人公と結ばれることがすんなりと納得がいく。

主人公の義母で、主人公の父親の広大のことを愛している亜由美など、本来であれば主人公を好きになる展開に疑問しか浮かばないと思う。しかし「YU-NO」では、亜由美ルートで二人の交流がきちんと描かれているので、自然と二人を祝福したくなる。

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(「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」©MAGES.)

「髪まとめ眼鏡」「髪おろし眼鏡」「髪おろし眼鏡なし」とあらゆるパターンが楽しめるのが亜由美さんの魅力だ。

 

性的に奔放で「父親の広大とも寝たことがあるから、息子の主人公とも寝てみた」とのたまい、常に自分の利益を追求し、最終的には主人公を利用し陥れる香織など、むしろあっぱれなキャラだと思う。

決して情には流されず、冷酷なほど打算的で、自分の目的のみを追求するその姿勢は、同性から見ると清々しくさえ見える。

自分の利害関係から外れた場所では、豊富を告発するための写真をくれたり、「ムカついたから」と言って豊富を殴ったり、ただ利害のみで生きているわけではないところもいい。

 

こういうキャラたちだから交流をして恋愛をする物語が楽しいし、一見別々の話に見えながら、様々なルートを行き来して謎を解いていく爽快感もある。

「このアイテムがあれば、このルートをクリアできるのか」

「このアイテムはここで使うのか」

「ここはこうつながっているのか」

と謎が解けて、先に進むたびにテンションが上がる。

自分がループすることによって、この人を、この子を救えた、という手ごたえもある。

 

現世編はね。(二回目)

 

まさか、ネタバレなし感想で現世編の良い点として挙げた箇所を、綺麗にやらかしている異世界編が待っているとは思いもしなかった。

異世界編は、女性キャラの扱いが本当にひどい。

「主人公をただ好きになり、物語を動かすためだけの紙人形のようなキャラ」がほとんどだが、特にひどいのはセーレスだ。

 

可愛い女の子が初対面からいきなり好意を持ってくれ、自分がいくら冷たくあしらっても自分のことを思いやってくれ、特に心の交流も見られないのに何故か結ばれ、可愛い娘を産んでくれて暴行されたあげくに自殺する。

結局、彼女がなぜ、巫女の役目を放棄して逃げ出したのか、テラ=グラントの危機についてどう思っていたのか、主人公のことを具体的にどう思っていたのか、ということは何ひとつ語られない。セーレスの内面など必要ない、と言わんばかりだ。

物語に必要がある「主人公を会った瞬間から好きになり、結ばれて、娘を産んで死ぬ」という役目だけを早回しで果たしただけのキャラだった。

セーレスに与えられているのは「真のヒロインであるユーノを産む」という役割のみだ。

 

主人公は「セーレスの復讐のため」に神帝に会いに行くが、セーレスの死を悼んでいるような描写は余り見られない。

ユーノが寝ているところでサラと関係を持つだけでも信じられないが、その時にセーレスを思い出す様子も、彼女に罪悪感を抱いている様子も見られない。

セーレスの死は兵士たちに暴行された果ての自殺、という衝撃的なものだったが、主人公はあっという間に吹っ切ってしまったようだ。

 

またアマンダと結ばれたときも、自分がクンクンを無理させた揚げ句に死に追いやり、しかもその死体を食べたという直後の話だが、あっという間にクンクンのことは忘れ、アマンダのことを慰めている。

「ものすごいショックを受けた」という描写の直後に、すぐに立ち直って別のことで頭がいっぱいになるために、「主人公の頭の中身は、どうなっているんだ?」という疑問が浮かんでくる。

こういうキャラが人格が分裂したような整合性がとれないことをやり出すときは、たいていが「物語の都合にキャラの動きを合わせているとき」だ。そういう予定調和的な事象の羅列ほど、見ているほうをうんざりさせるものはない。

 

ユーノも「親子だから好きで当たり前」「徹頭徹尾、主人公が大好きで一番大事」よりも、色々、感情の波や関係性の変化、ネガティブな出来事もあって、心の交流を描いたうえでのこのラストのほうが絶対に感動すると思う。

亜由美編の生存ルートが「良かったあああ」ともらい泣きしそうになるほど感動したのは、その前に亜由美のために必死に奔走してもその思いが届かなかった死亡ルートを経験しているからだ。

その思いを積み上げて事象を変える力にする(「時間は可逆であるが、歴史は不可逆」)というのが、この話でやりたいことだと思うのに…異世界編は、そういった要素が全くない。(システム的にではなく、発想として)

 

近親相姦自体は創作物だから別に気にならないけれど、ユーノがなぜ主人公に恋愛感情が持つのかとか(自分の世界の常識は教えたんだよね?)主人公がなぜ特に慌てもせず、ほとんど葛藤もなしにそれを受け入れるのかとか、何の説明も描写もないので、見ているほうはまったく共感できない。

予定調和みたいにやられると「こういう話が作りたかったんだな」くらいの感想しか思い浮かばない。

ちゃんと見ているほうを感情移入させて欲しい。その努力くらいはして欲しい。

近親相姦は主人公にとってもタブーのはずだから、そのタブーを乗り越える過程とかユーノをなぜ女性として意識したのかとか、葛藤とかがないと、「この主人公は、女なら娘だろうと何だろうと誰でもいいのか」「結論ありきの話だね」という感想しか思い浮かばない。(その前に、サラやアマンダとの絡みがあるから余計そう思う。)

そういうことをこの話で描きたかったわけじゃないよね? たぶん。

 

「YU-NO」は、女性キャラの幾人かが「主人公が好き、という属性しか持たない紙人形のようなペラペラなキャラ」でも、主人公が「二重人格か?」と思えるような切り替えがすさまじく早い言動をしていても、物語の骨格自体はとても面白いので、異世界編もそれなりに楽しめる。

「現世編の謎が解かれる解答編」という役割の面白さも大きい。

「現世編の面白さ」の貯蓄が大きいので、多少、話がご都合主義的になっていても、お釣りがくる。

 

異世界編も現世編のような作りにしてくれれば、すさまじく面白かっただろうなと思うと残念で仕方がない。

これについては、制作者である菅野ひろゆき自身がそう思っていたというのを読んだので、予算や制作期間など色々な制約がある中では仕方がなかったのかもしれない。

「成体として再会したときに、ユーノが記憶を失っている」など、主人公とユーノの関係性をもう少し掘り下げるつもりだったのではないか、という箇所がそこかしこに見受けられるので、この記事で指摘している部分も重々承知のうえだったのだと思う。

 

「事象自体何度も巻き戻せても、そこで感じたことや誰かのためにやったことは、失われず積み重ねられていく」っていうことがやりたかっただろうし、だからこの物語はいつまでも「傑作」と言われるのだろう。

トゥルーエンドだけを何もせずに見せるなんて、不本意だったのかもしれない、とは思う。生きていれば、完全版を出して欲しかったなと思うけれど。

異世界編も、「A.D.M.S」でルート攻略ができる「YU-NO」をやってみたかった。

 

まとめ

ループものは今では非常に多いけれど、その背景の世界観まで整合性をとって考えられ、ただ自分にとって楽しい可能性を追求するのではなく、一個一個のバラバラのルートが最終的には一本道で機能する、というこの物語の仕組みを考えただけで、すごいアイディアだと思う。

自分がこのアイディアを初めてみたのは、有名なあの作品だけれど、もしかしたら「YU-NO」のフォロワーだったのかもしれない。

 

ループものの中で原点となりうる上質なものを見たという意味でも、単純に面白いゲームをだったという意味でも、プレイして良かったなと思った。