うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

「Return of the Obra Dinn」をクリアしたので、感想&考察。

消息不明になった船の乗員乗客60名の身元と生死を調査し、船に何が起こったのかを推理する「Return of the Obra Dinn」をクリアした。 www.saiusaruzzz.com 面白かった。 個人的には脳トレのイメージがある。ほどよい頭の体操がやりたい、と思う人にオスス…

ブラックボックス化した事件の経緯を解き明かす。「Return of the Obra Dinn」が面白すぎる。

1802年、60名の乗客乗員を乗せてロンドンから出発したオブラ・ディン号が海上で消息を絶つ。60名の乗員は誰一人帰ってこなかった。 五年後の早朝、無人のオブラ・ディン号がロンドンにたどり着く。 一体、オブラディン号に何があったのか? 乗員たちはどうな…

【小説感想】ミステリー×民族学×幻想×ハイデガー 奥泉光「葦と百合」

*ネタバレ注意。 葦と百合 (集英社文庫) 作者:奥泉光 発売日: 2014/11/07 メディア: Kindle版 (あらすじ) 学生時代、自然と共生するコミューン「葦の会」に入って音信が途絶えた恋人と友人のことを思い出し、式根はその跡地を訪れる。 しかし「葦の会」…

【漫画感想】南波あつこ「青夏 Ao-Natsu」の今後をこんな風に予想。

南波あつこの「青夏-Ao Natsu-」全8巻を読んだ。 高校一年生の理緒が、夏休みに祖母のいる田舎に行き、そこで地元の高校生・吟蔵に出会う。ひと夏の恋の話。 *以下ネタバレあり。 青夏 Ao-Natsu(1) (別冊フレンドコミックス) 作者:南波あつ…

奥泉光「ノヴァーリスの引用」アンチミステリの皮とかぶった精神的な殺し合いに厨二が瀕死の重傷を負う。

ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫) 作者:奥泉 光 発売日: 2015/04/26 メディア: 文庫 天気がいいから散歩していたら、突然横からきたダンプカーにはねられた。 どうせいつかは通る道だから、もしくは通ってきた道だからと言っても読みたい気分のときに読…

奥泉光「滝」別解。「松尾犯人説」を考えてみる&まとめ

ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫) 作者:奥泉 光 発売日: 2015/04/26 メディア: 文庫 どこまでやるんだという感じだが、せっかくなのでとことん考えてまとめてみた。 感想その1。 www.saiusaruzzz.com 感想その2。 www.saiusaruzzz.com ミステリー風に…

奥泉光「滝」の自分の感想を読んだらまったくしっくりこないので、もう一度考え直してみた。

www.saiusaruzzz.com 書いた直後から「いやでも、ちょっと違うんじゃないか」という気がしていた。 何だかピンとこない。 この話は「神」がすごく重要な要素なのに、上の感想ではすっぽり抜け落ちている。そういう話なら、巡礼者ではなく普通の登山者でも成…

【小説感想】他人に自分の悪を引き受けさせ、狂わせる人間の恐ろしさ 奥泉光「滝」

罠と悪意にからめとられ、極限状態に追いつめられていく少年たちの心理を緻密に描き出した傑作と名高い「滝」(裏表紙紹介) 滝 作者:奥泉 光 メディア: 単行本 あらすじ とある宗教団の若者組の少年五人は修行の一環として、山岳の七つの神社を二泊三日かけ…

「かぐや様は告らせたい」19巻のカップル論争に参戦したい。

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 19 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) 作者:赤坂アカ 発売日: 2020/07/17 メディア: Kindle版 (引用元:「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」19巻 赤坂アカ 集英社) 基本的に「公式で固定され…

【小説感想】我孫子武丸「修羅の家」 「『モチーフにしている事件のほうを語りたくなる』という感想になってしまう」ところがどうなのか。

*ネタバレしているので、未読の人は注意。 *「殺戮にいたる病」のネタバレもしています。 修羅の家 作者:我孫子武丸 発売日: 2020/04/14 メディア: Kindle版 面白かっただけに、ちょっと残念。 帯を見たら、「殺戮にいたる病」を読んだことがある人はすぐ…

ウソップ視点で見た「ワンピース」みたいな話=「選ばれていない人」視点の話について。

主人公が最強でない作品 「ウソップが視点人物のONEPIECE」みたいなのが見たい つまり、ずっと一貫して弱ペダやバキみたいにならない作品 あるいは主人公に特殊な能力がほとんどないかあっても劇中世界では凡人に近いレベル。(イシドロ視点のベルセルクと…

【漫画感想】人間には意味がわからない恐ろしさ「畏怖」を抱かせる傑作 中山昌亮「後遺症ラジオ」

*ネタバレがあり。 ここ最近では一番の掘り出し物だった。 自分が考えるホラーの理想形なので、ホラーが好きで読んだことがない人には推したい。できれば、多くの人に読んで欲しい。 ただ「神に憑かれる話」なので、ホラーの中でも「畏怖系」が苦手な人には…

天城一の密室分類で「かまいたちの夜」を考えてみた&雑談

*本記事には「かまいたちの夜」の重要なネタバレが含まれています。 かまいたちの夜 発売日: 1994/11/25 メディア: Video Game 天城一の密室犯罪学教程 (宝島社文庫) 作者:天城 一 発売日: 2020/07/04 メディア: 文庫 「天城一の密室犯罪学教程」を読んでい…