たまにネット上で見る、「演技がうまい」とはどういうことを指すのか、という疑問に、自分なりに答えてみます。
理屈ではなく感性の問題なので答えようもないのですが、せっかくですので頑張って答えてみます。
この記事は、自分は「こういう人が演技がうまいと思うだが、他の人はどう思うのだろう?」という方を想定して書いています。
たまに見る、
「演技の上手い下手なんて、そもそも存在しない。その俳優が好きか嫌いかじゃないの??」と本気で思っている方は、個人的にはドラマや演劇を観ることに向いていないと思います。
言葉を選ばずに言えば、おそらく「人間」という生き物にさほど興味がなく、日常生活でもそれほど他人のことを見ずに生活していると思います。
別に演技の上手い下手が分からなければ生きていけないわけではないので、その辺りはもう気にせず、他のことに興味を向けることをおススメします。
演技の上手い下手を言葉で表すと・・・。
①静止画だと同じ顔なのに、動画で見ると演技者と役柄がどう見ても別人である。
②その役柄が出てきてしばらく話すと、その役柄の性格や生い立ち、考え方などが見えてくる。(一人の人間として、どういう人間なのかが分かってくる。)
自分が、その俳優さんが「演技が上手いか下手か」を判断する大きな基準は、この二つです。
演技者と役柄の人物が同じ画面に出てきたことを想定したとき、顔はまったく同じでも別人と感じるかどうか。
上手い俳優さんは、喋り方、仕草、人との目線の合わせ方、全てがその役柄に合ったものとして一貫しており、その役柄が社会でどんな立場にあり、今までどんな環境で生きてきたどんな人間であるかを、一瞬にしてこちらに感じさせます。
最近では、おしゃれイズムからドラマ「ゆとりですがなにか」に連続して出た柳楽優弥がすごく分かりやすかったです。
素の柳楽優弥は、恐らく人見知りで人と余り視線を合わせません。
若干、挙動不審で、普段話している声は、小さくて張りもないです。
「ゆとりですがなにか」で演じている道上まりぶとは、まったくの別人格です。
「真田丸」に出ている大泉洋さんも、うまいですね。
大泉さんが真面目で堅物な役をやると聞いたときは、ご本人の人柄とも今まで演じた役柄ともかけ離れているので、「大丈夫か」と思ったのですが完全に杞憂でした。
大泉さんが演じている真田信幸は、現段階で20代半ばの設定だと思うのですが、大泉さん自身がお子さんもいる43歳一児の父であるにもかかわらず、真田信幸は、強くて偉大な父がいて、まだ父親を越えられずにいる20代の青年にちゃんと見えます。
仕草や声の出し方、感情の表し方、抑え方、人の接し方、距離感、物事に対する反応などで、自分と違う年齢の役柄を演じていても、その年齢のその役柄の人に見えるのです。
こういう演技を見たときに、「役者さんは、すごいなあ」と思います。
木村拓哉問題
演技の話が出るときに、よく出る木村拓哉についてです。
「何を演じても木村拓哉」とよく言われますが、自分はこれは違うのではないか、と思っています。
木村拓哉は、ドラマで「木村拓哉」を演じることを求められているのだと思います。
「ビューティフルライフ」の柊二にしても、「グッドラック」の新海にして「HERO」の久利生にしても、「プライド」のハルにしても、全部、木村拓哉にしか見えないのは、役名が変わるだけで、中身は木村拓哉であることが求められているからです。
木村拓哉はその製作者サイドの要望を、忠実に実行しているのだと思います。
そういう意味では、やはりたいした人だなと思っています。
福山雅治もこのタイプです。
このタイプは、役柄に自分を合わせるのではなく、自分に合った役柄を用意してもらうことで輝きを放つタイプだと思います。
カリスマという名の怪物
たまに「演技の上手い下手」とかいうこととは、別次元にいる怪物が存在します。
「いや、棒読みだし、演技は絶対下手なんだけれど、何故か見てしまう」
こういう人は、後にも先にも窪塚洋介だけです。
「IWGP」も演技でいえば、佐藤隆太のほうが絶対に上手いのに、恰好よさでいえば、長瀬智也のほうが絶対に恰好いいのに、窪塚洋介が出てくると、そっちを見てしまう。
何なんでしょうね、あの魔力は。
役柄がキング牧師のキングだからか??
とも、思うのですが、「ロングラブレター・漂流教室」をみていたときも、相変わらずの棒読み演技で、おまけに歌まで下手でしたが、それでも窪塚洋介が出てくると見てしまいます。
ロングラブレターは山田孝之や山下智久なども出ていたのですが、ぜんぜんそっちには目がいきませんでした。
あの魔力が錯覚だったのかを確かめるために、ぜひまたドラマに出て欲しいです。