うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

≪ドラマ≫ 「モンタージュ 三億円事件奇譚」 感想

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 6月25日(土)26日(日)二夜連続で放送されたドラマ「モンタージュ 三億円事件奇譚」の感想です。

 

主演の演技に頭にきすぎて、ドラマの内容どころではなかったのですが、せっかくですのでドラマの感想を書きたいと思います。

 

主演フクシソウタサマの演技についての感想はコチラ↓↓

【閲覧注意】クソみそに罵っていますので、ファンの方は、閲覧は自己責任でお願いします。

saiusaru.hatenablog.com

 

演技については、これだけ言ってもまだ気が納まらないので、もう言うのはやめておきます。

 

ただ、「真田丸」のホームページを見に行ったら、北条氏直役の細田善彦さんがインタビューで、

 

「氏直を演じるにあたり、まずは口調は姿勢などを意識しながら、“どのように怒るか”ということを考えました」

「一口に“怒る”と言っても、その表現のしかたはたくさん種類があります」

 

って、語っているんですよ。

北条氏直は「真田丸」の中では、チョイ役ですよ。

歴史上の北条氏直への一般的な評価も、北条家は三代目まで聡明で、四代目(氏政)が凡庸、五代目(氏直)は暗愚なんていうひどいものです。

 

そういう役でさえ、こういう真摯な姿勢で挑んでいる人がいるんですよ。

 

演技もとても印象的なものでした。

この人、「ライフ」で佐古克己を演じていた人みたいですね。

余りにうますぎて「気持ち悪い」と話題になったみたいです。(自分は漫画しか読んでいないのですが。)

ぜひこういう方に、大きな役は演じて欲しいです。

 

かなり無理がある企画

「モンタージュ」は原作の漫画あるのですが、全5巻くらいの内容なのかな?と思っていたら、全19巻全193話らしいですね。

それを四時間のドラマに収めるのは、かなり無理がないか?と思っていたら、原作未読組でさえ、無理くり感を感じる内容でした。

脚本がとにかく駆け足なうえに、予定調和感が満載なんですよね。

話の骨子は面白いので、連ドラでじっくりやって欲しかったなと思います。

 

予定調和感とご都合主義が満載な脚本

主人公大和と幼馴染の未来が学校からの帰り道に、通学路の壁についている血痕を見つけ、その先に瀕死の元刑事・東海林を見つけることから、全ては始まります。

まだ、開始五分くらいですが、ここでもう突っ込みどころが満載です。

その通学路は、人がけっこう歩いている真昼間の普通の住宅街なんですよ。

「血痕」もちょっと地面にそれらしき染みがある、とかではなく、壁一面にべったりついているんですよね。

 

いやいや、他の人がすぐに気づくでしょう。

 

たぶん、東海林が主人公に「お前の親父は、三億円事件の犯人だ。誰も信用するな」と言うために、待っていて、犯人はそれを大和に伝えさせないために殺したんだとは思うんですけれど、そもそも東海林は、何で大和の顔を知っていたのだろう?とか、東海林はなぜ、大和に警告を与えたのだろうとか色々頭の中に「?」が浮かびます。

 

そもそも東海林は、なぜ川崎雄大が三億円事件の犯人だって知っているんだろう?

 

とかね。

東海林も三億円事件に関わっていて、親父に騙されたとかそんなところかな?? と思っていました。

恐らく、後編で全てが分かるのだろう、そう思っていたのですが……、

東海林は、不良たちを思いやるただの気のいい刑事だった。

 

何やねん、それ。

 

何で、ただの気のいい刑事が、三億円事件について調べているんだよとか、大和に警告を与えた時点では、雄大はまだ失踪していないのだから、親父に接触しないでなぜ、息子に接触したのか?とか、

結局、関口があの日あの場所で東海林を殺して、大和がそれを発見したのはぜんぶ偶然だったのかとか(全部、偶然?!)

もう、このワンシーンだけで、山のように「?????」が思い浮かぶですが、この辺は、何の説明もなく終わります。

結局、東海林さんは何がしたかったんでしょう???

趣味で、三億円事件を調べていたのでしょうか???

 

このドラマは、この現象に象徴されるような出来事の連続です。

未来の両親は、大和の父親の剣道着から三億円の隠し場所のメモを見つけて、娘にも誰にも何も言わずに、釣り船を予約して軍艦島に向かおうとして、その途中で沢田の手の物に捕まったのだと思うのですが、なぜ、そんな都合のいいタイミングで捕まったのか??とか、

沢田は未来の両親がメモを見つけて、

軍艦島に向かおうとしていることがなぜ分かったのかとか、それは沢田が自分の娘一家を常に遠くから見守っていたからだ、としたら、大和と未来のことも当然知っているのだから、両親がいなくなったあと、未来があれだけ危ない目に合っているのを何で放置していたのかとか。

 

細かい点はすべて投げっぱなしなんで、視聴者が設定を思い浮かべて話をつぎはぎして脳内補完するしかないんですけれど、どうにもこうにも納得のいく説明が思い浮かばないんですね。

 

唯一、筋が通る説明が、関係者全員が真相を全部知っていて、予定調和的に動いているだけ。それがこのドラマです。

ひどいな……。

 

東海林元刑事が死ぬ間際に言った「誰も信じるな」っていうセリフも、主人公の二人が繰り返し言うんですけれども、その割には、誰も彼もすんなり信じるんですよね。

幼稚園児が遠足のときの注意事項を、復唱しているレベルですよ。

で、これも何でそんなに簡単に信じるかっていうと、「そうしないと話が進まないから」なんですよね。

物語(作者)の都合だけで、登場人物が不自然な行動をし、偶然ばかりが起こる物語って、本当に見ていて萎えます。

 

後編は面白かった

ご都合主義だらけの脚本を棒演技の人が朗読するという、地獄のお遊戯会の前編を見終わり、後編は割と楽しく見られました。

「地獄のお遊戯会」って、乱歩の小説みたいだな。

 

雄大の幼馴染の慎ちゃんが沢田慎之助と判明した辺りから、物語の謎にぐっと引き込まれました。

ただ、結局事件の本当の黒幕は誰だったのかとか、須黒とは正確には何者だったのかとか、そのへんがかなり消化不良でした。「学生運動の摘発を強化する口実を得たい」だけで終わってしまうと、かなり弱い気がします。

いくら三億円が当時の価値で三十億円と言っても、三十億円程度のお金目的で国家権力が犯罪を企むとはとても思えないし。

さらに真の目的があるとか、その裏で真の陰謀が蠢いているとかでないと、今いち納得がいきません。

原作の漫画は、このあたりもきっちり描かれているのでしょうか。

 

あとは1968年の沢田慎之助が、愛情もあって理想も持ついい人なんで、いくら色々とあったとはいえ、現在の沢田慎之助と余りに結びつかないです。

 

この辺りのピンとこない部分は、ぜんぶ原作には描かれているのだろうと納得するしかありません。

複雑な物語を四時間のドラマにまとめなくてはならなかったのは大変だったと思いますが、それにしても余りにずさんだし、原作に対する愛がいまいち感じられないところが残念でした。

 

よかったところ

一番よかったのは、遠藤憲一さん演じる関口の、狂気と悲しみに満ちた人生です。

関口はサイコパスな殺人狂ですが、ただそれだけの人間じゃない魅力がありました。

捕まった夏美の頬の血をぬぐう仕草とか、「頭がいいね」っていう言い方とか、怖いんだけれど、ぞくぞくするような魅力がありました。

関口のスピンオフがやったら、見ます。

関口と主人公たちが戦うときは、一生懸命、関口を応援していました。

 

福士蒼汰が米兵に殴られたシーン、なんか面白くて笑っちゃいました。

あと、最後に唐沢寿明演ずる川崎雄大が「軍艦島に住む」って言い出した時、実況スレでいっせいに「世界遺産ですけど」って突っ込まれていて笑いました。

 

原作があるものをドラマ化や映画化するときは、やはりそれ相応の敬意と愛を持ってやって欲しいなと思います。

原作の宣伝程度のつもりで作ったのならば、これでいいのでしょうけれど。

 

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