「死幣」第一話 あらすじ
七咲学院大学経済学一年生の主人公・南由夏は、父を早くに亡くし、母が世界中を飛び回る仕事をしているため、妹の小夢と二人で暮らしている。
ある日、小夢から奇妙な話を聞く。
「お金が欲しいと望む人のもとに現れる死幣。死幣を使うと、福沢諭吉の顔に染みが広がっていき、使った人は世にも残酷な死に方をする」
同じゼミに所属する友達の郁美と連絡がとれなくなり、心配して郁美の家に向かう由夏。そこで、首をつって窒息している郁美の死体を発見する。
第一発見者である由夏は、郁美を殺した犯人ではないかと刑事の若本に疑われる。
由夏のゼミの先輩である三浦智志は、就職活動をしているが、「貧困層に無利子でお金を貸し付けたい」という理想を持つため、就職先がなかなか決まらない。
就職の面接では「自分で起業してみればいい」と言われ、同級生には「夢みたいなことばかり言っている奴が、内定をとれるはずがない」と陰口を叩かれる。
「起業したいが、そのための金がない」と悩む智志が、自宅のクローゼットを開けると、見たこともない空間が広がっていた。
壁にも床にも天井にも、大量の壱万円札が入ったご霊前の袋が隙間なくはりつけられていたのだ。
その金を使って、智志は起業する。
そして、自分の会社の事務所に由夏を呼び出して、交際を申し込む。
交際を承諾した由夏の目の前で、智志は、倒れかかってきた騎士の模型の剣に胸を貫かれて絶命する。
第一話感想
話が展開は早いうえに、ものすごく分かりやすいです。
「そんなに分かりやすくしなくてもいいのに」
というくらい、とても分かりやすいです。
智志が就職志望先の面接で、「あなたと話していても時間の無駄だ。そんなに理想を追いかけたいのならば、起業でもしたら?」と言われたり、刑事が単独行動をしていて、任意同行でもないのに、葬式で大勢の人の前で「刑事が捜査をして何が悪い」「(主人公に対して)お前が殺したんだろう」と言ったりね。(おいおい。)
エンターテイメントでは、「分かりやすさや展開の早さ」と「リアルさ」、どちらを優先するかというのは、常に作り手の頭を悩ませる問題だと思います。
このバランスの配合がエンターテイメント(特にドラマ)では、良作か駄作かを分ける生命線だと思います。
第一話を見た段階では、主題がホラーとはいえもう少し「リアルさ」が欲しいかなあと思いました。
智志が死んだときは、怖がるよりも笑ってしまいました。
おおっそうか、あの鎧はそのためのものだったんだ。フラグが分かりやすすぎ。
由夏もあんな変な鎧を見て、「こいつやべえ」って思わないんですかね。
いくら一話で死ぬ登場人物だからって、あまりにひどい設定で「遊びすぎだろう」と思うのですが。
あとは「世にも残酷な死に方」というフレーズを使うならば、絵面は見せないで、もしくは一部だけ見せたり、死に方は言葉で説明するなどして、読者の想像力に任せたほうが絶対に怖いと思います。
このフレーズだけでかなり自分の中でハードルがあがってしまうので、ドラマで再現できる程度の死に方だとむしろがっかりします。
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」みたいに肝心なところはまったく見せないほうが、「残酷さ」に限度がなくなるので怖さが増します。
ただ、想像力よりも感覚優位の人の場合は、「ブレア・ウィッチ」みたいな作りだと訳が分からないそうなので、難しいところだとは思いますが。
今のところさほど怖くありませんが、突っ込みどころは満載なので、それを楽しむのもいいかもしれません。
俳優陣も若い人ばかりですが、演技は悪くないです。
特に主役の松井珠理奈は、予想よりもずっと頑張っています。(不安要素なんて言ってごめんね。)
「主人公由夏の友達・郁美とゼミの先輩・智志が不可解な死に方をする。どうやら呪われたお金を使ったかららしい」
これだけ押さえておけば、二話からでもまったく問題なく見れます。
ベッタベッタな王道のホラーですし、一話30分なので、余り難しいことは考えずにリングのようなホラーがみたいという人には、おススメです。