うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

≪ドラマ≫ NHK大河ドラマ「真田丸」 第38回「昌幸」感想

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NHK大河ドラマ真田丸」第38回「昌幸」の感想です。

前回第37回「信之」の感想はコチラ↓

saiusaru.hatenablog.com

 

 

成長した秀頼がデビュー

いよいよ大阪の陣の主要人物である秀吉の息子・秀頼が成長した姿で現れます。

めちゃくちゃカッコいい\(^o^)/

今までの創作物の秀頼の中で、一番カッコいい秀頼じゃないですかね??

演じている中川大志さん、顔立ちが整っているのに、男性的で精悍で眼光が鋭い。十八歳ですが、演技もうまいです。

 

特に野心があるわけでもなく、十年以上九度山で隠居暮らしをしていた主人公を表舞台に引っ張り出し、この人のために戦おうと思わせる。

家康に、一回対面しただけで「こいつは殺さないとまずい」と思わせる。

そういう二人の行動に説得力を持たせるためには、出てきた瞬間に見ている人にも「おおっ、それは源次郎も家康もちょっと会っただけでそう思うわ」と思わせなくてはいけないと思うんですよね。

「出てきた瞬間に」強烈なカリスマ性を感じさせなければ、物語そのものが成り立たなくなります。

 

真田丸」の家康は、決して極悪人ではありません。

嫌味で陰険なところもあるし、策士でもあり、逆らった者には容赦しない怖さもありますが、同時に同じ戦国の世を生きた氏政に共感と同情の念を示したり、伊賀越えで情けない姿を見せたり、阿茶の局に甘えたり、部下を大切にしたりと悪いところもあればいいところもある、とても人間味あふれる魅力的なキャラクターです。

その家康が、「自分の天下が盤石の状態で、豊臣家にはほとんど実権がなくなっているのに、年若い秀頼を難癖をつけて攻め滅ぼす」のであれば、それ相応の理由がなくてはなりません。

 

「凡庸だったら一大名として生かしておいてもよかったけれど、秀頼が成長したら、徳川家にとって脅威になる」

という恐怖を「家康が二条城の対面だけで感じ取った」ということを、秀頼が出てきた瞬間に視聴者に説得力をもって分からせなくてはならない。

 

演技はもちろんですが、容貌や外観もすごく大切になります。

よくこんなぴったりの人を見つけてきたな。

成長した秀頼のデビューの流れは、脚本や演出のうまさにも配役の妙にも感心しています。

こういう展開だと、たとえ歴史上どうなるかが分かっていても、それがどんな風に起こるのだろうと今から楽しみになります。

この展開には、興奮を隠せません。今から、源次郎と秀頼の対面が楽しみです。

 

本当に秀吉と茶々の子供なのだろうか……。

家康でなくとも、そう言いたくなります。

 

昌幸の死と主人公の覚醒

昌幸パパが死にました。戦いのためだけに生きた人生だったと思います。

九度山で無為の日々を送りながら死ぬなんて、本人も思ってなかったろうな。

 

家康が許してくれるかもしれないと思うのは、パパらしくないなあと思いました。

蟄居を言い渡されたときのあの言い方じゃあ、絶対に許さないでしょう。

「生き地獄」って、なかなか人は人にそんな言葉を言わないよ。

源次郎みたいに「許してもらわなくてもけっこう」くらいの勢いかと思いきや、それくらい戦うことができないことが辛かったのでしょうね。

 

今まで昌幸や秀吉など濃いキャラクターの裏に隠れていた感じの主人公ですが、ここにきてようやく覚醒してきました。

堺さんって、目の演技が滅茶苦茶うまいですよね。

「戦の仕方を教えてくれ」と家にきた村人たちを諭して去らせたあとの眼差し見ると、言葉にしようがない源次郎の胸のうちがダイレクトに伝わってきます。改めてすごい役者だなあと思います。

 

物語がクライマックスに近づくにつれて、今までの影の薄さが嘘のように、主人公の存在がどんどん大きくなってきます。

大阪の陣では主要人物はほとんどいなくなり、家康VS信繁の図式になると思うので(歴史上ではなく、物語の構造上)それに合わせて今まで他の登場人物を際立たせるために抑えて演技していたのを、家康と対等の存在感を出すために演技のリミットをはずしたのではないかと思います。

見ているとそうとしか思えないし、堺さんならありえそうな気がします。すげえええ。

 

真田丸名物ナレ死

もう誰がナレ死んでも驚かないと思っていましたが、さすがに平八郎と清正がナレ死するとは思いませんでした。

三成が蟄居する直前に、清正に言った言葉も明らかになりましたね。

ちまたでは治部と刑部の友情が大人気ですが、自分としては三成と清正の友情の描写が印象深かったです。

「三成のことが好きで、理解しようとする清正」という設定自体が斬新だったことと、この二人のすれ違いぶりがすごくもどかしかったからです。最後まで「分かりあえた」という描写はなかったけれど、それでも三成の言葉を守る清正の姿に真の友情を感じました。

 

そういう意味では源三郎と平八郎の関係もちょっと似ていますね。「分かり合えなくても、いい関係は築ける」そんな風に思います。

 

女性陣の描写は、どうにかならないものか

男性陣のエピが神展開すぎるので、女性陣は添え物程度でいいのでは、と思います。男性陣でドラマ性も笑いも全てカバーできているので、女性陣が出てくるとテンポが悪くなるだけで大して存在意義が見出せません。

 

春もただただ怖いだけだしなあ。個性を出したいのは分かるのですが。

これがサイコホラーなら面白そうですが、大河ドラマなので普通の大人しやかな奥さんで良かった気がします。

キリがぶっ飛んでいるので、「普通の奥さん」で十分、キャラの差別化もできると思うんですよ。無理にメンヘラ要素をぶちこまなくてもいいと思うし、春の嫉妬の仕方とか言動も、女性にとってはたいして共感できないだろうし、男性にとってはどん引きホラーだろうし、このキャラ設定は誰得なんだろうと思います。

三谷さん、これ、面白いとかかわいいとか思って書いているのかな……。

 

悪いけれど真田丸の女性キャラって、誰一人として付き合いたいとか結婚したいとか思いません。

稲も言っていることは正しいけれど、直接、あんな言い方でいうなんて、思いやりがない人なんだなあと思っちゃうし、姉上もなんかズレているしなあ。

 

キリはキャラとしては面白くて好きです。実際そばにいたら、めちゃくちゃウザいと思うけれど。

 

成長したカリスマ性にあふれる秀頼、その秀頼を殺そうと決意する家康、九度山で諦めたように無為の日々を送る主人公。

九度山の暮らしぶりが質素で味気ないものであればあるほど、その落差で大阪の陣で戦う姿が輝きを放つと思います。

大阪の陣というクライマックスが起こる必然性を描いた今回は、神回だったと思います。

もう今から、幸村VS家康が楽しみで仕方がありません。

 

次回は第39回「歳月」です。

まだ隠居暮らしが続くみたいですね。商売回???

 第参集は、年末に発売。

このころにはもう、最終回も終わっているんだろうなあ。