説明しよう。
「ムーンライトシンドローム」とは、1997年にヒューマンが発売したPS1用ソフト。
一応、主人公を操作できるRPGとサウンドノベル風味ではあるが、分岐がひとつもない。
主は「電波系紙芝居」と呼んでいます。(*褒め言葉です。)
10人中、10人は最後までプレイしても意味が分からず、
そのうち八人くらいは「クソゲー」と叫んで、画面にコントローラーを投げつけるが、
残った二人(推定)は、延々とゲームについての考察を考え続けるというカルトゲーム。
効能としては、友達に勧めると友達をなくすらしいです。
詳しくはウイッキを読んでね♪
初めて「ムーンライトシンドローム」をプレイしたとき、
意味がまったく分からなかった。
出てくる登場人物は、みんな性格が捻じ曲がっているか頭がおかしいかどちらか。
(もしくはその両方。)
突然、超能力者になったり、神様が出てきたり、
戦ったり、焼身自殺してみたり、「きみに執着しようと思う」と言われたり。
そんな感じのゲームです。
1997年といえば、エヴァンゲリオンがちょうどはやり始めた時期だったので、
こういう人間の精神面をフォーカスした、
ちょっと見ただけだと訳の分からない話がはやっていたと思います。
主は、そういうブームは割と冷めた目で見ていたのですが、
この「ムーンライトシンドローム」はなぜか、心惹かれるものがありました。
「いやあ、クソゲーなんだけどさあ…。それは分かっているんだけれど」
分かっているんだけれども……、
何故、こんなに心惹かれるのかは分からなかったです。
とにかく、「浮遊」という話が大好きで、今でも動画をたまに見ます。
全話を通しての意味はよくわからなかったのですが、
長いこと年月が経ったのち、ネットでこのゲームの解説を読みました。
そこで、やっと「ああ、そういう話だったのか」と分かったのです。
おそっっっ。
なぜ、「ムーンライトシンドローム」にこんなに心惹かれるのかというと、
このゲームは、人間の「影」の部分を書いた物語なのだからだと思います。
「闇」ではなく、「影」です。
心理学でよく言われる「シャドウ」ですね。
人間の「影」とは、何ぞや?と思われた方は、ユング派心理学の本を読んでください。
こういう本と合わせて読むと、「ムーンライトシンドローム」は、
とても興味深い物語だと思います。
「浮遊」だけに特定して話すと、団地でダイブを繰り返す子供たちは、
団地に住む大人たちの「影」を背負っているのだと思います。
自分に「影」などない、として光のあたる場所で日常生活を送る大人たちに、
黄昏の時間だけ子供たちは「影」として表れて、
存在を主張するのだと思います。
個人の人間だけではなく、組織や団体にも影が生じる。
それが国家単位で巨大な影を生じさせてしまい、
ということも、「影の現象学」に書かれています。
大人たちが形成する団地という磁場に、
必然的に生じた影を引き受けたのが、ダイブをする子供たちなのです。
そう考えると「ムーンライトシンドローム」って、
なぜ、ゲームというジャンルでやってしまったのか、
ということがすごく惜しまれます。
もっと、小説とか映画とかで深く語ってくれよと思ってしまいます。
ゲームで人間の自我の形成について語ったって、
そりゃあ分からねえよ。
恐らく「クソゲー」と認めつつも、このゲームに心惹かれた人、
このゲームが無視できない人というのは、
そのときまさに、自分の「影」を必要としていた人なのだと思います。
「ムーンライトシンドローム」を見てみて、なんか無視できないという人は、
ぜひ、分析心理学の本を読んでみることをおすすめします。
一言断っておきますが、
ゲームとしては正真正銘のクソゲーです。
ムーンライトシンドローム 6,696円 |
今見て、びっくりした。
たかっっっ!!