先日、脚本家北川悦吏子が何かTwitterで騒動を起こしたとか起こさないとかの情報が流れてきた。
その騒動自体には興味がわかなかったのだけれど、昔よく見ていた北川悦吏子脚本のドラマのことを思い出した。
「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「ラブストーリー」「オレンジデイズ」1990年代後半から2000年代前半にかけて、人気恋愛ドラマといえばこの人の脚本だった。
北川悦吏子の脚本は女性も男性もまったく共感できない登場人物ばかりなのだが、それでもつい見てしまう。
内容もベタベタで、お約束の連続なのだが、なんだかんだ言ってやはり面白かった。
そこまで考えて思い出したのが、自分は「愛していると言ってくれ」の主人公である水野紘子がとてつもなく苦手だった。
言動の一個一個が恥ずかしくて恥ずかしくて、見ていると尻のあたりがむずがゆくなってくるのだ。紘子の動作のひとつひとつが見ていられない。
「うひゃへあーーへふぁーーー」など謎の奇声を上げながら、テレビを消したくなる。
北川悦吏子の描くヒロインを見るとたまにこういう気持ちになることがある。水野紘子を見ていると、ほぼ全編にわたってこういう気持ちになる。
「愛していると言ってくれ」をみたことがない方のために、簡単にこのドラマについて説明する。
「愛していると言ってくれ」は聴覚障害を持つ画家の榊晃次(豊川悦司)と劇団で女優を目指す水野紘子(常盤貴子)の恋物語である。
全12話あるが、この二人が延々好きだ嫌いだ付き合う付き合わない別れる別れない言うだの言わないだの会いたいだの会いたくないだの結局会いたいだのやっぱり好きだのを繰り返す。
(引用元:「中間管理録トネガワ」萩原天晴/橋本智広 三好智樹 講談社)
でも面白いですよ、会長(・∀・)
常盤貴子が演じるヒロインの水野紘子は、常に天真爛漫、元気いっぱいで一生懸命な女の子だ。
聴覚障害者の晃次のために必死で手話を覚え、一生懸命手話で話しかけようとする。通勤途中で見つけた、自分の背丈よりも高いところに生えたリンゴを取ろうとしてぴょこぴょこジャンプしてみたり、公園のステージで子供を相手に演技の練習をしたりする。
もうこういうシーンの善意全開、好意全開、いい子全開の必死さが見ていられない。文字にするのさえ辛い。
うひゃおひえああああーーーー!!うへへええああああ!!
謎の奇声が、頭の中をとめどなく駆け巡る。
この水野紘子、何かに似ているなと考えて思いついたのが、ハムスターだ。
グルグル回る道具??(正式名称は知らない)あの中で必死でカラカラカラカラ走るあの感じに似ている。
確かに可愛い、確かに健気だ、確かにいい子なのだろう。でもでも……。
カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカラカラカカラ・・・・。
やめてくれーーーー、もうやめてくれーーーー。
そっと離れるわけにもいかない。
けなすわけにもいかない。
そんな意味もないことに、なぜそんなに必死になる、という本音をいうわけにもいかない。
そんなことをすれば、ハムスターはほっぺをふくらませてすみっこにトボトボいって、壁に顔を向けてしょんぼりする。もしかしたら、こっそり泣いているかもしれない……。
うわわあああああ、ごめん泣かないでええええええ。
悪かった、悪かったごめーーーーーん。
というと、たぶん、目をキラキラさせて、ほっぺをぷっくりさせてまた
カラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラ~~~~~♪♪
うわああ、頑張っているね♪
一生懸命だね♪
うんうん、ありがとう♪
ちゃんと見ているよ♪
カラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラ~~~~~~~♪♪
カラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラカラカラカラカカラカラカカラカラカラカラカカラカラカラカラ~~~♪♪~♪♪
地獄だ…。この世は地獄だ…。
そして、このハムスターカラカラ女子がたまにしょんぼりしているのを見ると、何だかものすごくいたたまれない気持ちになる。
「どうしたの?」と声をかけると、すさまじく面倒くさいことになるのは百も承知なのだけれど、声をかけずにはいられない。
このハムスターカラカラは、ある種の男性にはとてつもない効果を発揮する。
「愛していると言ってくれ」の中でも、晃次は結局、いい子なんだろうけれどかなりうざくて面倒くさい紘子を好きになる。
自分もけっこう、気に入った人の前ではこのハムスターカラカラを臆面もなくやるほうである。だから、何だか自分の姿を見ているようで恥ずかしくなるのかもしれない。
自分の中身は、このハムスターカラカラマスコット大好き女子と、偏屈で理屈っぽくて陰気なうるさいジジイが同居しているような感じなので、奇声はジジイの「こんなのオレじゃねえええええええええ」というアイデンティティ崩壊の叫びなのかもしれない。(ちなみにこのブログは、そのジジイが主に書いている。)
女性の中には、性格的にこのハムスターカラカラができない人がいて、そういう人にとってはこの水野紘子というキャラはとてつもなくウザいだろうなというのは何となく想像できる。
もしくは自分のように「好きな人の前ではカラカラしちゃう♪」という人は、素の状態で見ると恥ずかしくて見ていられないかもしれない。
でも、誰も見ていないところでも、リンゴをとろうとしてぴょんぴょんジャンプする天然ハムスターカラカラ女子がやはり最強だな、とあのドラマで再確認した。
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