この記事は原作志名坂高次、作画粂田晃宏「モンキーピーク」5卷のネタバレ感想です。
未読のかたはご注意ください。
2018年4月発売の6巻の感想はコチラ↓
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八木VS猿 八木兄強すぎ
逃げ回ったり防御するだけでなく、猿一味に対して反撃が始まった。
八木兄は強えええ。いくら他の三人の援護があったとはいえ、完全に猿を押している。
「ただ強いだけ」ではあそこまでためらいなく戦えない。「喧嘩に強い人」と「殺人犯」と戦うのでは、別の強さが必要だ。
猿も八木も安斎も、「敵か味方か」の違いだけで、ほぼ同じくらいヤバい人たちなんだろう。まあ、知ってたけど。
今は味方とはいえ、猿を逃したときや「薫は巻き添えで死んだ」と聞いたときの反応を見ると、何するか分からない。
八木と猿の戦いは、カッコよかった。「猿と八木の死闘」を別ストーリーで見たくなる。
佐藤と遠野に同情
今巻は、佐藤が気の毒だった。
飯塚や南や氷室みたいに、根っから腐った奴はいる。こういう人間は普段の生活の中でなら、極力関わらないようにすればいい。
でもこういう極限の状況下だと一人で行動するわけにはいかない。どうしてもこういうクソみたいな奴らと一緒に行動せざるえなくなる。
こういう奴らは常に自分の踏み台にする犠牲者を探しているから、一度集団の中でその立場に陥るととことん危険にさらされる、犠牲を強いられる羽目になる。
遠野や田中や藤柴みたいに「普段はそれなりにいい人」でも、積極的か消極的かの違いはあれど、その状況を維持するために加担してしまう。
三巻までは早乙女がその立ち位置で、佐藤も加担している側だったから、自業自得といえばそれまでなんだけれど……(ただ、佐藤は早乙女に対して好意的な中立だったからなあ。)早乙女には宮田や林がいるし。
何回か道を踏み誤ったけれど、それなりに反省している遠野はむしろ偉いと思う。普通は藤柴みたいに「自分が生き残るためには、仕方ない」と流されてしまう。
遠野の気遣いを一ミリも信じられず、受け入れられないのも、佐藤の立場からすれば当たり前だ。
この辺りが読んでいて、両方の気持ちが分かるだけに辛い。
南を殺してしまい、佐藤がさらに追い詰められるなんて……。
今は「殺人犯」という立場になってしまうとどういう役目を回されるか分からないから仕方ないけれど、下山したら自首したほうがいいよ~。詳しくは分からないが、緊急避難とか過剰防衛になるんじゃないかな。
猿の標的は開発室Bの人間なのか?
薬害を起こした開発室Bの人間、黒木、南、岡島が標的だったのか。
4巻では、崖から落ちた岡島のことを執拗に殺そうとしていたし、この巻では「南が死んでから」襲うのをやめている。
(引用元:「モンキーピーク」 志名坂高次/粂田晃宏 日本文芸社)
薬害疑惑を起こしたのは、黒木のいたチームのようだし。
(引用元:「モンキーピーク」 志名坂高次/粂田晃宏 日本文芸社)
あれだけすさまじい勢いで殺しまくっていたのに、5巻で攻撃の手をいきなり緩めたのも「標的は全員殺し終えたから」なのか。
仮にそうだとすると「どのチームが薬を作って、チームの構成員が誰か」ということまで知っている内部の人間が犯人の一味にいる、ということになる。
今までの流れだったら、林と早乙女だって問答無用で殺していただろう。
あの距離でなら殺したあと、余裕で逃げられるだろうし、手紙は元々手渡しするつもりじゃなく、投げるつもりだったんだから追ってきた奴らに投げればいい。
遠野が「人の姿を現さないと猿側のメッセージと分かりづらいから」と言っていたけれど、「メッセージを伝えたい」ということは「意思疎通をしたい」ということだ。
今まで問答無用で無差別殺戮していたのに、なぜ突然「意思疎通したくなったのか」と考えると「状況が変わったから」としか考えられない。
どう状況が変わったか、というのは「外部にばれそうになっている」など色々と考えられるけれど、あくまで物語内の情報だけで考えるならば「目的を達成した」くらいしかない。
実際に「南が死んだあと、いきなり攻撃の手が緩まっている(=犯人の行動が変わっている)」。
それならばなぜ他の人間も殺す、と宣告するのか。
口封じなら全員殺せばいい……というよりは、遠野が言う通り、餓死するのを待てばいい。
「犯人は長谷川」という風に証言させるためか。
物語の中では「日本刀を持った犯人は長谷川」という流れになっている。ただ「犯人が顔を見せない」ので、どうしてもミスリードかなあという気がしてしまう。
服や靴は取り替えているのに、日本刀なんて特定されやすいアイコンを持ち出すのもよく分からない。
正体を隠したいのかばらしたいのか。
ただミスリードにしては、「長谷川が犯人の一味である伏線」がかなり多い。
(引用元:「モンキーピーク」 志名坂高次/粂田晃宏 日本文芸社)
例えば二日目は野営するように進言したこと。これは猿を小屋に先回りさせるためじゃないか、と思う。
他にも氷室が喋りそうになると、拷問を止めようとしている。
こういうのも長谷川のキャラや状況で不自然には見えないけれど、グレーな感じではある。
逆に二日目の稜線で「誰が最後まで残るか」という場面で、長谷川なら「自分が」って言いそうだけれど、クジ引きを提案している。ここは飯塚がひと芝居打って早乙女の身体検査になったから、結果的にクジ引き以上に時間がかかったけれど。
できれば逃げ切りたいけれど、最悪バレたときは「長谷川が主犯」ということで事を丸く収めるために姿を現したんじゃないか、という線が妥当な気がする。
この犯人側の手紙はどうも妙な感じがするので色々考えているけれど、思いつかない。
思いついたら追記します。
寺内の靴はどこへ? 靴を探して三千里。
寺内の靴の行方が未だにわからない。どこにいったのだろう。
八木が早乙女にあげた靴かな、と思ったけれど、確認した限りでは別の靴だ。
それに寺内の靴がなくなったのが一番最初にわかるのは、早乙女が縛られた直後だ。この時、八木兄妹はまだ到着していない。
日本刀が履いていたのも別の靴だ。
(引用元:「モンキーピーク」 志名坂高次/粂田晃宏 日本文芸社)
確認した限りでは長谷川を含め、日本刀と同じ靴を履いている人はいなかった。あらかじめ替えを用意したか、日本刀は内部の人間ではないのか。
八木は、誰の靴を持ってきたんだろう?
最初は黒木の靴かな、と思ったけれど、デザインが違う。
あと黒木は刺されたときは裸足だったけれど、死体は靴を履いている。ついでに右足の包帯もとれている。これは伏線じゃなくて作画ミスかな??
(引用元:「モンキーピーク」 志名坂高次/粂田晃宏 日本文芸社)
(引用元:「モンキーピーク」 志名坂高次/粂田晃宏 日本文芸社)
靴は別に深い意味はないのか。
だとしたら、猿がシートをめくったのは、誰が死んだか確認するためだったのかな。
標的が誰かは写真などであらかじめ確認していたとしても、暗い中で死体を確認しただけでは、誰が生きていて誰が死んだか確信は持てないだろう。それを長谷川に確認しようとしたのか?
もうひとつ気になったのは、八木が話した「六ツ倉猿神奇聞」で「猿が一匹だけ生き残った」という話。この情報は、本編にからむんだろうか。
次巻は日本刀の正体がわかるかな?
八木のバトルシーンにも期待!
4卷の感想はこちら↓
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