うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

閉ざされた陰鬱な町で起こる閉鎖空間系ミステリー「BLACK SPOT(不感地帯)」3話までの感想。

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Amazonプライムビデオで「BLACK SPOT(不感地帯)」を見ている。

フランスのミステリードラマで、ルクセンブルクとの国境近くにあるヴィルフランシュという架空の小さな街で起こる事件や不可解な出来事を描いている。

 

ヴィルフランシュは暗く深い森に包まれていて、携帯の電波も届きにくい陸の孤島のような町だ。(日本語タイトル「不感地帯」は、電波も届きにくい場所、という意味。)

街は市長であるスタンリー一家に牛耳られており、彼らの横暴に不満が日々高まっている。周囲に広がる暗くて深い森に、街の人たちはどことなく近寄りがたい何かを感じている。

 

そんなヴィルフランシュで生まれ育ち、現在は警察署長を務めるシングルマザーのロレーヌ・ヴァイス少佐が主人公。

一話完結のミステリーと全編を通しての物語が、並行して進行していく。

 

このドラマはとにかく雰囲気が暗い。

一話一話のミステリー自体は大したことはないのだが、その話には必ず「森」が絡んでくる。この「森」に対する不可解さ、恐ろしさ、得体のしれなさが根底になるので、事件が解決してもまったくスッキリしない。

 

主人公のロレーヌは二十年前にこの森で行方不明になり、三日後に発見される。

彼女が鎖につながれて必死に脱出を試みている回想シーンが一話から何度も繰り返し出てくる。ロレーヌは左手の薬指と小指がないのだが、それはこの鎖から抜け出るときに自ら切り落としたことがわかる。

彼女は救出されたあと、父親から「何も話すな」と言われる。彼女自身も「そのときのことは何も覚えていない」とウソをつく。

 

街を牛耳るスタンリー一家の一員の市長は、ロレーヌの元恋人でもある。彼の娘マリオンは、半年前から行方不明で手がかりは何ひとつ見つからない。

マリオンの親友だったロレーヌの娘コラは、親友の行方を必死で探すうちにある奇妙なマークを見つける。

 

ロレーヌが若いころ行方不明になったとき、森の中で一体何があったのか?

マリオンは一体、どこにいて今は生きているのか?

コラが見つけたマークは何なのか? 彼女を見張る人物は何者なのか?

 

そういった謎の面白さもさることながら、この物語の一番の見どころは人間の力の及ばない「森」の不気味さと怖さだ。

三話では「洞窟ではぐれた女性」を探すために、森の奥にある縦穴に入っていく。中は真っ暗で、ライトがあってもほとんど何も見えず、画面のコチラ側にいても怖い。「仕事とはいえ、よくこんなところに入っていくな」という感想しかない。

 

こういう人間の力の及ばない存在に対する畏怖や、どこがどうとは言えない不可解さや得体のしれない怖さのあるミステリーやホラーが好きな人におススメしたい。

ヴィルフランシュの風景は、日本の山間部の街の風景によく似ている。

フランスは、日本に似ているイメージがまったくなかったのでちょっとびっくりした。こういう既視感はアメリカのドラマでは余り感じたことはない。

そういうところも親近感や感情移入するのに、ひと役買っているのかもしれない。

 

「閉鎖的な空間で『人知を超えた何か』が原因で起こる事件に対処しながら 、根本にあることは解決できずに怯えつつも何とか暮らしていく」というジャンルが大好きなんだけれど、そういうのが好きな人(いるのか?)におススメ。

「SIREN」「羆嵐」「屍鬼」「残穢」「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」ラブクラフト辺りを想定しています。何だろう? ジャンル「畏怖」?

 

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