ブコメを見てもトラバを見ても、「あったな~~」と言い続けてしまう。
こういう話題のときにひっかかりやすいのは、「当時大人気だった」というのはどれくらいの人気で、「今は廃れた」というのは何をもって「廃れた」というのか判断するかだ。
この増田は後者については「今の若い子が存在すら知らなそう」と一定の基準を設けてくれるので考えやすかった。
「今の若い子」って何歳くらいだ? とか考えだすとキリがないけれど。
自分が真っ先に思いついたのは「多重人格探偵サイコ」。
流行っていたのは、自分の周りだけかもしれないが。
あとは「ヒカルの碁」。これは碁のブームを巻き起こして、新聞にも何回か載ったので「当時大人気」と呼んで差支えないと思う。
今の十代~二十代前半は知っているのかな?
ネットでは余り目にしない気がする。そのくらいの年齢でファンの人がいたらすまんが。
今は将棋のほうが話題になっていて、碁はすっかり影に隠れてしまった印象だ。
「多重人格探偵サイコ」は、途中で読むのを止めてしまった。記憶もかなり曖昧なので読み直したいと思っていた。
当時の世相を反映したストーリー、多重人格やサイコパス、謎の組織や目の中のバーコード、殺人鬼同士の対決やカリスマアーティストにしてテロリスト、ルーシー・モノストーンの謎と、厨二の大好物設定をこれでもかとぶち込んでいる上に、田嶋昭宇のカッコ美しい作画。
思い出したのも何かの縁、全巻読もうかなと思ってAmazonをのぞいたら、特に後半がかなり酷評されていた。弖虎が出てきた辺りから面白くなくなった……って、自分の記憶にあるのもそこくらいまでなのだが…。
多くの人がつまらないと思っても、自分には面白いと思うものももちろんあるけれど、「前半は面白かったのに…何でこうなった…」のオンパレードに心が折れた。
大塚英志が原作で作画を山崎峰水が担当している「黒鷺死体宅配便」がかなり好みのストーリーだったので、こちらを読んでみようかとも考えた。
レビューを見るとこちらも竜頭蛇尾のようだが、都市伝説系が好きな自分には心惹かれるストーリーだった。
ただ全23卷かあ。長い…。
似た雰囲気で山崎峰水が一人で描いている「MAIL」が全3卷で評判も良かったので、まずはこれを読んでみようと思い購入してみた。
面白かったけれど、一話完結型なので話がかなり淡泊だ。
主人公の秋葉が霊に対して無敵なので、後味が悪くない代わりに、かなりあっさりと片が着く。
個人的には何話か使って怪異の背景を深堀りして描いていたり、「強い主人公」のような物語的な安全地帯がないホラーが好みだ。
「残穢」のような掘っても掘っても怪異の正体が分からず、訳が分からないまま人が死んでいく話のほうが怖くて好きかもしれない。
「黒鷺死体宅配便」は「MAIL」よりは話が複雑、ということなので今度読んでみたい。
世の中で一番怖いのは「そのことの意味がわからない」「なぜそれが起こるのか分からない」ということだと思う。
「因果の消失」というか。
因果や法則性が見えないと、助かる方法が分からないからそれだけで怖い。
自分にとっては少なくともそうなので、「この人がいてくれれば助かる」みたいなお約束があると、それだけでホラーとしての魅力は七割減だ。
「主人公がきて助かる」を何話か繰り返して、「突然主人公が殺される」ことでより大きな絶望と恐怖に叩き込む、というホラーもあるけれど。「ずっと効いていた魔除けが突然効かなくなる」とか。
なんかあったよなあ。思い出せない…。
自分の好みとは少し違っていたけれど、「MAIL」はこういうジャンルが好きな人には十分楽しめて、満足できる漫画だと思う。
興味を持ったかたはぜひ。