うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語るブログ。

恋とは何かを知りたければ、中野純子「ヘタコイ」を読むといいよ。

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以前、感想を書いた「ちさ×ポン」はすごい話だと思うけれど、好きか嫌いかと言われれば実はそんなに好きではない。

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エンターテイメントにしては重すぎる。

「恋愛に憧れて付き合ってみたら、こういう問題に直面する現実を描いているんですよ」と言われれば、まあそうかもしれない、とも思うけれど。(弱気)

 

一方「ヘタコイ」は、ただただ「恋愛」を真正面からド直球に描いている。少女漫画でも滅多に見ないような、純度100パーセントの恋愛を描いているところがいい。

「恋をする」というのはどういう状態なのか、ということを知りたければ「ヘタコイ」を読むといいと思う。

 

(あらすじ)

老成した性格と落ち着いた物腰から「ご隠居」というあだ名を持つ駒井静は、旅先で、露天風呂で倒れていた女性を助ける。

大学に入学した静は、友人に誘われて「旅と温泉愛好会」(通称タビセン)に入会する。 そこで温泉で助けた女性、篠原流香と再会する。

 

ベッタベタのストーリーだ。

「ヘタコイ」は全10卷を通して、静と流香の恋愛を描いている。

王道の恋愛漫画ではおなじみのライバルキャラが出てきたり、周りを巻き込む展開が起こったり、そんなわけあるか!と突っ込みたくなるようなすれ違いもたびたび起こる。

 

この全10巻のあいだ、静はずーーーーっと流香のことを考えている。

どこにいようが何をしていようが、どこかに出かけていても、他の女性と付き合っているときも、とにかくずーーーーーーーーっと流香のことを考えている。

風景を見ては流香を思い、離れていれば思わず流香を探し、流香が涙を流せば、その涙の意味を延々と考える。

あげくの果てに、他の女性の横で眠りながら流香の夢を見る。 

俺は最低だ。

寝息をたてる島津の横で、流香さんの夢を見た。

いやあマジで最低だよ、お前。と突っ込みたくなる。

 

そして、この伝説のシーン。

いや、自分の中では伝説の衝撃シーンなんですが。

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(引用元:「ヘタコイ」7卷 中野純子 集英社)

ピュアだった自分は、このシュチュエーションに大ダメージを受けた。

付き合っている人に土下座されて「お願いだから、別れてください」って、想像しただけで心が震える。そのあと立ち直れる自信がない。

 

本当に最低最悪、鬼畜だよ。島津が何をしたっていうんだよ、美人でさっぱりしていていい彼女じゃないか。

土下座してでも別れたい、っていくら何でも失礼すぎるだろ。

一体、何が不満なんだ。

 

ということを静本人も分かっている。

島津が悪いわけじゃない。むしろ、自分にはもったいないほどのいい彼女だ。しかも自分が六年間も片思いをした人だ。夢のような話じゃないか。

そんな人と付き合っているのに、いつまでも流香のことを考えるなんて失礼すぎる。島津といても流香のことを考えるなんて最低すぎる。

 

最低最悪の理不尽な、どうしようもなく愚かなことと分かっていても、ずっとずっとあの人のことを考えてしまう、考えざるえない。

そう、それが恋。

 

流香から絶縁宣言をされた静が、大学のキャンパスで自分でも知らず知らずのうちに流香を探すシーンがある。

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(引用元:「ヘタコイ」1卷 中野純子 集英社)

いやあわかる。分かる。判る。ワカル。そうだ、これが恋だ。

 

「ヘタコイ」はその題名の通り、恋愛の良さや素晴らしさよりも、恋の理不尽さ、恋をして最低になってしまう瞬間、ダメさ加減、ヘタレっぷりが丹念に描かれている。

 

恋をしているときは、気が狂っているのと一緒だ。ちょっとしたことができない、それなのにとんでもないことをしでかしてしまう。

自分がどんなに情けない人間か、どんなに弱いか、どんなに自己中心的か、どんなにカッコ悪いかということをまざまざと思い知らされる。

最低最悪で、自己中心的で、カッコ悪く、アホみたいな恋をしたあの頃を懐かしんで、思う存分ジタジタニヤニヤできる。

恋っていいよなあ。

 

青年漫画なので下ネタが多い。

下ネタが苦手ではなく、「四の五言わず、キュンキュンできる恋愛漫画が読みたい」という人にぜひおすすめしたい。

ドラマ化かアニメ化してくれないかな~~。 

 

久しぶりに読み返して、島津は本当にいい女だなあと思った。

自分から「もうこの恋愛はダメだ」と見極める引き際の良さもいいし、静が罪悪感を抱かないように芝居までするなど至れり尽くせりすぎる。

こういう女性はイマイチモテない、というところも現実的で怖い。

土屋は性格も顔もどうも好きになれない。

土屋が「いい男」設定なところが、「ヘタコイ」で唯一納得がいかない部分だ。