この記事は原作志名坂高次、作画粂田晃宏「モンキーピーク」7卷の感想です。
未読のかたはご注意ください。
うん? 八木、その考えはどうなんだ?
6卷に引き続き、謎解き要素はほとんど進まなかった。
氷室が再び合流したり、落雷に襲われたりなど展開はそれなりに面白かったけれども。
八木が言った「猿の目的は『殺し』であって『戦い』ではない」というのはそうなんだけれども、「猿は我々を恐れている」というのはどうなんだ? と思った。
四十人近くいたときに単身で乗り込んできたのに、いま女性も含めて疲労でフラフラの九人を恐れている、というのは整合性がとれていない気がする。
どちらかと言うと、自分たちの側にどれだけ犠牲が出ても標的を殺せればそれでいい、という考えなのかなと思っていた。
今までの行動を見るとそうとしか思えないのだが。
てっきり開発室Bの人間は全員殺したから、あとは逃げる時間を稼ぎたいのかと思っていたけれど。
救助に来たヘリを墜落させ、救助隊まで襲ったのだから、今後は公権力との戦いになる。これは目的が皆殺しにしても標的が決まっているにしても、「なるべく味方に損害を出したくない」にしては上手くないやり方だな、と思うんだが。
ここまでやるからにはどうあっても残りの人間も逃したくない、皆殺しが目的なのだろうけれど、じゃあ「南が落ちた途端、襲ってこなくなった」のは何故なんだ? それまでは数の差なんて気にせず襲ってきていたのに。
氷室を生かした理由も今いちピンとこない。実際、氷室が足かせにならなくたって、佐藤や藤柴が足かせになっている。宮田も歩くのを泣き言を言って反対するほど、限界だった。皆殺しが目的ならば、氷室もサクッと殺すと思うのだが。足かせが多いほどいいのならば、黒木だってギリギリまで殺さないだろう。
殺したいんだか殺したくないんだか、まったく分からない。
途中参戦した八木が余りに手ごわすぎて、一方的な殺戮ができなくなり方針を変えた、というのが今のところ唯一、一巻からの流れで納得がいく説明だ。八木と戦った時点で、方針が切り替わったというのならば、理屈としてはうなずける。
細かいところはこれでも納得がいかないんだけれど、大筋は何とか納得できる。
他の説明だとたぶん、どこかで破たんすると思う。というか、ここまでで「ちゃんと最終的に納得のいく筋になっているのだろうか」という不安がある。
「犯人たちが行き当たりばったりなだけです」という説明で終わらせるのは最悪なので、勘弁して欲しい。
「おおっ、そうだったのか」と思える結末を期待しています。
まさかと思うが、林ちゃん…。
いやいや、さすがにないと思うけどね。
そういう目で見ると「猿の仲間探し」を止めたり、こういう会話も全部怪しく見える。
(引用元:「モンキーピーク」7巻 志名坂高次/粂田晃宏 日本文芸社)
(引用元:「モンキーピーク」7巻 志名坂高次/粂田晃宏 日本文芸社)
「……」が意味深すぎるんだが…。
ただ林ちゃんが猿の仲間だったら、宮田と早乙女と三人になったところで宮田くらいは殺せるだろう。ここまで不穏な動きはゼロだし、さすがに林ちゃんが猿の仲間ということはないと思う。
それはただのトンデモ展開だ。
でもなぜ唐突に「寝たきりの弟」の話が出てきた。
本筋にからまない(伏線にならない)余計な話は、物語には、特にミステリーにはご法度だぞ。これ以上、話を混乱させるのはやめてくれ。
次かその次の巻くらいで終わりだろうか?
シートをめくった理由や、靴がなくなっていた理由は明かされるのだろうか。
とりあえず結末を楽しみにしています。
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