MBTIの各タイプの典型的なキャラと、その類型について思いついたことを語っています。
創作の中の話に限定しています。書いてあることはすべて自分の個人的な考えです。専門家ではないので、雑談程度に読んでください。
参考文献は以下のものを使用しており、青字の部分は下記文献より引用しています。

ユング心理学入門―“心理療法”コレクション〈1〉 (岩波現代文庫)
- 作者: 河合隼雄,河合俊雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/05/15
- メディア: 文庫
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表層に出る特徴で当てはめたわけではなく、それぞれどの機能をどのように使っているか類推して考えたのだが、それでもそのタイプの特徴にあったキャラが揃うところが面白かった。
NT
INTJ
(主機能:内向直観 第二機能:外向思考 第三機能:内向感情 劣等機能:外向感覚)
典型的なキャラ:赤木茂(「アカギ~闇に降り立った天才~」)
INTJと思われるキャラ
古戸ヱリカ(「うみねこのなく頃に」)
パウル・フォン・オーベルシュタイン(「銀河英雄伝説」)
アリストートス(「グイン・サーガ」)
スメルジャコフ(「カラマーゾフの兄弟」)
赤松慶(「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」)
四宮かぐや(「かぐや様は告らせたい」)
「現在の物事は後々こうなるのではないか」という根拠のない自分のひらめきを、外向思考で現実的にそれが有効に機能する方法、さらにそこに至るまでの道筋を考える。
「入り組んだ問題解決に挑戦することに好み、複雑な理論や抽象的なことを統合することに力を発揮します」
「ぼんやりとした概念めいたことを実際に使えるものにする、現実で通用するものにする」「様々な事象の法則性を見つけたり、一貫した理論を見つけたりする」ことが恐らく大好きなのだと思う。INTJはMBTIにハマる人が多いらしい。(「このタイプ(内向直観タイプ)の人は、ものごとを解釈するためのいろいろな理論やモデルに興味をもち、古い理論を組み合わせたり改造したりして、新しい考えの解釈をできるようにする。」)
INTJは機能を見ても好かれなさそうだし、思いついたキャラが赤木とかぐや以外全員、作中の他のキャラから好かれていない(そしてそのことを大して気にしない)。
特にアリ、スメルジャコフ、ヱリカは、INTJのダメな部分がわかりやすい。
「カラマーゾフの兄弟」のイワンがたまにINTJに分類されているのを見るが、「子供が虐げられる世界は許せない」ということが思考の源になっているところをみても違うと思う。仮にINTJなら「大審問官」なんて書かず、もう少し現実的な方法を考えそうだ。
恐らくINFPではないか、と自分は思っている。
INTP
(主機能:内向思考 第二機能:外向直観 第三機能:内向感覚 劣等機能:外向感情)
典型的なキャラ:立花萬平(「まんぷく。」)
INTPと思われるキャラ
湯川学(「ガリレオシリーズ」)
牧瀬紅梨栖(「シュタインズ・ゲート」)
サムウェル・ターリー(「ゲーム・オブ・スローンズ」)
トンボ(「魔女の宅急便」)
INTJが「それが有効か」を最も重視する外向思考を使うのに対して、INTPは「それは真実なのか」を重視する内向思考を使う。
「一般的に知られている知恵や知識に対抗するアプローチを必要とする解決を求められる問題に、ひとりで取り組むときに、もっとも力を発揮します。」
誰も見たことない自分だけの直観を現実化させるのがINTJだとすれば、既に存在する物事を別の角度から見て、さらなる真実を見つけ出すのがINTP。
自分の中のイメージだと、「空気? それに何の意味があるんだ?」という態度があからさまなのが(つまり空気自体は読める)INTJ、一方まったく空気が読めないで自分の思考に没頭するのがINTP。
「お前の言っていることは正しいかもしれないが、その態度はなんだ」と思われるINTJに対して、INTPは悪気がないのが分かるので許されることが多い。
「まんぷく。」の萬平は、INTPが具現化したようなキャラだと思う。ラーメンの開発のために屋台にラーメンを食べに行って、店主がそのラーメンを開発するのにいかに苦労したかを語っているのに、まったく聞かずに「で? 作り方は?」と聞いてしまう空気の読めなさ。
湯川も合コンで物理学の話を延々としてしまい、女の子に引かれてしまったというエピソードがドラマ版であった。
現実のことにはほとんど興味がない天才、という類型はINTPをモデルにしているのではと思う。
ENTJ
(主機能:外向思考 第二機能:内向直観 第三機能:外向感覚 劣等機能:内向感情)
典型的なキャラ:ラインハルト・フォン・ローエングラム(「銀河英雄伝説」)
ENTJと思われるキャラ
双子座のアスプロス(「聖闘士星矢 ザ・ロスト・キャンバス」)
バルバラ(「乙女戦争-ディーヴチー・ヴァールカ-」)
武子(「親なるもの断崖」)
タイウィン・ラニスター(「ゲーム・オブ・スローンズ」)
永沢さん(「ノルウェイの森」)
「知性や能力を高く評価し、非効率や無知を嫌います」
自分が能率的で有能であるだけに、ENTJは無能力や怠惰にものすごく厳しい印象がある。合言葉は「無能は死ね」
「論理的でないことや、非効率的なことに気づくと、それを正す必要性を強く感じ、人や状況を統制し、正しい方向へ導こうとします。」
「正しい方向」というのは、ENTJがより有効で効率的だと考える方向のことだと思う。
第一機能に有効性を重視する外向思考を使うので、それがどんなに美しく素晴らしい理想であっても、現実的に機能しないものには一顧だにしない。
ラインハルトはヤンと民主主義について話したときに、若干ポカンとしていた印象がある。「理想的で素晴らしいものでも、実際はこうなっているけれど?」というのはENTJらしい指摘に見える。
「ノルウェイの森」で永沢がワタナベを就職祝いのご飯に誘うときの会話は、ENTJ節が全開だ。
「世の中というは原理的に不公平なものだよ。それは俺のせいじゃない。はじめからそうなっているんだ」
「あれは努力じゃなくてただの労働だ。(略)努力というのはもっと主体的に目的的になされるものだ」
アカといい、村上春樹作品はTJ系の世界観を的確に把握して批判的に見ている。よくわかっているからこそ、嫌悪しているのかもしれない。
ENTP
(主機能:外向直観 第二機能:内向思考 第三機能:外向感情 劣等機能:内向感覚)
典型的なキャラ:鳳暁生(「少女革命ウテナ」)
ENTPと思われるキャラ
ヒソカ(「ハンター×ハンター」)
志村あゆみ(「ハツハル」)
フョードル・カラマーゾフ(「カラマーゾフの兄弟」)
内海(「機動警察パトレイバー」)
童磨(「鬼滅の刃」)
よく言われる言葉は、「お前はどっちの味方なんだ」
底が知れない永遠のトリックスターENTP。
外向直観で取り入れた可能性に対して、内向思考で実現への道筋を見つけるので、何に対してどこまで本気なのかわからないのも当たり前なのかもしれない。
J系の世界観の田中芳樹作品では、「ENTPは、よくわからん悪役扱いされている」と前に書いたことがある。銀河英雄伝説のトリューニヒト、マヴァール年代記のボグダーン二世、タイタニアのアジュマーン、みんなENTPのような気がする。
「ウテナ」の物語をMBTIで見たときに、ENTPの価値観に支配された世界で他のタイプが翻弄される話のように見える。
「新しいコンセプトを考え出したり、それを実行に移すために、分析して考えることに意欲がかきたてられます」
「目的を遂げるために、自分のなかで進んで、多種多様な方法で、臨機応変に作戦を展開していきます」
目的も方法も新しいことをどんどん考え付いてしまうのだから、一貫性を持てとか、一か所にとどまれとか言っても難しいのかもしれない。
NF
INFJ
(主機能:内向直観 第二機能:外向感情 第三機能:内向思考 第四機能:外向感覚)
典型的なキャラ:産屋敷耀哉(「鬼滅の刃」)
INFJと思われるキャラ
モズグス(「ベルセルク」)
アレクセイ・カラマーゾフ(「カラマーゾフの兄弟」)
ヤン・ウェンリー(「銀河英雄伝説」)
鶴見篤四郎(「ゴールデンカムイ」)
明智光秀(「麒麟がくる」)
INFJが悪役になった場合、NTJ系よりも厄介なイメージがある。
絶対にこちらの言うことに納得しなさそうだし、逆にコチラを改心させようとする、しかもそれに納得してしまいそうな怖さがある。外向思考タイプは利害関係でつながっている、内向思考タイプは一人でやっていくようなところがあるのに対して、INFJに率いられた組織は特攻とか(しかも自発的に)やってきそうで怖い。
「鬼滅の刃」で無惨は耀哉を「化け物」と呼び、追い詰められたときは「こいつら(鬼殺隊)やべえ」みたいな思考になっていたが、その気持ちもわかる。
多くの場合、INFJには心酔する他キャラがいる。
INFPとの違いは、外向感情を使うのでINFJが広範囲に影響を及ぼす(しかも主機能が内向直観なので、先の時代まで影響を与える。)のに対して、INFPがピンポイント型なところだ。
「こうした共感的理解を、人々の生活が向上するような、大きな視野に立った計画を組織化したり実行するための動機と結びつけます」
「人や人間関係がどう発展するか等の可能性や人間関係のドラマを洞察し、気づき、理解し、それがこのタイプ本人から伝えられるときに、周囲の人の気持ちを高め、刺激を与えます」
信仰と恋愛の違い、というイメージで自分はとらえている。
INFJが「あなたのことを理解しているよ」に対して、INFPが「私のことを理解して」というイメージだ。
INFP
(主機能:内向感情 第二機能:外向直観 第三機能:内向感覚 第四機能:外向思考)
典型的なキャラ:安田紗代(「うみねこのなく頃に」)
INFPと思われるキャラ
三崎貴也(「ハツハル」)
オスカー・フォン・ロイエンタール(「銀河英雄伝説」)
マクギリス・ファリド(「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」)
「私が選んだ人は、説明しなくても私を理解して」がINFPの真骨頂。
INFPについては下記の記事に書いたので割愛。
INFPは関連検索で「生きづらい」と出てくるけれど、機能を見てもキャラを見ても「だろうな」と納得してしまう。
ENFJ
(主機能:外向感情 第二機能:内向直観 第三機能:外向感覚 劣等機能:内向思考)
典型的なキャラ:ナウシカ(「風の谷のナウシカ」)
ENFJと思われるキャラ
天上ウテナ(「少女革命ウテナ」)
森田鉄雄(「銀と金」)
ティリオン・ラニスター(「ゲーム・オブ・スローンズ」)
アシㇼパ(「ゴールデンカムイ」)
クーデリア・藍那・バーンスタイン(「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」)
清々しいくらい主人公陣が並ぶ。一番読者の共感を呼びやすく、物語を引っ張りやすく、まさに物語の中心になるためにいるようなタイプだ。
「そもそも関心や動機がまったく反対の人たちの間の意見をまとめるときに力を発揮します」
ナウシカに至っては蟲とすら心を通わせてしまう。
「人に忠実であるだけでなく、周囲を導くリーダーとなります」
アニメ版でナウシカがペジテの人々を説得するのに、「その水は蟲が綺麗にしているのよ」ではなく、「誰がその水を綺麗にしていると思っているの?」と訴えるところが、外向感情型っぽいと思う。
客体的にではなく主体的に、論理的にではなく情緒的に訴えてくる。有効性を重視する外向思考型の説得よりも、意外とそちらのほうが人に聞き入れてもらったり、人が惑ったりするところが面白い。
森田は自分をついでのように殺そうとする人間に、事情を聞いただけであそこまで同情できるのは凄い。同じ人間とは思えない。
ENFP
(主機能:外向直観 第二機能:内向感情 第三機能:外向思考 劣等機能:内向感覚)
典型的なキャラ:モンキー・D・ルフィ(「ワンピース」)
ENFPと思われるキャラ
ステパン・ヴェルホーベンスキー(「悪霊」)
玉木マリ(「宇宙よりも遠い場所」)
須田恭也(「SIREN」)
進藤ヒカル(「ヒカルの碁」)
藤原千花(「かぐや様は告らせたい」)
ENFJと並ぶもうひとつの主人公枠がENFP。ENFJが正統派主人公なのに対して、ENFPは自由奔放型主人公に見える。
「人生をわくわくするような可能性に満ちあふれた創造的な冒険ととらえています。」
ENFPは機能を見てもキャラを見ても、とにかく明るく前向きで魅力的。ENFPとESFPは何をしても、「仕方ないか」と他のタイプが苦笑いして許してしまうようなところがある。
ENFPをダメなキャラにしようとすると、ステパン以外は余り思いつかない。他人を巻き込んで大騒ぎして人に迷惑をかけまくるステパンですら、何となく憎めないし、作中でも周りの人間から愛されている。
ESFPがその場で大騒ぎして目立つのに対して、ENFPは新しいことを思いつき、ここではないどこかへ行こうとするイメージだ。
ENTPが何を考えているのか分からないのに対して、ENFPは常に明るく前向きなことを考えている(と思われる。)
N系は物語の主導者が多い。NTは悪役が多く、NFが主役側が多く、この二タイプが抱く直観が物語の対立軸となり(もしくは旧態の価値観との対立軸となり)物語が推進していく。
大雑把な言い方になるが、N系は新しいシステムを作ることに興味を持つのに対して、S系(特にSJ系)は既存のシステムの中で何かをしたり、管理運営をすることに興味を持つ。(SP系はそもそもシステムに興味を持たなそうだ)
S系が主人公だったり主要キャラである場合、日常の繰り返しの物語(スポーツものも含む)が多いような気がする。
キャラと同じで物語にもタイプがあるのでは、と自分は思っているのだが、それについても各タイプの話の中で思いついたことを書いていきたい。
SJ
ISTJ
(主機能:内向感覚 第二機能:外向思考 第三機能:内向感情 劣等機能:外向直観)
典型的なキャラ:桐山零(「三月のライオン」)
ISTJと思われるキャラ
塔谷アキラ(「ヒカルの碁」)
高木秋人(「バクマン。」)
エルキュール・ポアロ(「名探偵ポアロシリーズ」)
石上優(「かぐや様は告らせたい」)
北条義時(「鎌倉殿の13人」)
意外な並びだなと思ったが、システムがはっきりしている競技の中で能力を発揮している(有効に機能させている)と考えると、案外しっくりくる。
ISTJの主機能である内向感覚は、経験則やデータなど既に「結果が出ているもの」を重視する機能だと自分は考えている。零とシュージンは、作中でもデータを重視する姿が描かれている。
「確実なもの」を情報として取り入れ、外向思考で実用的かつ確実性の高い方法論を導きだす。シュージンがギャグが苦手、というのもISTJらしい。
またポアロは自分が記憶している場所と違う場所に物を動かされるのを非常に嫌がるが、これもデータベースの管理を得意とする内向感覚型らしい気がする。
「組織、家族、親しい人に対する責任感や忠誠心が強く、自分のやるべきことを正確に期日を守りながら終えられるよう、着実に進めていきます。」
同じアガサ・クリスティの生み出した探偵でも、ポアロはT系なのに対してミス・マープルはF系。作品にもその傾向が現れていて、ポアロが行動により注目するのに対して、ミス・マープルは心理に注目する。
ISFJ
(主機能:内向感覚 第二機能:外向感情 第三機能:内向思考 劣等機能:外向直観)
典型的なキャラ:香田幸(「海街ダイアリー」)
ISFJと思われるキャラ
綾波レイ(「新世紀エヴァンゲリオン」)
ジークフリード・キルヒアイス(「銀河英雄伝説」)
サンダー・クレゲイン(「ゲーム・オブ・スローンズ」)
白銀御行(「かぐや様は告らせたい」)
ISFJは落ち着いて静かに自分の周りの人を見守るお母さん、といったおもむきがある。
「人が何を必要とし、何を望んでいるかに関心が向き、それらを実現するために秩序だった手順を考え出します」
「謙虚で控えめな態度で人に接し、自分の要求よりも、特に家族など、他者の要求を優先させて考えます」
ESFJと並ぶ愛情深さを持っているのだが、膨大なデータベースである内向知覚で、自分が支えるべき人を支えなければならないときにのみ、適切な方法でピンポイントに支えるので、ISFJのほうがその愛情が分かりにくい気がする。ある瞬間にしみじみとその愛情に気づきそう、というのはキャラを見ると何となくそうだなと思う。
そしてそういう深い愛情をごく当たり前に与えられ、一方的な犠牲だと思わないところがISFJの凄いところだ。
「銀河英雄伝説」の作中の表層ではアンネローゼがラインハルトの母親代わりになっているが、自分はキルヒアイスがラインハルトの母親代わりなのではないかと思っている。アンネローゼ(善き父性)+フリードリヒ四世(悪しき父性)が父親代わりなのではないかと。
ラインハルトは五巻のヤンとの会話の中で認めていたように、キルヒアイスには素を出して甘えているのだが、アンネローゼに対してはかなり気を遣っているように見える。
この辺り気が向いたら、もう少し詳しく書きたい。
ESTJ
(主機能:外向思考 第二機能:内向感覚 第三機能:外向直観 劣等機能:内向感情)
典型的なキャラ:利根川幸雄(「中間管理録トネガワ」)
ESTJと思われるキャラ
ドーラ(「天空の城ラピュタ」)
ガフ・ガフガリオン(「ファイナルファンタジータクティクス」)
ウォルフガング・ミッターマイヤー(「銀河英雄伝説」)
ヤン・ジシュカ(「乙女戦争-ディーヴチー・ヴァールカ-」)
ESTJは分かりやすく親分肌の人物が多い。既存のシステムから生まれた組織の中でトップに立つと、非常に有能で慕われるリーダーになるイメージだ。
家父長制度の典型的な父親像と重なるので、余りいいイメージを持っていなかったが、キャラを考えたら好きなキャラばかりだった。
「経験的に習得したことから、明確な基準や信条をもち」「競争原理や能力や、効率や結果を出すことを大切にし、仕事でも遊びでもそれを重視します」
知覚機能で内向直観を使うNTJ系は、自分のヴィジョンについていけない人間はあっさり切り捨てそうだが、ESTJは内向感覚によって今までの経験を重視するため、厳しいことを要求しても、ギリギリまで自分の傘下にいる人間の面倒を見る気がする。
ガフガリオンはダイスダーク(それこそENTJ)から「言うことを聞かなければ、ラムザは始末していい」と言われてもなお、ラムザの説得に全力を尽くしている。一見、厳しく非情に見えてギリギリまで部下を見捨てない、そんな義理堅さがESTJにはある。
反面、部下を逃がさず追い詰めてしまったりする弊害もあるわけだが。
ESFJ
(主機能:外向感情 第二機能:内向感覚 第三機能:外向直観 劣等機能:内向思考)
典型的なキャラ:かのこ(「ぼくんち」)
ESFJと思われるキャラ
オルガ・イツカ(「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」)
見吉香耶(「バクマン。」)
山田大介(「青空エール」)
泉野明(「機動警察パトレイバー」)
北条時宗(「鎌倉殿の13人」)
ESTJが高度経済成長期の働く父親というイメージならば、ESFJは肝っ玉母さんというイメージだ。ISFJも母親のイメージが強いが、ISFJが自分が守り支える人やそのやり方をまずは観察して慎重に選ぶのに対して、ESFJは周囲にいる人にまずは自分の保護を与える、という違いがあるように思う。
母親が蒸発しても決して母親を責めずに「話は簡単。今日からうちがあんたらのおかあちゃん」と笑って一太と二太の面倒を引き受け、「猫にいじめられたら可哀相」と言ってホームレスのトロちゃんを家に上げてしまうかのこは、ESFJの代表格のようなキャラだ。
「職場でも家庭でも面倒みの良さを発揮し、そのままの自分や、人のためにしたことが、他者に受け入れられることを望みます」
自分がいる共同体の人員の面倒を見ることに生きがいを感じ、能力を発揮するESFJは見るからに人が良さそうなキャラが多い。そしてその面倒見の良さや献身に対して見返りなどを考えていないところも、SFJに共通する良さだ。
「海街ダイアリー」と「ぼくんち」は、同じように親の不在の中で兄弟たちが支え合って生きていく姿と、周囲の人々の日常と人間模様を描いている。同じFSJの物語に見えるが、親代わりになる幸とかのこのキャラクターの反映を受けて、物語自体も前者はISFJ、後者はESFJのように見える。
SP
ISTP
(主機能:内向思考 第二機能:外向感覚 第三機能:内向直観 劣等機能:外向感情)
典型的なキャラ:三日月・オーガス(「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」)
ISTPと思われるキャラ
流川楓(「SLAM DUNK」)
界塚伊奈帆(「アルドノア・ゼロ」)
島津豊久(「ドリフターズ」)
タマル(「1Q84」)
アリア・スターク(ゲーム・オブ・スローンズ)
ISTPのイメージは「省エネ」
自分が必要と思わないことに対してはエネルギーを使わず、目的に向かってすべてのエネルギーの注力する。内向思考で自分にとって重要と思われることを考え、それについてのみ外向感覚で情報を集めるのだから、余計なことは一切しないというイメージだ。
「問題が生じると素早くその核心をとらえ、最小の労力で最大の効果を上げるように対処します」
「ものの仕組みや構造に関心を持ちますが、すぐに活用できない抽象的な理論には興味がありません」
ロボットの操縦をはじめ機械操作、スポーツが得意なキャラが多そうだ。余計なことは言わず、自分のやるべきことを黙々とやる。
SP系はどう考えてもMBTIに興味を持ちそうにない。MBTIに興味を持つか持たないかでも、タイプを大ざっばに識別できそうな気がする。概念とか抽象的理論とか形而上の問題とか哲学における命題などに、まったく興味がなさそうだ。
今回はキャラの内面や行動原理をあれこれ推測しているので、だいたいどのタイプも好きなキャラが多いのだが、ISTPは好き嫌い以前によく分からず、興味のとっかかりがないキャラが多かった。
INTJと違って、作中では余り嫌われない。INTJは外向思考を使うので、他人に対する厳しさがあからさまだが(厳しいが意外と他人に興味がある)、ISTPは他人に対して価値判断をほとんどしなさそうな気がする。
ISFP
(主機能:内向感情 第二機能:外向感覚 第三機能:内向直観 劣等機能:外向思考)
典型的なキャラ:ヒュンケル(「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」)
ISFPと思われるキャラ
真城最高(「バクマン。」)
右代宮夏妃(「うみねこのなく頃に」)
我妻善逸(「鬼滅の刃」)
尾形百之助(「ゴールデンカムイ」)
サイコー以外は見事なまでに自己肯定感が低いキャラが揃ってしまった。
INFPと違うところは意外と現実的なところだと思っている。理想が高いゆえの悲観的観測を外界にまで波及させるのがINFPで、自分に向けてしまうのがISFPというイメージだ。
「こんなダメな世界なんかぶっ壊せ」というところまで突っ走るのがINFPで、「自分はこんなにダメだ」という思考に陥りやすいのがISFPな気がする。内向感情が主機能でも、SPなので現実的という印象だ。
「自分の仕事をただこなすだけではなく、それが人の役に立ったり、人の幸福につながることを望みます」
「親密な関係になるには時間を要しますが、いったんそれができると、その人間関係はとても大切になり、目立たないが、いろんなやり方で献身を自然に表わします」
クールそうに見えて、行動原理の全てが悲しみや罪悪感に基づいているヒュンケルは、絵に描いたような内向感情型だと思う。その感情のためならば、自分の命も賭けてしまうところはINFPと同じだが、INFPとは違いISFPは他人は巻き込まないイメージがある。(尾形のケースは、勇作がむしろ巻き込まれにいっている。)巻き込むところが、INFPならではの魅力につながっているのだとは思うが。
他のSPほどそのイメージがないけれど、戦闘やスポーツ、手先を使う仕事など実践的な仕事に向いていると思う。
ESTP
(主機能:外向感覚 第二機能:内向思考 第三機能:外向感情 劣等機能:内向直観)
典型的なキャラ:ブロン(「ゲーム・オブ・スローンズ」)
ESTPと思われるキャラ
イシュトヴァーン(「グイン・サーガ」)
三浦義村(「鎌倉殿の13人」)
オーティス・ネイト(「OZ」)
「臨機応変」「思考即行動」がESTPを端的に表した言葉だと思う。
とにかくごちゃごちゃとした議論やぐちゃぐちゃと色々と考えることは時間の無駄。目の前の状況を瞬時に見て取って、即座に決断し、電光石火でその時の最適の行動をとる。
義村以外は全員傭兵出身なのだが、正にその場その場の判断が生死を分ける傭兵向きのタイプだと思う。
ESTJは裏切られてもギリギリまで説得を試みそうだが、ESTPは「敵だ」と認識した瞬間に即座に対処しそうだ。非情とか冷たいと言うよりは、外向感覚を使うから、その瞬間のその場の状況判断が優先されるのだと思う。それが非情だ、という意見もあるが。
「周囲に柔軟に適応し、臨機応変に物事を進め」「今の生活や瞬間を楽しむことを追求するため、社交的な集まりや、スポーツ、職場などにおいて人気を集めます」
「OZ」の中でネイトが「俺はこの戦争の時代が好きだし、こういう時代でしか生きられない」と言っていたが、ESTPは混乱した時代のほうがずっと生き生きしていると思う。「ゲーム・オブ・スローンズ」の中でも、ブロンは一人だけ水を得た魚のように楽しそうだ。
今の時代だと、スポーツに夢中になっていそうなイメージがある。
ESFP
(主機能:外向感覚 第二機能:内向感情 第三機能:外向思考 劣等機能:内向直観)
典型的なキャラ:バドリナート・ハルチャンド(「機動警察パトレイバー」)
ESFPと思われるキャラ
桜木花道(「SLAM DUNK」)
嘴平伊之助(「鬼滅の刃」)
今井鈴(「まんぷく。」)
織田信長(「麒麟がくる」)
永遠の子供ESFP。外界で起こっている出来事を、自分独自の価値観で判断するのだからだろうなという感じはある。
側にいたらたぶん、ものすごく面倒臭くて大変なのだろうが(キャラをみてもお騒がせキャラが多い。)その明るさと愛嬌で許されてしまう。
ENFPが騒いでどこかに行くのに対して、ESFPはその場でずっと騒いでいるイメージだ。
「まんぷく。」の咲役の内田由紀が、「鈴さんは今井家の四女」と評していた。女手ひとつで三人の娘をあそこまで立派に育てたという事実はあるものの、ドラマだけ見ていると内田由紀の言葉にうなずいてしまう。
鈴さんもキャラとしては大好きでいなくなったらとてつもなく寂しいが、一方で自分の親だったら大変だろうなと思う。
「ゲーム・オブ・スローンズ」のロバート・バラシオンもESFPだと思うのだが、完全なミスチョイスだと思う。
「活力にあふれ、何よりも生活を愛し、人との出会い、おいしい食べ物、おしゃれ、動物、自然、さまざまな活動を通して、今この瞬間を生き、楽しみを見つけます」
先のことは何も考えないで、その場その場の思いつきで行動して、自分の気持ちが第一優先。でもそういう明るさや楽しさが、他のタイプにとっては羨望の対象になったり、かわいげに見えたりするのだろう。
華やかで魅力的で、どこにいても人の中心にいて愛されそうなキャラが多い。
ESTPとの違いは、ESTPがすぐに切り替える(切り替えが早すぎる)のに対して、ESFPはずっと夢中になっていそうな(そこが可愛い)イメージだ。
その後考えた補足