うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

「バチェラー3」が面白くていっき見したので、何の遠慮もなく感想を語りたい。

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先日読んだ「バチェラー3」の感想が面白かったので、今まで興味がなかった「バチェラー」を見てみた。

 

あくまで「番組を見ただけの感想」「登場人物たちは、この番組内だけのキャラ」と限定して、登場人物たちの内面にも踏み込んで色々と語っている。

友永氏にかなり辛めなので注意。ネタバレしています。

 

「バチェラー3」の面白さは、一にも二にも「バチェラー友永氏」のキャラにある。

自分はこの人は、徹頭徹尾の嘘つきだと思って見ていた。このあたりはMCも女性たちもさんざん色々な点で指摘している。

「結婚を真剣に考えていると言いながら、結局恋愛重視」

「強い女性が好きと言いながら、強い女性を選ばない」

「『真剣に考えた』と言いながら、一か月で手のひらくるん」

「何でも言い合える間柄がいいと言いながら、自分に不本意なことを言われると切れる」

ありとあらゆることで嘘をつく。ある意味すごい。

やっていることと言っていることの差がすごいので、友永氏のことを少しでも知ると、言っていることをまともに受け取る気にはならない。

 

友永氏がなぜこんなに嘘をつくのかは、「自分が信じたい自己像」を守るためだと思っている。

彼が発する言葉は「自分が信じたい自己像としての言葉」だが、行動は「本当の自分がしたい行動」なのだ。だから他人からは、とてつもなく矛盾した嘘つきに見える。

彼自身の中では恐らく何の矛盾もないし、そうやって自分自身を騙して生きていくのが友永氏の生存戦略なのだろう。

そういう面は誰しもある。

ただ友永氏の場合はこれが徹底している。そこが怖い。

家族に「女性三人の中で誰がいいか、思ったままを聞かせてくれ」と自分から尋ねておいて、三人から「水田さん」と答えられて切れたときは、さすがに自分でも何かおかしいと思わないのかと笑ってしまった。

女性たちには「何でも言い合えて信頼し合える間柄がいい」と言っていたのに、いざ相手が素直にしゃべったら切れる人間なのだ。怖い。

友永氏にとっての「隠し事や嘘のない間柄」の「嘘のない真実」は、「俺の望むこと」「俺が信じたいこと」とイコールだ。

そこを直視せず逃げ回った結果、番組もああいう結果になったのだろう。

岩間さんを選んでバチェラーなのに振られるかもしれないリスクは恐ろしくて取れない、しかし岩間さんをあきらめることもできない。自分可愛さにありとあらゆるものを踏みにじれる、自分はそういう人間であると開き直ることすらできない。

「俺が信じるカッコいい俺を守るために、その場しのぎの嘘を平気でつく。しかもそれを本当だと臆面もなく信じてしまう」

自分が見た友永氏はそういう人だ。

 

自分が見たところ、岩間さんもそういう人だ。(岩間さんはもう少し、つじつまを合わせようとするが)この二人は驚くくらいよく似ている。だからひかれあったんじゃないかと思うくらいだ。

岩間さんは自分にとって一番苦手な「自分に不本意なことが起こると、その原因をすべて他人に見出すタイプ」だ。

この二人はお互いの自己像を補完し合えるあいだは仲良くしていられるだろうが、お互いの自己像が危機に瀕したときは、すさまじく傷つけあいそうだ。

 

野原さんが振られたのは、彼女といるだけで友永氏の自己像が危機に瀕するからだと思う。野原さんがただ存在するだけで、「カッコイイ俺」ではなく「カワイイぼく」になってしまうからだ。(向き合うのが怖いからバックハグが多いのでは、と思った)

「強い女性が好きという建前」と「カッコイイ俺像が壊される怖さ」のあいだで揺れ動いて、実家訪問のあの感じで「このままだとカッコいい俺が保てない」ことを認めざるえなくなったのだろうとみている。

自分だったら野原さんの前では会った瞬間から挙動不審だと思うので、ここまで「カッコイイ俺」で踏ん張った友永氏は、この点はさすが「カッコイイ俺にこだわりがあるだけはある」と思った。

「野原さんに仕切られて生きていく」のは、それはそれでアリだと思う。と言うより、長い目で見ると、友永氏のような人にはそれが一番幸せでは、という風に感じる。MCの今田耕司が「自分のほうが野原さんに捨てられそうに感じてしまう」と言っていたけれど、家族との関係性を見ると自分の身内や責任を大事にする人だと思うので、その点も大丈夫そうだったのに、と残念だった。

 

自分のイメージにそぐわない(と他人から思われそうな)家族に対して、何ら引け目を感じていないところを見たときに、野原さんの本当の恰好良さと強さを見たと思った。

野原さんが持つ「強さ」は、「気が強い」とか「芯が強い」というより「器のデカさ」だと思う。

彼女は自分のイメージを損ねてしまう(と他人が勝手に思う)つなぎ姿や農家という仕事や、素朴でどこにでもありそうな家族を何の気負いもなく自分の一部として肯定している。

このあたりは自分には何の責任もない、両親の離婚や気質に引け目を感じている水田さんと対照的だったので、すごく印象的だった。

家庭環境や両親のことは彼女たちには何の責任も関係もないが、結婚や恋愛は善悪ではない。頭ではそうはわかっていても気になってしまうことはあるし、本人が気にしなくとも周りの人間が気にすることもある。だから実家訪問が組まれている。

それが分かっているから、水田さんも自分の経歴や両親のことにあれほど神経質になっていたのだと思う。(水田さんのお父さんの飾らない感じはすごくよかったので、服装とか気をつかわない感じとか気にしなくていいのに…と思ったが)

 

もうひとつ印象的だったのは、友永氏の家族全員が友永氏のことをよくわかっていると感じたところだ。

「金持ちの甘やかされた坊々だからこうなったのか」という先入観があったが、自分が見たところ、友永氏の家族は友永氏の気質や欠点、「こじれ具合」や「しょうもなさ」をよくわかっている。

そこを野原さんのような存在に、徹底的に叩きつぶされ矯正されるのも忍びない(自分はそれが友永氏にとっては長い目で見れば幸せではと思ったが)水田さんだったら、友永氏のナルシズムを満足させつつ、彼を支えるいい奥さんになっただろう。

恐らく野原さんにはない水田さんの「引け目」がポイントになったのだと思う。

自分は友永氏との結婚は水田さんにはデメリットしかないと思っているし、友永氏の家族もそう思っていたのではと思っている。(自分が友永氏の家族だったら、「本当にいいのか」と水田さんに聞いてしまいそうだ)

「申し訳ないが、真也のしょうもなさを受けとめてもらい、そのぶん自分たちが彼女にできるだけのことをしよう」と、明確にはではないが何となくそう思っていたのではと思う。

水田さんと一か月で別れたときに友永氏が家族から言われたと言った「お前のことはいいから、あゆみさんのことだけを考えろ」は本当にこのまま言われたのではと推測している。

恐らくは家族にとっては、この「真也イズム」は「またか」という感じなのだろう。

厄介者が自分の厄介さを理解せず、やっとその厄介さを自分を犠牲にして解決してくれそうな人が出てきたと思ったら、その人に恩を仇で返すようなことをして、厄介さを二乗にしようとしているのだ。「いい加減にしろ」と言いたくもなる。

友永氏に同情する要素があるとすれば、お兄さんがすごすぎる。あそこまで痛いところを的確に見抜かれて、遠慮なく突かれ続ければ、自分を鎧いたくなる気持ちも少しはわかる。

お兄さんに悪気があれば誤魔化して流せるが、「ただ素で思ったことを言っているだけ」なのが分かるので、お兄さんに責めを負わすこともできず、結果として強制的に自分と向き合わざるえない。

お兄さんは「僕の言うことは特に反発したくなるのだろう」と平然と言っているところを見ても、それがどんなものであれ事実であれば向き合えるタイプなのだろう。

でも普通は、「正しさ」とずっと向き合っているのはキツイ。

友永氏のような人には特にそうだと思うので、小さいころからそのキツさがあったとするとああいう風になったのも多少わかる気はする。

 

結末は納得の結末だった。

友永氏にとっては最初からほぼ岩間さん一択だったのだと思う。

番組の流れや演出では他の子とばかりツーショットデートをしていたので、参加者がしきりに「岩間一強」のように言ったり、ファーストローズをもらったり最初のデートをしたとはいえ岩間さんが自信満々なのが不思議だった。

番組には映らないところでの対応や態度で、そういう雰囲気が出ていたのだと思う。「俺のことをどう思っている?」って、完全に追いかける側が言うセリフだしな。

 

番組だから気になる子がいてもその子にばかりアプローチするわけにはいかない、他の女性陣の見どころも作って盛り上げなくてはいけないストレスはあったと思う。

だけどMCも女性陣もたまらず突っ込んでいたとおり、そもそも「バチェラー」はそういう番組だ。「追いかけたい男らしい俺」でいたいなら、婚活にでも合コンにでも行けという話になる。突発的な追いかける恋愛ではなく、それなりの審査を通った女性の中からじっくり向き合える相手と結婚を考えたいと思ったから番組に出たのでは?

小手先の誤魔化しで「カッコイイ俺」に常に酔っぱらうのは自由だが、それが他人にも通じると思っている浅はかさが友永氏のイライラするところだ。

野原さんみたいに「そこが可愛い」と言ってくれる人、水田さんみたいに「カッコイイ」と付き合ってくれる人がどれだけ貴重かもわかっていない。

「男らしく思いを貫く俺」と岩間さんの「その気がないのに求められてしまう私」が補完し合う世界観は他人は巻き込まれないし、それはそれで幸せなのかもしれない。フランスの食事のシーンを見ると、雲行きが怪しいが。

 

自分はみっともなくとも誰かとぶつかっても「欲しいものは欲しい」とはっきり言う女性が好きだ。もしくは怖いならその怖さを隠さずに、素直に向き合う人がいいなと思う。

最初の推し面は城田さんだった。自信のなさが全身からにじみ出ていて、いいところを言ってあげたくなる子だった。仲がいい濱崎さんに嫉妬しているところも素直でよかった。

どこまでも自分の気持ちに素直な汐美さんも好きだった。わがままで傲慢で、それを隠さない天真爛漫さがよかった。いじられてもムッとせずのっかる明るさもある。

同じ系統で李さんも好きだ。「男に待たされたことなんかない」って格好いい。

エロ可愛い田尻さんも大好きだ。個人的には、田尻さんが落とされてマジでよかった…と思った。田尻さんにも颯くんにももう少しいい人がいると思う。

それは落とされた全員に言えることで、友永氏が岩間さんと結ばれた結末は、番組内の「お話」としては収まるべきところに収まった、と自分は思っている。

 

岩間さんも人としては苦手なタイプっぽいが、「登場人物」としては面白い人だった。

「影の悪役キャラ」としての彼女がいなければ、ここまで「バチェラー3」を面白いと思わなかっただろう。なんだかんだ言って美女だし、見ている分には楽しい。

「『岩間さんは一番本音で俺とぶつかってくれた』。何を言っているんだwww」

と突っ込みを入れているだけで十分楽しかった。

 

自分の中では「春にして君を離れ」みたいな話だった。「なんだかんだ言っても、人は変わんねーな」という結論だった。

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