前回。
「グイン・サーガ11 草原の風雲児」まで読み終わった。
6巻から11巻までの感想の箇条書き。
多種多様な登場人物、国ごとの風習や傾向の違いが面白い。
舞台が中原、パロに移って、ナリスやスカール、マリウスが登場。
これで主要登場人物八人が出そろった。
大好きなヴァレリウスも出てきたので、テンションが上がる。
文明圏の話が中心になって、様々な国が出てくるが、登場人物の多種多様性はもちろん、国によってまったく文化や風習や風景が違う。服装も風習も住む人も食べる物も違う。
土地柄の説明を読むだけでも、「地球の歩き方」を読んでいるような楽しさがある。
「皆は私を、公女将軍とか、氷の公女、と呼びますわ。私は、氷のように動かしにくいのです」(略)
「氷は、炎の情熱にあえば、たやすくとけてしまう。あなたが氷なら、それはきっと、あなたがまだ炎に出会ったことがないからだ。違いますか?」
(引用元:「グイン・サーガ7 望郷の聖双生児」栗本薫 早川書房/太字は引用者)
このナリスのセリフも、これ単体でも「よく思いつくな」と思う。
だがそれ以上に、このセリフだけでパロという国がどういう国か、モンゴールではこういうセリフがスッと出てくる人間が一人もいないのだろうな、とか、だからアムネリスはあっさりナリスに篭絡されたのだろうという流れが納得出来てしまうのが凄い。
騙して利用することしか考えていなかったアムネリスにはこんなに余裕で優しく出来るのに、リンダに対しては滅茶苦茶冷たく意地悪く接するところも、昔は「ん?」と思っていたが、今読むとニヤニヤが止まらない。
アムネリスは、ナリスにもイシュトにも利用されるだけで散々だ。
ミアイルに対する態度を見ると、まったく同情する気になれないが。
昔は、何とも思っていなかったミアイルの死がキツかった。
ミアイルと同い年くらいのときは、「まあ自分がナリスでもそうするな」くらいしか思わなかったのに、今回は自分でもびっくりするくらいミアイルに同情してしまった。
ミアイルが可哀想で先が分かっていても、ロルカを説得しようとするマリウスに感情移入してしまう。
暗殺じゃなくて誘拐じゃ駄目なのか。駄目だよな……。
年々、子供が辛い目に遭う展開が辛く感じるようになった。
「蠅の王」のように子供同士の争いならばいいけれど、先日読んだ「徒花」のような大人が子供を虐げる描写はどうも苦手だ。
歳を取ったということだろうか。
グインがレムスに「王は暗愚に見せかけて、部下に頼って果実を取らせるくらいがちょうどいい」と忠告していたけれど、それでいくとミアイルは意外といい王(大公)になったんじゃないかな。
まあモンゴールは余り人材がいないので微妙なところだけれど。
煙とパイプ亭
オロの実家、煙とパイプ亭が出てきた。
「オロの最期が知りたい」というゴダロとオリーの願いを叶えてあげたい、という思いが60巻くらいで回収されるのだから凄い話だよ、ほんと。
「グイン・サーガ」は飯テロが凄いが、特に煙とパイプ亭はピカ一だ。(次点はケイロニアの屋台)「オリーおばさんの肉まんじゅう」食べたい。
リンダも大概では。
アムネリスは、自分が占領した敵国の王子と恋に落ちるなどという妄想を信じてしまうところが失笑ものだったが、これから国を奪還するために戦うのにイシュトのことばかり考えているリンダも大概だ。
レムスの苛立ちがよく分かる。
リンダは皆から絶賛されるけれど、自分の中では予知能力があるだけで、シルヴィアやアムネリスとどっこいどっこいだ。
レムスのほうがよっぽど頑張っている、と思うが、ナリスという絶対的なキャラがいるので、割を食う運命が目に見えているところが気の毒すぎる。
モンゴールの人材不足
カースロン、タイラン、ボーランと見ていると、モンゴールはろくな人材がいない。娘はあんな感じだし。
ヴラドの性格や考え方は、野望を叶えるにはちょうどいいのだけれど、人を育てるなど国を維持するには余り向かないのだろうと思うが、さすがにちょっと気の毒すぎる。
国内事情を見ると、パロを占領しても維持出来るとは思えないけれどな。こういうところにヴラド大公の性格が出ていると言われればなるほどという感じがするけど。
サラが好きだった。
ナリスにヤンデレのサラがかなり好きだったことを思い出した。
「あのナリスが、心理を読み違えて女に裏切られる」という、ナリスに一ざまあを与えただけでも十分にキャラが立っていた。
もう少し出てきてくれると嬉しかった。お疲れ様でした。
12巻は沿海州連合の会議から。
沿海州の国々の首長たち、アンダヌスとかヨオ・イオナとか面白いキャラが多く、それぞれの国が思惑を隠した駆け引きが楽しい。
このあとほとんど出てこないのが残念(確か)。
カメロンが出てきたが、自分はアリが好きなのでカメロンにはうーん……という思いがある。
続き。16巻まで。