うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

【Bloodborne(ブラッドボーン)考察】世界観の基本的な考え方&大まかなストーリー

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今さら『Bloodborne』(ブラッドボーン)に無茶苦茶ハマっている。

「難しそうだな」「世界観が合わなそう」と喰わず嫌いしないで、もっと早くプレイすれば良かった。

【PS4】Bloodborne PlayStation Hits

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考察もやりつくされていると思うが、考えることが好きなので自分なりに一から考えたい。

ゲームをクリアしてからじっくりやろうと思ったのだが、考え出したら楽しくて止まらなくなってしまったので、途中経過ということで現時点での考えをまとめた。

 

①現在、「メンシスの悪夢」に入ったところまでプレイした。

②他の人の考察や制作者のインタビューなどはまったく読んでいない。

③参考にしたのは、プレイしたところまでのアイテムフレーバーテキストと「ブラッドボーンオフィシャルアートワークス」。

Bloodborne Official Artworks

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*テキストがほとんど載っていないので最初はがっかりしたが、イラストが細微で見ていて飽きない。「ブラッドボーンの世界観が好き」という人は買って損はないと思う。未プレイでも「クトゥルフ神話のような世界観が好き」という人にはおススメ。

敵キャラの全景や防具、武器のイラストが緻密で美しく感動する。

 

 

 

基本的な世界観の考え方

「ソウルシリーズ」の考察の時と同じで、「ブラッドボーン」も言葉の使い方が独特だと考えた。

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「言葉の機能そのものが、自分たちの考えるものと少し違う」という発想から出発している。

 

例を上げると「医療」という言葉は、「ブラッドボーン」の世界では、一般的に考える「医療」(治療)ではない。

「探求」である。

自分たちの世界の言葉の感覚で考えると「医療」と「狩り」はまったく別物だが、「ブラッドボーン」の世界では「医療」と「狩り」は「探求」と(ほとんど)イコールで結んでしまっていい。

 

これは「教会の白装束装備」「教会の黒装束装備」「鎮静剤」のテキストで説明されている。

「血の医療」=「拝領の探求」なのだ。

 

例えば「教会の白装束」のテキストに出てくる「彼らは黒い予防の狩人たちの上位者であり、実験に裏打ちされた、血の医療と獣の病の専門家である」は、「彼らは(略)拝領の探求と獣の病の専門家である」に読み替えられる。

 

「血」という言葉が出てきたときに現実で言う「血液」だけを指すのではなく、「ブラッドボーン」の世界の中で「血」という言葉で表す概念のうちどれかを指したり、その概念全般を指したりする。

 

「血の医療」と言った時は「拝領の探求」を指すが、かと言って「血」=「拝領」ではない。その時々によって意味が変わる。

その意味の法則性は、テキストやNPCのセリフなどから推測できるようになっているが、「血は血液である」「医療は治療である」という風に現実の言葉の法則性で考えてしまうと、話が分かるようでわからなくなってしまう。

 

例えば「医療教会の源流はビルゲンワース」というのも、「史学と考古学の学舎だったビルゲンワースが、何故突然医療の方向へ?」と現実の言葉として捉えるとつながりづらいが、「史学と考古学の学舎だったビルゲンワースが、探求を目的とする教会の源流だ」と言われると、学舎が教会に変わっただけで探求を続けているのか、とわかりやすい。

 

医療教会の歴史

医療教会の歴史は、「ブラッドボーン」のストーリーでも比較的わかりやすい箇所だと思うが一応整理したい。

 

・「史学と考古学の学舎」ビルゲンワース

学長ウィレームが二人の下僕を従え、地下遺跡へ行き「古い上位者たちの神秘」を発見。

 

・「古い上位者たちの神秘」により(もしくはその追求の過程で)獣の病が発生する。

・血の医療(拝領の探求)と獣の病の探求のために、医療教会が誕生。

・白装束の上位者たちは医療という方法で探求を行い、下位の黒装束の医療者(探求者)は、狩りという方法で探求を行う。

 

・医療教会の上位会派が「メンシス学派」と「聖歌隊」に分かれる。

 

・メンシス学派(隠し街が拠点)

・聖歌隊(聖堂上層が拠点)

聖歌隊は大聖堂の孤児院から始まっており、孤児院は学習と実験の場だった。

聖歌隊はビルゲンワースの思索を引き継ぐ。

空を見上げ、星から徴を探す。

 

医療教会の上位学派である「メンシス学派」と「聖歌隊」は、異なる方法で同じ目的を目指している。

 

ここまでプレイして考えた大まかなストーリー

「ブラッドボーン」のストーリーは、「古い上位者たちの知識」を自分の物とし、それを受け継ぐ方法を模索する人々の話だ。

 

「上位者たちの智恵」は、本来は人間の頭脳に耐えられるものではない。「神秘の研究者」たちが狂うのは、ありふれたことだ。

だが狂ってしまったら、その知識を受け継ぎ伝えることが出来ない。

ゆえにビルゲンワースの人間たちは、人の身でその知識に耐える方法を模索してきた。

 

ビルゲンワースは医療教会となった後も、「(上位者たちの智恵=神秘の)拝領の探求」を続けてきた。

「拝領」の方法論によって、上位会派は「メンシス学派」と「聖歌隊」に分かれた。

 

 

「メンシス学派」について

「メンシス学派」は、「気の狂い」を沈めさせてくれるものとして人血を求めた。そのために「人さらい」を行っている。(「血の聖女」であるアデーラがヤハグルにいたのはそのためだと思う)

また「メンシスの檻」によって意思を律し、夢を媒介として上位者たちと交信をする方法を取っていた。

 

「全ての上位者は赤子を失い、そして求めている。故にこれは、青ざめた月の邂逅をもたらし、それが狩人と、狩人の夢の始まりとなったのだ」

「赤い月が近づくとき、人の境は曖昧になり、偉大なる上位者が現れる。我ら赤子を抱かん」

「だから奴らに呪いの声を。赤子の赤子、ずっとその先の赤子まで。すべての血のなき者たちよ」

 

「上位者は赤子が欲しい」と言っており、だが「血のなき者たち」の赤子にはその先まで呪いが与えられている。(ここは、解釈が違うかもしれないが)

「血のなき者たち」とは何なのか。

恐らくは「上位者の智恵を受け継がない者」という意味ではないか。

 

「血の遺志」というように血は遺志を継承することが出来る。

「赤子」は「狂わずに上位者の知識を受け継げる者」くらいに読み取るといいのではないか。

「青ざめた血」の「青」は、「青い秘薬」が「脳を麻痺させ遺志を保つ」ように「上位者の神秘に触れても狂わないための血」と考えている。

 

この辺りはまだちょっとすっきりとした説明が浮かばない。

「青」と「赤」の対比が重要なのではと思うけれど、また後で何か材料が出てきたらゆっくり考えたい。

 

「聖歌隊」について

「聖歌隊」は、脳=瞳(星)=宇宙と考えることで、宇宙(湖)にいる上位者とつながれると考えた。

かなりふわっとした感じになるが、星輪草を育てているのは、「星が多ければ多いほど宇宙とつながることが出来る」……というより、星=瞳が宇宙、という発想なのではないか。

星輪草を育てることで「宇宙に触れているイズの地」を人工的に作ろうとしているのでは、と考えた。

聖歌隊の「星の瞳の狩人証」が「その瞳は宇宙をかたどっている」のはそのためだと思う。

教室棟でも瞳の苗床が出てくるので、元々「宇宙は瞳の中にある」という発想があったのだろう。

また「星の瞳の狩人証」のテキストで書かれている「我々のすぐ頭上にこそ、まさに宇宙があるのではないか」は、場所である「聖堂街上層」に上った理由であると同時に、「頭上=脳」と考えると、聖歌隊がいる場所に「脳喰らい」がいる説明にもなる。

 

個人的には「ブラッドボーン」のストーリーを考えるときは、

「我々のすぐ頭上にこそ、まさに宇宙があるのではないか」

というテキストが出てきたら「頭上」=空とだけ考えるのではなく、「頭の上だから脳ともつながる」という風に考えたほうがわかりやすいと感じる。

「だから脳喰らいがいるのか」

「だから星界からの使者は頭が肥大化しているのか」

とわかるし(本当にそうなのかはともかく)

「星=瞳で瞳は宇宙をかたどっているから、宇宙と交信するために星輪草を一生懸命育てているんだな」

と納得できる

 

そうして聖歌隊が「見捨てられた上位者」と共に「聖堂街『上』層」にのぼったことを根拠として、今度は他の場所で「上」と出てきたら上位者のことを指すのではないか、と考えることが出来る。

 

デュラのセリフである「上の人々に何の被害があろうものか」というセリフは、文字通り「上に住む人たちや医療教会の人間」という他に「上位者の知識の探求を目的とする人々」のことも表すのではないか。

ざっくり言うと「もう自分たちには狩り(=上位者の知識の探求)は関係がない」ということが言いたいのではないか。

 

さらに考えを延長させると、「旧市街は獣の街(略)上の人々に何の被害があろうものか」というセリフは「獣と上(位者)」が対置されるものだ、ということを示唆していると考えられる。

「上位者と対置するもの」という概念で以て、獣と人間は結ばれる。(人間も上位者の智恵には耐えきれないため)

 

医療教会の人間たちは、上位者の知識を得るために、獣=人を殺している、それが彼らの探求であり、「人を殺すことが探求」であることを以て、彼らは既に人でなしになっている。

こういう風に考えていくと、話がわかりやすい。

 

とりあえず今のところは、こんな風に考えている。

また先に進んだら少しずつ考えていきたい。

 

隅々まで歩き回りたくなる魅力的な世界観

ゲームを始めた時は、「世界全体ではなく一地域の話だし、街が何かの病で変異してというのもありがちだな。世界観はダークソウルのほうがいい」と思っていたが、とんでもなかった。

ふんわりとした雰囲気世界のように見えて、現実とは違う法則が細部まで行きわたっている。キャラクターも背景も経緯も街並みもテキストも、全てがその法則性に則って細部まで作りこまれており、驚くくらい独創性があって完成された世界観だ。

クトゥルフ神話の影響が強いけれど、それを材質として使った世界の組み立て方は稀に見るくらい独特だ。

 

鋸鉈のような独特の武器、銃パリィの恰好良さも敵の不気味さも全てが好きだ。

ゲームとして抜群に面白いが、それでも世界をゆっくり歩いて見物したいからゲーム要素がなくても良かったと思ってしまう。

 

本当に、何でもっと早くやらなかったんだろう……。

 

まだまだ先が長そうなので、またゲームを進めて思いついたことや考え直す部分があったら、まとめていきたい。

 

 

続き。

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