うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

【エルデンリング考察メモ2】メリナの正体について/答えにたどり着くまでの迷走(ボツ案)/考察のやり方のルールなど。

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前回。エルデンリングの超ざっくりした世界観について。

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今回はメインヒロイン? メリナの正体についての考察。

(©フロムソフトウェア)

頭がはげるほど考えて、最終的に「こうではないか」と考えがある程度固まった。

他の人の考察をザっと見たけれど、自分が考えた案はなかった。(もしかしたら自分の観測範囲外で考えている人がいるかもしれないが)

 

メリナの正体は「火」

火の幻視を宿す者、その贄だけが、大釜の火で世界樹を焼くんだよ」

と指読みのエンヤが言っているが、ここで出てくる「幻視」はマリカの説明でも出てくる。

「女王マリカは、エルデンリングの宿主、その幻視を宿す者」を、対象をメリナにすると「メリナは、火の宿主、その幻視を宿す者」になる。

 

「幻視」とは何か。

「それは、大いなる意志の眷獣であり律たる概念の具現であった」(エルデの獣)

とあるように「概念の具現」ではないか*1

「(大釜の)火」は実際に目に見えるものなので、正確にはメリナは「(大釜の)火が象徴する概念」を具現化した存在なのではないかと思う。

 

「大釜の火が象徴する概念」とは何か。

「ダークソウル」でいうところの「最初の火」ではないか。

「大いなる意志が人間に与えた火」だ。

 

「ダークソウル」をやっていない人のために説明すると、「ダークソウル」の世界では「火」の概念は二つある。

対立する概念がない灰色の時代に「差異」をもたらした「最初の火」。

これが生死の境目がない時代に「生と死」をもたらした。「生死がわかれた後の時代」では、「生命そのもの」を象徴するものになる。

これ以外に「混沌の炎」という別の「火」がある。同じ「火」なのでややこしいが、この二つはまったく別物だ。

 

「エルデンリング」のメリナが種火となった「火」と、三本指が象徴する「狂い火」も同じ関係だ。

「黄金樹(祝福)」が前者の「最初の火(神から与えられた火)」を表し、放浪の民がつけている焚火が「狂い火」を表しているのではないかと思う。

「「狂い火」を呼び、地に埋められた一族の霊体。瞳から恐ろしい狂い火をほとばしらせる病み人(略)」(放浪の民の遺灰)

 

メリナが「黄金樹の麓で生まれた」のは、「最初の火」があの大釜の中の火だからではないか。

「トロルたちは巨人の末裔であり、これは古い祭具、鍛冶道具であるという。古では、鍛冶とは神事であった」(トロルハンマー)

「神から与えられた火」だから、火を使う鍛冶が神事だったのではないかと思う。

メリナが「最初の火」だとすると、母親はこの火を世界に与えた人(?)なので「大いなる意志」になる。

 

メリナの最期のセリフである「炎と共に歩む者。いつか、運命の死に見えん」は、メリナ本人の運命を語っているのではなく、「生命(炎)は必ず死ぬ」という「律」を話している

「この世界には修復が必要だと思う。そして、分け隔てない死が」

「分け隔てない死がある世界」にするために、「黄金樹を焼いて、生きている者がちゃんと死ぬ『律』を戻す」と言っているのだ。

黄金樹の律は、祝福のない者(律の外にいる者)は還樹することが出来ず、「死を生き続ける」「分け隔てがある死」だ。この律をなくし、生あるものは必ず死ぬ世界にするということだ。

 

メリナは「生と死の概念があり、きちんと分けられ連環する世界」を作ろうとしている。「ダークソウル」において、「最初の火」はまさに「生死の境目をもたらすもの」だった。

全ての生を、その思いを喰らう混沌」

生があること、産まれることを否定して欲しくない」

生なき世界に、王などいるものか」

メリナは主人公が狂い火ルートに向かおうとすると、繰り返し「生への賛歌」を謡い、止めようとする。

「生きることは素晴らしい」という普遍的な一般論のように見えるが、これはメリナ自身が「生命を象徴するもの=最初の火」であるために何回も同じ言葉を繰り返し、主人公を止めようとしているのだと思う。

「そして貴方に。運命の死を」

主人公が狂い火の王になった際のこのセリフもよく考えるとおかしい。

「狂い火」は「全ての生を喰らう混沌」なのだから、普通に考えれば「=死」だ。

「そして死に、運命の死を」になってしまう。意味が通じない上に、メリナは「分け隔てのない死が必要」と言っているので、「(ちゃんとした=運命の)死」をむしろ肯定している。

だが「混沌=生死の概念がない世界観」「メリナ=生死の概念がある世界観」と考えると、メリナ=最初の火(生命)は当初の目的通り「分け隔てのない死」を世界にもたらすために存在し続ける、ということになる。

メリナの左目は、黄金樹の律の中では封印されていた「死」を表すのではないかと考えている。

 

「ねえ貴方、大罪に向かう準備はできた?」というメリナの言葉は、何気なしに読むと(メリナが人間だと思うと)「一緒に大罪を犯そう」という誘いに見える。

だが指読みのエンヤのセリフ「どうして、大罪が大罪のままであると言えようか。だから、あんた、やっておしまいよ自分が正しいと思うことを、やればいいさね」を読むと、「大罪を犯す主体」は主人公なのだ。

 

ムービー(幻視)だとメリナが自らの体に火をつけ黄金樹を燃やしたように見えるが、現実的に見れば主人公が大釜に種火を投じ、黄金樹を焼いたことになる。

「エルデンリング」の世界は、実体と幻視で実体が上位とは限らない世界なので、(仮にこの説が当たっていたとしても)「実体が真実で、メリナはただの幻なのか」と思う必要はないと思うが。

 

★「メリナ=火」だとしたら。浮かんだ疑問とそれに対する答え。

問「なぜメリナは、マリカの言霊が見えるのか?」

メリナがマリカの言霊が見えるのは、ずっとこの世界に存在し続けていたから記憶にあるのではと思う。

問「トレントとの関係は?」

トレントは黄金樹(の律)以前に死んで、焼かれた存在ではないかと考えた。

「まだ黄金樹無き頃、死は霊炎に焼かれた」(爆ぜる霊炎)

問「目の紋様は何?」

死を封じているのではないか。

「その珠は、世界であり宇宙であり瞳であり、知ることの終わりなきを示している」(百智の王笏)

「瞳=世界=宇宙」なので、「火による分け隔てのない死」がない世界では死を表す「青」の瞳は閉じられている。

ただ、この辺りは自分の中でもかなりあやふや。

 

考えたがボツにした案

★「宵眼の女王」の娘、もしくは本人(母親はマリカ)

一番考えたのはこの説。

ただ「宵眼の女王」の関係者だった場合、炎は必ず黒炎でなければならない。

 

「概念の具現」=「幻視」は、ルールがなければ「『視る人』がその物体に対してそのイメージを持てば何でもアリの世界」になってしまう。

何故、数ある概念や事物の中でメリナが象徴しているのは、「火である」と思ったのか。

「その概念がどんな風に具現化されるか」には必ずルールがある。

自分が考える「概念の具現化ルール」は、作内にも出てきた

「それ即ち回帰と因果であり、回帰とは万物が不易に収斂しようとする、意味の引力である」(回帰性原理)

「それ即ち回帰と因果であり、因果とは万物を関係性の連環となす、意味間の引力である」(因果性原理)

これだ。(黄金律原理主義者笑)

「全ての物には、その世界の人の認識では(ほぼ)共通した意味が存在し、同じ意味同士は必ず接続できる」

もっと平たく言えば「イメージが同じでないものは接続できない」

 

「宵眼の女王」は、神肌やマリケスのエピソードでは「運命の死」「死のルーン」として出てくるので、つい接続したくなる。(実際、考えた)

「運命の死」という一般的には言葉以上の概念が与えられていない言葉が、特定の状況で「宵眼の女王」を表すかどうかは、文脈に依存する。

「宵眼の女王」は「(生物が逃れられぬ運命)死」を象徴するが、「運命の死」=宵眼の女王ではないので(記号と象徴の違い)、「運命の死(死のルーン)」と出てきたとしてもそれが即「宵眼の女王」を表すわけではない。

 

メリナ関連のイベントでは、「運命の死が宵眼の女王である」とする文脈が一切存在しないので(例えば炎が黒ければそれが文脈になる)、「運命の死」は一般的な意味での「死」であると解釈した。

 

この説は凄く考えたけれど、どう考えてもしっくりこなかったので最終的には上記のように考えてボツにした。

ただ左目が青い、神肌の使徒がいる風車村に罪の大火が落ちている、宵眼の女王だけ本編にほぼ出てこないなどを考えると捨てきれない説である。

 

★ラニの関係者説

目の紋様が同じなので、少し考えたが、それ以外はいくら探しても他に関連するものがなかった、イメージが重なるものがなかったので没。

リエーニエの神受塔の遺体は、メリナのものじゃないかとまで考えた。焼け爛れている(ように見える)し。

 

マリカの娘説

「黄金樹の麓で生まれた」という言葉からつい考えたくなるが

・神人である、という説明がない。

・大ルーンを持っていない

・破砕戦争に参加していない

・マリカの言葉を伝える時に、呼び捨てになのも不自然(マリカが母親だった場合、主人公に関係を隠す必要はない)

などの理由から没にした。

広義の意味では親と言ってもいいような気はするが。

 

★フィアの娘説

「宵眼の女王」説の次に、色々と考えたのがこれ。

「死」「母親」「自らの意志」という3つのワードで重なっていたから。だがそれ以上は進まず没。

フィアに萌えているので、そうだったらなあという願望が多分に入った。父親はライオネル……は嫌だな。

 

★マレニアの娘でミリセントの本当の妹説

・ポリアンナと同じ使命の刃を使う。

・名前がマ行。

・髪の毛が赤みがかっている。

・絵画「飛べない鳥」が「罪の大火」の場所を表していた。

・片方の目が閉じられている。

などから考えた説。

ただこれもマレニア関連には、「炎」のイメージがほぼないため没。「朱い腐敗」が「朱色」なのは、「火」とイメージを被らせないためではと思う。

 

★火の巨人の娘説

リエーニエの遺体はメリナではないか→焼けただれて?左足がないことから思いついた説。

火の巨人は女性ではないか、と真剣に観察した。

当然のように没。

 

色々考えた末に、今回取った説が一番、矛盾なく筋が通るのではないかと思うけれど、絶対的にそうというわけではなく、他の説と比べて比較的、という感じだ。

また少ししたら考え直すかもしれないけれど、今のところはこうかなと思っている。

 

考え直しました。

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永遠の都&シーフラ、エインセル河の文明について。

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*1:「概念の具現」を全てつなげると、「ラダゴン=エルデの獣=律を具現したもの=黄金律=大いなる意志の眷属=マリカ=幻視の器=エルデンリング(の宿主)=王の伴侶」になる。なので「幻視を宿す者」と出てきたら、「火の幻視を宿すメリナ=火」と考えられる。「幻視」は記号ではなく象徴なので、正確にはイコールではないけれど、ここではわかりやすくするために「=」を用いている。