Amazonで
という本を見つけた。
1934年にプロテスタント系の異端セクトとして誕生した宗教団体「ブランチ・ダビディアン」の話だ。
「ブランチ・ダビディアン」は1993年2月に「ウェーコ包囲」と呼ばれる包囲捜索を受け、子供を含む多数の犠牲者を出したことで有名らしい。
wikiの記事を読んでみたが、知らないことばかりでこんな事件があったのかと驚いた。三十年も前のことだから事件当時のことを知らないのはわかるが、その後も事件のことについて見聞きした記憶がない。
事件そのものと「人はなぜ『メシア』を求めるのか」*1という副タイトルに心惹かれ、購入しようと思った。
が……9800円……orz。
で、電書で……というのは、採算が取れなければ出版社としては難しいよなとわかる。
とりあえずレビューを読んでみた。本の場合は大抵レビューを読むが、たまに凄く面白い内容のものがある。
最初のかたは「ブランチ・ダビディアン」に興味があるようで、他にも関連書籍が何冊か出ているので翻訳して欲しいと書いている。
もう一人のかたは長文を書いているので、「どれどれ」と思い読んでみた。
なんとこの人は「オウムの出家修行者だった時」にこの本に出会ったらしい。そうして「ブランチ・ダビディアン」とオウムの類似性に思い至り、紆余曲折を経て結果的にこの本が「オウムを脱却するための最初のステップ」になったそうだ。
へえ、そういうことがあるのか、と驚いた。
人も思想も本も縁である。
現在問題になっている旧統一教会の問題を受けて書きなおした他の本のレビューでは、元信者の視点でカルト対策などを語っていて興味深く読んだ。死刑が執行された井上嘉浩の裁判の感想なども書かれていた。
外から見るとオウムのような(信じたかたには申し訳ないが)見るからに荒唐無稽な宗教をなぜ、高学歴で見るからに頭が良さそうな人たちが信じてしまうのかと不思議だ。
だが心が弱って視野狭窄に陥っている時に信じてしまい、一度自分が信じて全面的に受け入れたことを客観視しろと言われてもなかなか一人では難しい、と言われると確かにと思う。
極端な信仰にハマって抜けられなくなる過程は、だいたい基盤に「本人の疲労・消耗」がある。
身体が弱ると免疫機能が落ちるのと同じで、心が弱ると、すぐに答えを与えてくれそうな強烈な思想に対する抵抗力(思考力)が落ちてしまうのだ。
そういう状態の時は、誰でもハマってしまう可能性がある。性格や意思の強さはほとんど関係がない。
この人はオウムと相似点がある「ブランチ・ダビディアン」を外側から見ることで、内部にいる自分とはまったく違う景色が見えて、脱会するきっかけを掴むことが出来た。
輪に囚われている時に輪の外側の視点を持つことは凄く難しい(というより、『輪』を認識することが難しい)。
だがよく似た何かを客観視することで、疑似的に輪の外に出て自分がいる場所を眺めることは出来る。
類似のケースを知ることは、やはり大事なことだなあと改めて思った。
*1:これはほんと興味深い。