うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

冨樫義博「HUNTER×HUNTER」の連載が再開するので、31巻(ハンター協会会長選挙&アルカ編)から、36巻までストーリーをおさらいしたい。

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10月24日発売のジャンプから、「HUNTER×HUNTER」の連載が再開するらしいので、これを機会にうろ覚えの31巻からストーリーをおさらいしてみた。

 

*ネタバレ注意。

 

31巻~32巻「ハンター協会会長選挙&アルカ編」

前会長ネテロが死んだため行われたハンター協会の会長選挙と、念能力の誓約のために呪われたゴンを助けるために、キルアが奮闘する話が同時並行で進む。

まったく関連性のない話だが、最終的にうまく合流するので何となくつながっているように見える。

あれだけ色々と条件を説明しておいて「キルアの命令ならナニカはノーリスクで何でも聞いてくれる」というオチは、理屈だけで考えるとずっこけそうだ。

だがそれならなぜ最初からそうしないのか、という理由そのものが、キルアにとってどれだけ家族(主にイルミ)というしがらみが重いか、アルカやナニカへの愛情が大きいかを表しており、そのアンビバレンツが本来は単純な話があれほどややこしくしている、「単純な話がややこしくなるほど、キルアはその狭間で苦しんでいる」という構図がほんと巧い。

(引用元:「HUNTER×HUNTER」31巻 冨樫義博 集英社)

(引用元:「HUNTER×HUNTER」32巻 冨樫義博 集英社)

 

こんなん見たら「最初から、ゴンのところに連れて行くように命令すれば良かったのでは?」とはそりゃあ言えんよ。

キルアに大して興味がなかった自分も、この話の「お兄ちゃんぶり」にはだいぶやられた。

「HUNTER×HUNTER」はとびぬけて好きなキャラも嫌いなキャラもいないが、ゾルディック家の執事たちは好きだ。特にツボネとゴトーが好きなので、ゴトーが死んだ時ショックだった。

 

33巻「ジン対パリストンの駆け引き編」

チードルには悪いが、会長選挙は前哨戦でこちらの対決が本筋という感じがする。

「ジンがどういう人物か」という説明回のようなストーリーだった。

鬱陶しいな。

確かに思考が似すぎている。

これが同属嫌悪かな。

すごく、鬱陶しい。

初めて人を嫌いになれそうだ。

楽しみだよ、ボクが嫌いになった人間をどうしたくなるか。

パリストンのこの考え方には、ちょっと親近感を持った。

自分と思考過程が似ている人は、自分もちょっと苦手だ。(即嫌いとはならないけれど)自分が考えていないのに考えが進んでいる感覚があって、それを「鬱陶しい」と表現するのは少しわかる気がする。

動く歩道に乗っていて、後ろから煽られている感じがするのだ。(わかりにくい)

 

ミュヘルとの会話でジンが

「オレは先に口に出してしまって、後から『何であんなことを言ったのか』理屈をおっかけることが多いんだが、今回も正にその典型でな」(33巻)

自らの思考回路をこう説明しているが、自分が考える「HUNTER×HUNTER」の面白さがこれだ。

36巻で旅団もオウ=ケンイから

「バランスとは無縁。あけすけで敵味方に頓着がなく、手前勝手に動き、それを通す能力がある」(36巻)

と評されているけれど、「HUNTER×HUNTER」はまず面白そうと思う状況を作って、そこで何をするかを考えるという発想を取っている。(キャラもそういう考え方の人間が多い)

普通はやりたいストーリーがあって、そのストーリーに合わせて能力や条件を考えると思うが、「HUNTER×HUNTER」は逆だ。

まず色々なもの(条件)を配置して、とりあえず動かしてみるというライブ感がある。

「出たとこ勝負の運任せ」は、普通だったら破綻するか、出落ちしそうなものだが、どんな条件でも筋が通った答えが即興で提示されていく。

そのスピード感、ライブ感、しかも見ているほうが「えっ?」と思う意外な解き方を見せてくれる爽快感がたまらないのだ。*1

34巻の後書きで「ヒソカはあの場でマチを殺したがっていたのですが、僕が却下しました」*2「おそらくマチを残しておいた方が後々面白くなるという予感です」と作者が書いているが、これはそういうことだと思う。

ストーリーの大筋は決まっていても、それを走らせてみてどうなるかはその瞬間瞬間の勘で判断している。理屈は後で考える。

全速力で走っている列車の切り替えポイントをひょいひょい操っている、しかもそのレールの道筋や選んだ理由を全部説明出来る。「凄い」という言葉しか出てこない。

 

34巻「ヒソカ対クロロ」

この二人が頭脳戦で戦うのは意外性がないので、もっと肉弾戦寄りの勝負が見たかったなとちょっと思ってしまった。面白いからいいんだけど。

「クロロとヒソカがガチで殺し合いをして、二人とも生かす」という条件をこういう形でクリアするところがやはり「おおおっ」となる。

 

35巻~36巻「王位継承編」

とにかく登場人物が多い。覚えきれない。

これだけ人数を出すのも凄いが、さらに一人一人に念能力を付与するのか。

人物が多いこともさることながら、ルールや条件や思惑も交錯して無茶苦茶複雑。

「上位の王子は他の王子を殺して、王位継承したい」が「下位の王子は何とか王位継承を離脱したい」という目的の違い、「他の王子を殺さなければ王位は継げないが、直接殺せば罪に問われる」などの縛りも加わって、理解するのもひと苦労だ。

上記に上げた基本ルールだけを押さえて、後は二線者たちや旅団がどう関わるかに注目しとけばいいかな。

センリツには頑張って欲しい。

「HUNTER×HUNTER」の中でかなり好きなキャラだが、今回さらに株が上がった。

カーチンとフウゲツを助けてあげてくれ。

 

まとめ

情報量が多いので読むのに他の漫画の二倍はかかるが、読むとやっぱり面白い。

「王位継承編」をもう二巻やっているが、まだほとんど進んでいない。メインキャラのクラピカの目的が「停滞」だから、ある意味上手くいっていると言えないこともないが。

それにしても暗黒大陸に着く前の船内で、これだけたくさんの登場人物が絡む話が起こるのが凄いな。

 

11月4日発売の37巻の表紙はモレナみたいだが、エイ=イ一家がメインの話かな。

 

*1:自分は。

*2:個人的にはこの言葉に「そんなわけない」と思う人は、創作を読むのに余り向いていないと思う。