*本記事には冨樫義博「HUNTER×HUNTER」の32巻以降のネタバレが含まれます。未読のかたはご注意ください。
11月4日に37巻が発売されたが、案の定以前の設定を忘れている。
また続きが出た時に、「どういう展開だったか」を一から把握しなきゃならない*1のは大変なので、次巻以降のために自分がわかりやすいように設定を整理しておこうと思った。
そもそもの始まり。カキン帝国が暗黒大陸への進出を宣言。
カキン帝国の国王ホイコーロが暗黒大陸への進出を宣言し、その総責任者としてネテロ会長の息子ビヨンド=ネテロを任命する。
ビヨンド配下の動向
十二支んの「子」だったパリストンは、元々ビヨンドを暗黒大陸に向かわせるために、暗黒大陸探索のために役立つ専門家を育てて組織を作っていた。
協会内部で200名前後おり、今回暗黒大陸を目指すのは25名ほど。(ジンの推定)
ジンもビヨンドの宣言を受けて、ビヨンド配下のNo2になる。
ジンの目的は「パリストンをNo2からひきずりおろして企みを阻止したいのも本心だし、ビヨンドの計画そのものには協力したいのも本心」「オレも混ぜろ」(第347話)
ビヨンド配下はハンター協会の試験を受け、ビヨンド周辺に潜り込もうとするがクラピカによって阻止される。一般資格で乗船することになる。
十二支んのうち「申」サイユウは、ビヨンド配下であり内通者。
ただし知っているのはパリストンのみで、ビヨンドは内通者がいることは知らない。
ビヨンドの宣言を受けてハンター協会。
ネテロ会長の遺言。
「ビヨンドよりも先に、暗黒大陸探検を成功に導いて欲しい」→「成功」には二つの条件がある。
①暗黒大陸から来た五つの「厄災(リスク)」のいずれかを攻略する。
②暗黒大陸より「希望(リターン)」を持ち帰る。
ホイコーロ国王の宣言を受けて、近代五大陸(以下V5)より、「ハンター協会にビヨンド=ネテロをハントせよ」と特命が下る。
しかしV5は、本当はカキンをV6として迎え、暗黒大陸探索の分け前が欲しい。
カキンがその条件を飲んだために、ハンター協会は、ビヨンドを監視しながら暗黒大陸の探索をすることになる。
ビヨンドは船内では拘束を受け入れるが、大陸到着後に脱走する腹積もり。「ビヨンドさんが大陸に着いたら、自力で脱走して僕ら(ビヨンド配下)と合流! それだけです」(346話)
ハンター協会側はとりあえずビヨンド(とその配下)は、大陸上陸までは放っておいて大丈夫だという判断。
ハンター協会は、乗船のために人員を募る。
クラピカ
カキン帝国第四王子ツェリードニヒが持っている仲間の目を取り返すために乗船する。
ツェリードニヒに近づくためには、同じ居住空間にいる王子の護衛になることが早道のため、第十四王子ワブルの護衛につく。
仲間たちに頼んで、他の王子の護衛になってもらう。
イズナビ→第六王子タイソン
バショウ→第七王子ルーズルス
センリツ→第十王子カチョウ
ハンゾー→第十二王子モモゼ
ビスケ→第十三王子マラヤーム
暗黒大陸に向かう船、ブラック・ホエール号。
(引用元:「HUNTER×HUNTER」冨樫義博 集英社)
五層構造で、
「1層目には、王族・V5の政財界の要人、ビヨンド、三大マフィアの組長」
「2層目には、各界の著名人・富裕層」
「3・4・5層が一般渡航者区域」
各階層の間には、戒厳令が敷かれている時並みの警備体制が敷かれ、特に二層と三層のあいだは、二層からしか行けない仕組みになっている。
押さえておくポイント
ビヨンド&その配下(ジン・パリストンなど)やハンター協会は、王子継承戦にはほとんど絡んでこない。しばらく休み。
ビルがオイト王妃に提案した「継承戦を離脱する方法三つ」のうち二つが、
①パリストンの協力が必要
②ビヨンドの協力が必要
なので、最後の最後で絡んでくるのだとは思う。
感想:ここまで理解するのも大変だった。
自分にとって「HUNTER×HUNTER」の状況が複雑になると理解しづらい理由は、
「オレは先に口に出してしまって、後から『何であんなことを言ったのか』理屈をおっかけることが多いんだが、今回も正にその典型でな」
とジンが言っているように、
こういう条件(能力・キャラ)があったら面白そう→その条件からこういう状況になるはず→その状況でそれぞれのキャラがどう動くか。
こういう作りになっているからだ。(暗黒大陸編は特に)
まず面白そうと思う状況を作って、そこで何をするかを考えるという発想を取っている。(キャラもそういう考え方の人間が多い)
しかもキャラがその状況で考えていることを全部話す。
キャラの思考に「読者を誘導するなどのメタの目的」がなく、「本当にそのキャラのその時点の思考そのまま」*2だ。
王位継承戦の時に顕著だが、
①「αという情報を知らないが考えが深いキャラAが、αを知らないままする思考」
②「αという情報を知っているが余り考えが深くないキャラBがする思考」
③「αという情報を知っているがβは知らない考えが深いキャラがする思考」
こういうものが、一から十まで全部並列に書かれている。
条件だけを並べると「αを知っていて考えも深いキャラの思考なのだから、③の思考が読者にとって一番有用な情報」と思うが、そんなこともなく、意外と②のほうが後々情報として有用だった、ということもある。
では「②が有用な情報だった」という結果が固定で①③にはもう用がないのか、と思いきやもっと後になって実は有用だったり、正しかったと判明したりする。
情報の全景を把握するのが大変な上に「捨て情報」がほとんどない。
作内キャラはこれを全部、考慮して行動している、なおかつ臨機応変に対応しているのだから凄い(小並感)
「HUNTER×HUNTER」という物語自体が、オウ=ケンイが旅団を評した
「バランスとは無縁。あけすけで敵味方に頓着がなく、手前勝手に動き、それを通す能力がある」(36巻)
こういうものなのだ。*3
これだけ状況がややこしくて、漫画なのに時には文字の羅列を読まされ、しかも長々と待たされる。
「HUNTER×HUNTER」じゃなかったらとっくに投げ出していると思うが、「『HUNTER×HUNTER』だから面白いはずだ」と信頼してしっかり読みこむと結局は滅茶苦茶面白い。
「王位継承戦」は、これまでの編の中で一番面白いと感じる。(「こういう状況か」と全景を理解するだけでも、メモを取りながら一日かかったが)
「HUNTER×HUNTER」を読む面白さは、「HUNTER×HUNTER」ではないとなかなか味わえない。そういう信頼があるから、何がかんだ言いつつも読んでしまう。
次回は船内の状況や王位継承戦についてを整理したい。
書いた。