うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

対話型AI「チャットGPT」に小説のあらすじを考えてもらったら、思った以上に学びが深かった。

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shinonomen.hatenablog.com

↑の東雲さんの記事を読んで滅茶苦茶面白いと思い、自分も「Chat(チャット)GPT」に「400字で小説のあらすじを考えて」と頼んで三種類出してもらった。

タイトルのみ自分で考えた。

 

あらすじ① 世界にひとつだけの美術品

 ある日、主人公の高橋真一は街で美術展を開催していた。

 彼は会場で美術作品を鑑賞していたが、ひとつの絵画に目が止まった。それは美しい花が描かれた絵だった。

 真一はその絵の現代美術としての価値を見いだし、一目惚れしてしまう。  

 しかし、真一が購入しようと思ったとき、その絵画はすでに売り切れていた。

 彼は落胆しながらその場を後にしたが、その絵に強い執着心を抱き続ける。

 真一はその後、インターネット上である人物が同じ花の絵を販売しているのを見つける。彼はすぐに購入しようとするが、その人物は販売することはできないと断られてしまう。

 真一は諦めきれず、その人物の住所を調べ出し、直接会って購入を試みることにした。彼はその人物の家に辿り着くが、そこで彼が見たものは予期せぬ展開を迎えることになる。

 その人物は実は美術作品泥棒だったのだ。彼は美術作品を盗み、転売していたのだった。真一は激しく動揺し、その人物を警察に通報することにした。

 その後、真一はその警察署に呼ばれ、その花の絵を発見した人物が実は真一自身であることがわかる。

 結局、真一は自分が持っていた花の絵を寄贈することにし、その絵は美術館に収蔵されることとなった。彼は自分の持っていた一枚の美術品を、社会に還元することができた。

 

もう十分、ショートショートとして面白くないかと思った。

「予期せぬ展開を迎えることになる」という中盤の引きもいいし、「その人物が泥棒だった」という展開も意外性が十分ある。

「花の絵を発見したのは真一自身」というオチは意味が分からないが(妄想だったということ?)この辺りは手直しすればいい。

「自分の絵を社会に還元する」という結末も「一目ぼれした美術品への執着から解放される」というストーリーとして、始まりから終わりまで一貫性がある。

AI、凄い。

そうは言っても似たような筋しか出せないのではと思い、もう一度同じ質問をしてみた。

もっと面白いものが出てきた。

 

あらすじ②呪われた富士山

 富士山をテーマに撮影するために、カメラマンの岩田は富士山近くの村に訪れる。

 しかし、滞在中に彼は不思議なことに気付く。村人たちは富士山に関することに口を閉ざしている。さらには、彼らは富士山が呪われていると信じているという。

 岩田は興味を持ちつつも、撮影に専念しようとする。

 だが、撮影をしている最中、不思議な現象が起こる。テントに不気味な生物がやってきたのだ。キャンプ場近くで岩田は一人で富士山を映写するために撮影を続けるが、何か不穏な雰囲気を感じた。

 村の人々が抱える過去のトラウマと現在の不思議な現象の真相を突き止めようと、岩田は彼らに話を聞きに行く。彼は過去に村で起きた悲劇と、それが村人たちの信仰心に繋がることを知る。

 一方、岩田が不思議な現象に遭遇した時から彼に呪いがかけられたように感じた。ある日、彼が撮影した写真には不可解なものが描かれていた。それは富士山の姿ではなく、何かブレた影のようなものだった。 

 結局、岩田は村人たちの信仰心と過去を受け入れ、自らの夢である富士山の写真を撮ることができた。彼は富士山の真の姿を撮り出し、自身の人生の中で最高の作品を生み出した。

 

「テントにやってきた不気味な生物とは何か」「村人の抱えるトラウマとは何か」「村人の信仰は何か」「そのトラウマや信仰と不気味な生物がどう関わっているのか」というディティール次第だと思うけれど、「あらすじを読んで読みたいと思わせること」は十分出来ている。

うわっ、すごっ!(小並感)

 

このクオリティで無限に出し続けられるのではと思い、もう一度「400字で小説のあらすじを考えて」と言ってみた。

 

あらすじ③蒼い石の勇者は、何故か人から嫌われる。

 ある露店で、主人公の高岡翔太は美しい蒼い石を見つける。

 彼は石の美しさに惹かれ、購入しようとするが、露店の店主から「蒼い石は身につける者によって呪われる」と話される。しかし、翔太はその話を聞き流し、蒼い石を手に入れる。

 翔太は蒼い石を身につけて帰るが、その夜から怪奇現象が起こり始める。彼は鏡に映る自分の姿に違和感を感じ、翌日からは周囲の人々に嫌われるようになる。これを機に、翔太は蒼い石に呪われたことを認め、対処法を探すことにする。

 翔太はインターネットで調べ、蒼い石の呪いと戦う方法を見つける。それは、自分が悪いことをしたら、蒼い石から力を得られるというものだった。翔太は自分を導いてくれる友達に支えられ、呪われた力を使うことを決意する。

 翔太は自分ができる限りの悪い行いをし、蒼い石から力を得るが、その行動は周囲の人々を傷つけていく。

 友達が彼を見捨ててしまい、孤独な戦いを強いられた翔太は、最後には呪われた力に打ち勝ち、蒼い石を持ち主に返却することができた。

 翔太は自分の行いに反省し、過ちを修正するために、今度は人々を救うことに専念する。彼は人々に優しさを与え、過去の過ちを克服するために、一歩ずつ前進することを決めた。

 

ラノベファンタジー風のものが出てきた。

指定しなくても色々なジャンルのものが出てくるのが凄い。

凄いのだが、これは一読してすぐに「うん?」と思った。

①②のように面白く感じない。

最初は内容が好みではないからかと思ったが、違う。

 

ひと言で言えば「話に一貫性がない」。

翔太は「蒼い石から呪われた」(受動的に被害を受けること)が話の始まりなのに、途中から「呪われた力を使うことを決意する」(呪いが主体的にコントロールできるものになっている)

それと同時に本来「人から嫌われること」は翔太にはどうにも出来ない呪いだったのに(それを解決することが課題だったのに)、いつの間にか「嫌われることは翔太自身が力を得るために選んだことになっている→課題が自然に解決してしまっている」。

にも関わらず、最後は「呪われた力に打ち勝ち」と最初の課題に立ち返っているので、「使うことを決意した」ことと矛盾している。

そもそも持っただけで嫌われる呪いがかかっているのに、「悪いことをすればするほど力を得る」では要素が重なってしまっている。

「悪いことをすればするほど力を得るが、悪いことをすれば当然嫌われる。どちらを取るか」ではないと葛藤が生まれづらい。

もしくは「嫌われる呪いのみ」のほうがいい。

これは細かく考えたら「こういうことか」と理解しただけで、一読してすぐに「③は、①と②に比べて面白くない」という直観がくる。

 

話に一貫性がなくてストーリーが混乱していても面白い話はある。

ただそれはあくまで例外で、話の骨格の時点で筋道が混乱しているものは、面白いとは感じにくいと改めて思った。

①②のあらすじは、視点や主人公の行動のモチベーションが一貫しているので読んでいてわかりやすい。引っかかることなく話の筋が頭に入ってくる。

視点が混乱している話は、それだけで話の意味が取りにくい。

群像劇が大変なのは、キャラを考えたり、そのキャラを生きた人間として描けるかという以上に視点が混乱しやすいことにある。

自分も読んでいる時は当たり前のように読んでいるけれど、いざ書く時は視点問題には悩まされる。

 

冷静に後から読めば、直観的に「面白い」と感じた①②のあらすじもそれほど独創的ではない。

特に②は、何度も読んだことがあるような話である。(たくさんの情報を組み合わせているので、何かと何かと何かを掛け合わせた筋が出てくるのだろうが*1

それにも関わらずあらすじを読んだ時に、「面白そう」「読みたい」と思った。

「何度も読んだ似たような話」であっても、見せ方によって直観的な期待値を高めることが出来る、としみじみ感じた

 

本当に色々な種類のあらすじが出せるのか? と半信半疑でやったが、思った以上に学びが深く面白かった。

 

続き。

note.com

*1:念のため検索をかけたが三作とも何も出てこなかった。