「パラノマサイト」をクリアした。プレイ時間は10時間いかないくらい。
プレイしているあいだ、ずっと懐かしかった。
オカルトと過去の事件、現在の状況が複雑に絡み合った謎だらけのストーリー。
様々な登場人物の選択や思惑が絡み合って、ひとつの大きな物事が見えてくる構図。
ストーリーには直接関係のない場所にまで行き届いた細部の造り込みと、あふれ出る蘊蓄から出来上がった箱庭のような世界観。
(© SQUARE ENIX)
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こういうザッピングのためのチャートやTIPSを見ると気持ちが上がる。
自分の好みからすると、登場人物同士の絡みが直接的すぎる。登場人物同士の情報の共有の度合いが高いと、結局一本道のストーリーを(同じ物事を)違う視点で見ているだけになってしまってしまう。
この手のノベルゲームで自分が一番好きな「街」と比べてしまう。見も知らぬ他人同士に起こった出来事がパズルのピースみたいにひとつの大きな物事を作るから「全体像がこうであるものが、この角度から見るとこういう意味として見える」という面白さがある。
他視点の醍醐味はそこだと思う。
なのでもう少し、お互いの関わりが薄いほうが良かったなと思うが、それでも十分面白かった。
「この仕掛けがやりたかったんだろうな」という最後の仕掛けのために、物語が全部組み立てられているのが良かった。
メタ視点(以下ネタバレは反転)はやり方によっては読み手が白けるので難しいと思うが、このゲームでは最初からそうであることを匂わせている、物語の中の必要部分とうまく融合しているのでアンフェアに感じなかった。
最初にしつこく出てきていた案内人が、メインの三人に話が移った途端に出なくなって物語に没頭させる、そして最後でその仕掛けを再び出す作りが上手い。
不満点は、細部の大事感に比べて全体像がこじんまりしすぎているところだ。
生きたまま犠牲者を解体した大量殺人犯への態度や事実を知った時の興家の反応など「その程度で済むものじゃないだろ」と感じた部分が多い。
ヒハク石鹸や山森会長は出落ち感が凄いし、並垣とあやの、美智代のつながりがただの偶然だったとかも「それはいくら何でも」と思ってしまう。
パラノマサイトと同じライターの作品である「癸生川凌介の事件簿・海桜館殺人事件」でも似た感想を持ったのでライターの考え方の癖なのかもしれない。
【ゲーム感想】「海楼館殺人事件 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2」 昔なつかしの推理ADVの雰囲気をたっぷり楽しめた。 - うさるの厨二病な読書日記
*読み返したら、けっこう不満を言っていた笑
キャラクターはみんな好感が持てたが、特にミヲと春恵が好きだ。
(© SQUARE ENIX)
春恵はどうするんだろうな。公式では事件解決後にリヒタと夏祭りデート(雨森少年付で)していたが、離婚して再婚……は家の事情もあるし難しいだろうな。
この二人は男女というより疑似親子っぽいしな。
こういう多視点、多ルートでひとつの大きな全体像が見えてくるゲームがもっとプレイしたい。
自分が面白いと思ったものは、積極的に広めたり買ったりして応援しないとそのジャンル自体が作られなくなる可能性がある。
最近はそういう危機感が強いので、自分が「残って欲しい」と思うものについては応援の気持をこめて積極的に「良かったよ」と発信するようにしている。
自分が好きなジャンルの中で「パラノマサイト」みたいに「早く続きを見たい」という気持ちでプレイできて、クリアした後に「面白かった、プレイして良かった」というゲームが五本のうち一本くらいあれば満足だ。
多少出来不出来の幅があったとしてもこういう造りのゲーム(ジャンル)が残って欲しいし、これからも作られて欲しい。
(© SQUARE ENIX)
※春恵と利飛太の関係の不思議さについて。
「パラノマサイト」の志岐間春恵と櫂利飛太の、表向きの設定を越えた不思議な関係が面白い。|うさる