面白かった。
無茶苦茶なコメディか、と思いきや、意外と王道のストーリー展開だった。
麗の配役にGACKTを思いついた人は天才だと思う。
一番笑ったのは流山で対峙した千葉の軍勢の中に、チーバくんとふなっしーを見つけたときだ。
ただ
「埼玉県に住んだことがある人間以外、面白いのか？」
というより、
「埼玉県の南東部に住んだことがある人間以外、面白いのか？」
と思う。
以下は映画とは余り関係ない、埼玉（南東部）出身の人間の考えたこと。
完全なるローカルネタだ。
映画でよく埼玉のことを表している、と思った部分は、埼玉の南東部が中心の話の中で西部や北部のことがほとんど触れらず、千葉や東京に焦点が当たっているところだ。
自分は埼玉の南東部出身だけれど、住んでいたときの頭の中を取り出したらこういう感じだった。
東京や千葉は頭の中にぼんやりと存在するけれど、大宮より北や西はそもそも頭の中に存在しない。
この映画も熊谷と所沢はかろうじて出てきたけれど、東上線沿い（和光、朝霞、坂戸あたり）の地名はまったく出てこなかった。川越、秩父すら出てこないのには驚いた。（埼玉の中では観光名所という特性があるし、比較的有名だと思う）
全ての地名を出すわけにはいかないだろうし、千葉と東京の絡みでコメディを作るなら南東部に話が集中するのはわかる。
ただいくら何でも集中しすぎだろう。これじゃあ「翔んで埼玉南東部（＋南中部を少し）」だ。これで「埼玉」と言われても納得しづらい。
南東部出身に限らず、埼玉県民の人と話すと、自分の周囲の埼玉県、もしくは沿線上のことしか知らない人が多い。
お互いの地域には基本、行ったことがない。というより位置関係もよくわかっていない。どの路線が通っているのかもよく知らない人も多い。
昔、職場（都内）に上尾出身の先輩がいたけれど、大宮に野田線（アーバンパークラインと改称）が通っている、というより野田線（アーバンパークラインと改称）の存在自体を知らなかった。
自分はその先輩と話してニューシャトルの存在を、初めて知った。
所沢出身の友達は北東部（久喜、加須、羽生あたり）の地名を知らなかった。
志木出身の友達は埼玉の東武線はイコール東上線だと思っていた。
映画を観ていて、一番ひっかかったのは、島崎遥香演じる熊谷出身の娘と浦和出身の婚約者が、都内に住むのをやめて春日部に住もうと言い出したところだ。
埼玉の南東部（伊勢崎線沿い）に住んだことがあると、「え？」と思う選択だ。
なぜかというと、春日部からは浦和も熊谷も滅茶苦茶行きづらいからだ。だから埼スタに行く人間はだいたい北越谷からバスに乗る。新高速鉄道は高いし、二回も乗り換えなくてはならない。いつ岩槻にくるんだろう。
「元々、都内に住むつもりだった浦和出身者と熊谷出身者が埼玉愛から埼玉に居住しようとした」という設定の場合、春日部、というより伊勢崎線沿いという選択はまず浮かばない。
資金などを想定すると、候補地に真っ先にあがるのは上尾ではと思う。上がってもおかしくないなと思うのは、武蔵野線で浦和と接続している越谷か、もしくは少し頑張って川口、戸田あたりだ。
ここで「春日部」が出てくるのは、「お話の都合」以外の何者でもない。
それを小さなこと、と思うなら、そもそもローカルディスネタはやるべきではないのでは、と思う。
細部にリアリティがあるから、「一周回って、愛情があるんだな」と思えるのだ。
ところがここまで「熊谷出身の人間と浦和出身の人間が、『埼玉に住む』という目的のためだけにあげる候補地が春日部のはずがない。高崎線沿線沿い、もしくはもう少し東京に出やすい場所になるはずだ。少なくとも一番に上がるのはJR線沿いだろう。職場に行きやすいという理由なら、埼玉愛に目覚める前から候補地にあがるはずだ。おかしい」という謎の感覚に支配されている自分が、某番組で「イルマニア」関連の話を見ると「へえ、入間ってこういうところなんだ」とそのまま受け入れている。
埼玉県民同士で思い浮かべる「埼玉」は、まるで別物で、「まるで別物なこと」に出会って話すことで初めて気づく。
「埼玉県民は、県民同士が（都内で）出会い話し合うことで、初めて自分の頭の中の『埼玉』が存在しないと気づく」
自分にとっては、「埼玉」を一番よく表していると思う部分はこういうところだ。
「南東部」とひとまとめにしているけれど、三郷や八潮、吉川（TX、武蔵野線沿い）に住んでいると意識や感覚がまた違う。
ちなみに一番驚いたのは、西葛西が東京だということだ。千葉だと思っていた。（すみません）
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秩父出身者は東京への意識がもう少し遠い感じがする。
春日部と言えばこちらも。
