うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

小説

天城一の密室分類で「かまいたちの夜」を考えてみた&雑談

*本記事には「かまいたちの夜」の重要なネタバレが含まれています。 かまいたちの夜 発売日: 1994/11/25 メディア: Video Game 天城一の密室犯罪学教程 (宝島社文庫) 作者:天城 一 発売日: 2020/07/04 メディア: 文庫 「天城一の密室犯罪学教程」を読んでい…

「信頼のできない語り手」と「信頼のできない視点」についての雑談

先日見た「かまいたちの夜」の解説動画の中で、「『かまいたちの夜』は選択肢を間違うと、主人公がプレイヤーにとって『信頼のできない語り手』に変貌する」という考えが述べられていて面白いなと思った。 「信頼のできない語り手」は何か作為があったり、も…

【小説感想】持たざる者の残酷な世界への叫び 「なしくずしの死」

なしくずしの死〈上〉 (河出文庫) 作者:ルイ‐フェルディナン セリーヌ 発売日: 2002/03/01 メディア: 文庫 なしくずしの死〈下〉 (河出文庫) 作者:ルイ‐フェルディナン セリーヌ 発売日: 2002/03/01 メディア: 文庫 反ユダヤ主義の差別的言動から国家反逆罪…

【ドラマ考察】「Nのために」のねじれまくっているストーリーの構造のすごさについて考えたい。

第1話 「セレブ夫婦殺人事件…15年前に隠された秘密」 メディア: Prime Video 湊かなえ原作・榮倉奈々、窪田正孝主演ドラマ「Nのために」を観終わった。 引きが強いサスペンスドラマとして面白いが、中盤からストーリー展開について「?」と思うことが多くなる…

「雲のように風のように」と「後宮小説」の思い出

*ネタバレあり。 www.twellv.co.jp 懐かしい。 もう一度見たくて、ずっとアマプラ対象にならないかと思っていたら、BSで7月1日(水)に放送されるそうだ。 「後宮小説」との出会いは、うちの親が仕事関係の付き合いで「第一回日本ファンタジーノベル大…

【小説感想】今邑彩「少女Aの殺人」はミステリーとしてもノワール小説としても良かった。

*この記事は今邑彩「少女Aの殺人」と宮部みゆき「火車」のネタバレを含んでいます。 昔読んだ「金雀枝荘の殺人」が面白かったことを思い出して、今邑彩「少女Aの殺人」を読んでみた。 少女Aの殺人 (中公文庫) 作者:今邑彩 発売日: 2012/12/19 メディア: Ki…

【小説感想】「ザリガニの鳴くところ」 主人公の相手役が一番ヤバい奴に見えて怖かった。

「2019年アメリカで一番売れた本」 「全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー」 「ザリガニの鳴くところ」を読んだ感想。 ザリガニの鳴くところ 作者:ディーリア・オーエンズ 発売日: 2020/03/05 メディア: 単行本(ソフトカバー) 1960年~70年代、差別…

ループする絶望を体感できるゲームブック「護国記」が面白かった。

久しぶりに「このゲームでしか味わえない面白さを味わえた」と思うゲームをプレイした。 護国記 (幻想迷宮ゲームブック) 作者:波刀風 賢治 発売日: 2018/10/21 メディア: Kindle版 不穏な空気はあるものの、それなりに平和だった「高ツ原五国」の壱の国に、…

文豪の未完のミステリー チャールズ・ディケンズ「エドウィン・ドルードの謎」の謎を考えてみた。

ディケンズがミステリーを書いていた、しかも未完、知らなかった…、ということでさっそく読んでみた。 エドウィン・ドルードの謎 (白水Uブックス) 作者:チャールズ・ディケンズ 発売日: 2017/01/26 メディア: Kindle版 結論から言うと「ミステリー」という…

好きな作家のおススメの作品を聞かれたときの、永遠とも思える五分間の思考。

先日、友達から 「仕事関係の人が、綾辻行人の作品を初めて読んで面白かったって言っていた。読んでみようかと思って、うさるが好きだって言っていたのを思い出した。おススメの作品ある?」 というlineがきた。 一瞬でテンションのメーターが振り切れた。 …

ノーベル賞作家が描く殺人という運命。ガルシア=マルケス「予告された殺人の記録」

犯人が誰かはわかっていた。 犯人が殺害を決意していることを、町中のほとんどの人が知っていた。 どうやって殺そうとしていたかも知っていた。 なぜ犯人が相手を殺すのかも知っていた。 犯人自身が話していたからだ。 それにも関わらず、被害者は犯人によ…

【小説感想】高橋克彦「炎立つ」は、「この歴史の先に現代がある」ことを実感させてくれた。

高橋克彦の「炎立つ」全5巻を読み終わった。 炎立つ 全5冊合本版 (講談社文庫) 作者:高橋克彦 発売日: 2017/08/18 メディア: Kindle版 傑作と名高いのもうなずける。 すごい話だった。 「炎立つ」は、異なる年代の主人公三人の話を通して、奥州藤原氏の勃…

小説版「犬鳴村」を読んで、「怖い」という感覚はどこから来るのか話したくなった。

映画化されて話題になっている「犬鳴村」の小説版を読んだ。 犬鳴村 [小説版] (竹書房文庫) 作者:久田樹生 出版社/メーカー: 竹書房 発売日: 2020/01/16 メディア: Kindle版 話としてはよくできていて、特に引っかかりもなくすらすら読めた。 怖さを求めて…

【「炎立つ」キャラ語り】「世界を変える異能を持ちながら、性格は小者」源頼義の人物像が面白い。

「炎立つ」第一部の粗筋は、俘囚と理不尽に蔑まれながらも、必死に自分たちの民や国を守る阿倍氏の領土に、朝廷や源氏が自分たちの欲望や保身のために攻め込むというものだ。 個人的には主人公サイドである阿倍氏陣営よりも、敵役である源頼義陣営のほうがず…

【「炎立つ」キャラ語り】世界が強いる「物分かりいい症候群」と戦う流麗がカッコいい。

前九年の役、後三年の役、奥州藤原氏の隆盛と滅亡がわかりやすく描かれている。 大河ドラマでも屈指の名作と名高い、「炎立つ」の小説版を読んでいる。 炎立つ 壱 北の埋み火 (講談社文庫) 作者:高橋 克彦 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1995/09/06 メデ…

小部隊の戦術学が楽しく学べる「愚者の渡しの守り タイムループで学ぶ戦術学入門」感想

愚者の渡しの守り: タイムループで学ぶ戦術学入門 作者:アーネスト・スウィントン 出版社/メーカー: 国家政策研究会 発売日: 2018/03/25 メディア: Kindle版 経験が浅い青年士官が本隊が来るまで、河の唯一の渡河地点「愚者の守り」を50名の小部隊を指揮して…

ミステリーをメタ視点で読み解く面白さ「ロジャー・アクロイドは、なぜ殺される? ー言語と運命の社会学ー」を紹介したい。

アガサ・クリスティの代表作で、超有名なトリックが使われている「アクロイド殺し」を、物語の構造や言説、表紙や献辞を含めた本そのものの作り、クリスティが当時置かれていた状況や人生などから、多角的に読み解く、という非常に面白い本。 アクロイド殺し…

「犯罪者には田中が多い」が面白かったことと文章について思うこと。

kakuyomu.jp 昨日、はてブであがっていたこれが面白かった。 差別の構造を皮肉っていながら、それをまったく気にしなくても読めるエンターテイメントに仕上がっている。 短編でこれができるってどういう力量だ、と思ったら、作者は既に商業作品を出している…

村上春樹「国境の南、太陽の西」は、なぜあんなクソみたいな奴が主人公なのだろう。

国境の南、太陽の西 (講談社文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1995/10/04 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 230回 この商品を含むブログ (285件) を見る 「国境の南、太陽の西」を初めて読んだときの、なんとも言えない嫌悪と困惑…

漫画版「十角館の殺人」1巻が発売。読んでみたら、やっぱり面白い。

「十角館の殺人」が漫画になっていた。 TwitterのTLで綾辻行人が「漫画版『十角館の殺人』の一巻が発売されました」とつぶやいていたのを見かけたので、さっそく購入して読んでみた。 十角館の殺人(1) (アフタヌーンコミックス) 作者: 綾辻行人 出版社/メ…

MBTIのタイプにおける典型的なキャラとそれについての雑談(その2)

www.saiusaruzzz.com 前に書いたこの記事の続き、というか補足。 記事を書いたあとに思いついたことやキャラについて。 *創作の中の話に限定しています。書いてあることはすべて個人的な考えです。専門家ではないので、雑談程度に読んでください。 NTJ世界…

コバルト文庫の思い出。

「コバルト文庫はラノベかどうか」というまとめを見つけて、コバルト文庫のことを思い出した。 自分が当時読んでいた、コバルト文庫の思い出を気ままに語りたい。 コバルト文庫を知ったきっかけは、ゲームブックまでさかのぼる。 小学生のとき、創元社のゲー…

【小説考察】アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」の事件と犯人を細かく検証してみた。

*本記事には、アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」の重大なネタバレが含まれています。本編未読のかたは、本編から読まれることをお勧めします。 そして誰もいなくなった (クリスティー文庫) 作者: アガサ・クリスティー,青木久惠 出版社/メーカ…

「紅蓮館の殺人」の解決部分の説明が、なぜおかしく感じたのかをもう少し考えてみた。

www.saiusaruzzz.com 前回の「紅蓮館の殺人」の感想の続き。ネタバレがあるので注意。 「犯人の行動(犯行を含む)の根拠に犯人の性格を持ってきているけれど、それは根拠にならないのでは」ということを書いた。 タイムリーな記事を読んだので、補足的に考…

【小説感想】館が燃え落ちるまで残り35時間。事件を解決できるか。阿津川辰海「紅蓮館の殺人」

山火事に巻き込まれて逃げ込んだ館で起こった、吊り天井による殺人事件。館が燃え落ちるまでの残り35時間で、殺人事件を解決し、館から脱出することができるか。 「タイムリミット」「クローズド・サークル」「吊り天井」このあたりのワードで興奮した人は、…

リアリティ溢れる警察小説・奥田英朗「罪の轍」の映画化、ドラマ化を熱望する。

罪の轍 作者: 奥田英朗 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/08/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 1963年に起こった「吉展ちゃん誘拐事件」をモデルにして描かれたフィクション。 幼いころ義父から虐待された影響で脳機能に障害を抱え、周…

アガサ・クリスティの後継者と謳われるP・D・ジェイムズのデビュー作「女の顔を覆え」感想

P・D・ジェイムズの「女の顔を覆え」を読んだ。 女の顔を覆え (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 129-6)) 作者: P・D・ジェイムズ,山室まりや 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1993/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る P・D・ジェイムズ…

田中芳樹「灼熱の竜騎兵」(レッド・ホット・ドラグーン)の続きを妄想してみた。

灼熱の竜騎兵 1 (EXノベルズ 35-1) 作者: 田中芳樹,北爪宏幸 出版社/メーカー: エニックス 発売日: 2002/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 「灼熱の竜騎兵」既刊のおさらい 2504年、惑星ザイオンは建前上は自治権を認められていたが、…

【ドラマ感想】池井戸潤原作「ノーサイド・ゲーム」を最終回まで見た感想

昨日、池井戸潤原作、大泉洋主演「ノーサイド・ゲーム」が最終回だった。 【Amazon.co.jp限定】ノーサイド・ゲーム Blu-ray(オリジナルミニポーチ付) 出版社/メーカー: アミューズ 発売日: 2020/01/10 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る ラスト…

【ドラマ感想】宮部みゆき原作「楽園」のここが気になる。

宮部みゆき原作、仲間由紀恵主演「楽園」を見た。 第1話 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る あらすじ 住宅街で発生した火事によって焼け出された土井崎夫妻は「16年前、中学生だった娘を殺害し、床下に埋めて生活していた」と告白した。 殺…