うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

小説

ウィリアム・フォークナー「八月の光」 あらすじ&感想「血脈と運命という名の呪いの物語」

「八月の光」あらすじ 感想 光文社古典新訳文庫は、非常に読みやすかった。 昔は、この本に書かれていることがピンとこなかった。 「人間はその土地から教えられたように行動する以外にない」 血脈の連環の呪いは、どこまでも追いかけてくる あるいは呪いの…

【ネタバレあり】角川つばさ文庫「飛ぶ教室」はイラストが可愛く、訳も良くておススメだ。

児童文学で最も好きなエーリヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」の新訳が、角川つばさ文庫から出ていたので購入した。 この記事で「アニメ化や漫画化に向いていると思うのだが、若干過激な描写があるせいかならないのでは」と嘆いたが、角川つばさ文庫では現代風の…

【ネタバレあり】「王立宇宙軍-オネアミスの翼-」アニメ版と小説版の違いなどの思い出話。

animationbusiness.info てっきりもうやらないものだと思っていたので、期待よりも不安が大きい。「王立宇宙軍」の五十年後の世界らしいので、続編というよりは独立した物語なのだろうけれど。 公開されている絵は世界観を引き継いでいるようなので、とりあ…

野沢尚が描く長く濃密な人間関係が苦手だ、ということから気づいた野沢作品のすごさ。

*この記事には、野沢尚「砦なき者」のネタバレが含まれています。未読のかたはご注意ください。 野沢尚の「砦なき者」のノベライズを読んだ。 「砦なき者」は短編二つ、中編ひとつのオムニバス形式で構成されている。テレビドラマを見たのはかなり前なので…

【ネタバレ感想】アガサ・クリスティ「春にして君を離れ」は「他者性をはく奪する罪深さ」を書いた傑作だ。

この記事は以下のものの内容に触れたり、ネタバレをしています。ご注意ください。 アガサ・クリスティ「春にして君を離れ」「暗い抱擁」 北川悦吏子「半分、青い」 桐野夏生「メタボラ」 竜騎士07「うみねこのなく頃に」 読んだことがないかたは、ネタバレ…

エドガー・アラン・ポー「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」あらすじ及びネタバレ感想

エドガー・アラン・ポーの「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」が、ラブクラフトの「狂気の山脈にて」に影響を与えていたり、大岡昇平の「野火」の外枠になっているという話を聞いたので読んでみた。 ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2…

【ユングのタイプ論を基にしたMBTIでキャラクター&ストーリー考察】「ゲーム・オブ・スローンズ」

MBTIを使ったキャラクター&ストーリー考察シリーズ。 お遊び程度に考えてください。 参考図書はコチラ。 MBTIタイプ入門(第6版) 作者: 園田 由紀 出版社/メーカー: JPP株式会社 発売日: 2011/01/25 メディア: 大型本 この商品を含むブログを見る MBTIへの…

【ネタバレ感想】推理小説は文学か否か。大西巨人「三位一体の神話」

江戸川乱歩と木々高太郎の「探偵小説論争」に答えた小説 知らないで手にとったのだけれど、「三位一体の神話」は雑誌「ロック」の誌上で行われた江戸川乱歩と木々高太郎の「探偵小説は文学か否か」論争に対する、大西なりの答えとして書かれたらしい。 上卷…

ポル・ポト政権下のカンボジアと、物語論の接続を試みた野心作 小川哲「ゲームの王国」ネタバレ感想

小川哲「ゲームの王国」を読み終わった。 ゲームの王国 上 posted with ヨメレバ 小川 哲 早川書房 2017-08-24 Amazon Kindle この本はとても不思議な本だ。公式のジャンルはSFなのだが「どういう本か?」と言われるとひと口では説明ができない。 レビューを…

【ユングのタイプ論を基にしたMBTIでキャラクター&ストーリー考察】「銀河英雄伝説」

ユングのタイプ論を取り入れたMBTIについては、前にも記事を書いた。それを用いて銀河英雄伝説のキャラクター考察をやってみた。自分は専門家ではないので、あくまで個人の遊びだ。 ユング心理学入門―“心理療法”コレクション〈1〉 (岩波現代文庫) posted wit…

「アンネローゼというキャラの面白さに今さら気づいた」&銀河英雄伝説プチ物語論

先日、「アンネローゼは大人しくて穏やかで控えめで自己主張もせずつまらないキャラだな、と思っていたけれど、よく読んだら自分の意志を曲げない強いキャラだ」という記事を書いた。 www.saiusaruzzz.com その話の続き。 相変わらず独断と偏見に満ちた内容…

広島・原爆ドーム~宮島・厳島神社~しまなみ海道に行ってきた。

お盆休みに広島、宮島、尾道から今治に続くしまなみ海道に行ってきました。 暑かった……。 広島 原爆ドームを見学 お昼に広島についたので、さっそくお好み焼を食べようとお店を探す。 ガイドブックに載っている店は、みな長蛇の列だった。地元の人だけが知…

【銀河英雄伝説キャラ語り】大人になって分かったアンネローゼのすごさ

長い間「アンネローゼは、つまらないキャラだな」と思っていた。 15歳のときに権力者の後宮に入らざるえなかったことには同情するけれど、その後はずっと「何とかパイ」とか「ケルシーのケーキ」を焼いて、黙って微笑んでいるだけ。 いつの時代も、こういう…

何度読んでも面白い! おすすめの田中芳樹作品10選

田中芳樹の作品の個人的なおすすめランキング。 古いもの多めです。 10位 西風の戦記 敵味方に分かれた男女の戦いと恋愛に、現代からトリップした少女が巻き込まれるというラノベの王道展開。そして王道のロミジュリ路線。 田中芳樹の恋愛描写はかなりぎこち…

【ネタバレ感想】「銀河英雄伝説-Die Neue These-」シーズン1とは何だったのか。

13話で最終回と聞いてびっくりした。 「続きは劇場で」か。 gineiden-anime.com それにしてもだ、シーズンの切り方がおかしくないか? 何でひとつの会戦の途中で切ったんだろう? 終盤のやっつけ具合を見ても、尺を見誤ったとしか思えない。 序盤を見たとき…

【銀河英雄伝説考察】バーミリオン星域会戦で、もしヤンがラインハルトを倒していたらどうなっていたか?

歴史に「もしも」はないと作品中でも書かれているけれど、これを考えてみたくなった。既に考えている人がいると思うけれど、他の人の考えを読む前に、まずは自分の考えをまとめてみたい。 バーミリオン星域会戦時の状況 バーミリオン星域で、ラインハルトの…

夏休みの読書感想文にもおすすめ。海外児童文学10選。【小学生向け】

子供のころ、延々とループして読み続けた海外児童文学の中で面白くてお気に入りだったものをご紹介したい。 大人向けのものを子供向けに改変したものも多いので、そういうものは大人向けとの違いなどにも触れている。 少年・少女の成長譚 「トム・ソーヤーの…

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」と「秒速5センチメートル」に共通する怖さ。

*この記事は、下記の記事に書いた「秒速5センチメートル」の個人的な解釈と感想を前提として書かれています。 www.saiusaruzzz.com 「秒速5センチメートル」の何が怖いか。貴樹が「孤独な場所」に閉じ込められる原因がわからないところだ。原因がわから…

【銀河英雄伝説キャラ語り】ロイエンタールとミッターマイヤーの関係についての考察。

銀河英雄伝説の「双璧」ことロイエンタールとミッターマイヤーの関係についての話。 この二人の話はちょこちょこ書いてきたのだけれど、改めて二人の関係に焦点を絞って書きたい。 突っ込んだ内容で、自分が思ったことをそのまま書くので、「この二人の友情…

最後まで読み通せなかったので死ぬまでに再挑戦したい本。【文学編】

少し前に「私が読み通せなかった本」まとめがあったので、それに勝手に参加してみる。ブックマークした、と思っていたがしていなかった、残念。 「自分はそれは読めましたよ(鼻タカ)」となった本もあれば、「自分もそれは読めなかった…(同志よ)」となっ…

【ネタバレあり】今村昌弘「屍人荘の殺人」の設定はアリかナシか?

少し前にミステリーの三冠をとったことで評判になった第27回鮎川哲也賞受賞作、今村昌弘の「屍人荘の殺人」を読んだ。 事件が始まるまでの状況や人物の説明は若干退屈に感じたが、事件が起こってからの展開は読むのがやめられなくなるくらい面白かった。 ジ…

早川書房「ミステリ・ハンドブック」のランキング順に本を読んでいたころの思い出。

最近、本棚の奥底に眠っていた早川書房の「ミステリ・ハンドブック」を引っ張り出してパラパラめくっている。 昔々、学生で時間が山ほどあったころ、このハンドブックのランキング一位から本を読んでいた。今まで知らなかったジャンルの本や、その後何回も…

【小説】 5分でわかる「カラマーゾフの兄弟」

「はじめに」 「超おおまかなあらすじ」 「登場人物」 (カラマーゾフ家) (ヒロインたち) (修道院の僧たち) (その他) 「わりと細かいあらすじ」 「カラマーゾフの兄弟」のテーマ 「はじめに」 ドストエフスキーの小説が、なぜ分かりにくいのか、二点…

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」の分かりにくい部分を、詳しく解説。【随時更新】

ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の内容で分かりにくい箇所を、詳しく解説します。 あくまで自分の個人的な解釈になります。 テキストとしては新潮社版(原卓也訳)を使用しています。 カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫) posted with ヨメレバ …

【ネタバレ注意】アガサ・クリスティ原作ドラマ「パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~」が予想と違っていたので感想を述べたい。

2018年3月24日(土)に放送された、アガサ・クリスティ原作「パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~」の感想を述べたい。 www.tv-asahi.co.jp 実は余り期待していなかった。 正直なことを言うと、「鏡は横にひび割れて」に比べて、こちらは余り期…

【ネタバレ注意】アガサ・クリスティ原作ドラマ「大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~」について、原作と比較しながら感想を述べたい。

2018年3月25日(日)に放送された、アガサ・クリスティ原作ドラマ「大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~」の感想及び、原作との相違点についてなどを語りたい。 www.tv-asahi.co.jp 原作及びドラマのネタバレをしています。未読未聴の方はご注意ください…

【アガサ・クリスティーならこれがおすすめ!】数ある作品の中から、シチュエーションごとのおすすめをピックアップ

ミステリーの女王として名高いアガサ・クリスティーの作品群の中から、テーマやシチュエーションごとにおススメの作品を取り上げます。 *犯人とトリックはネタバレしていませんが、作品を紹介するに際して、多少中身に触れています。ご注意ください。 初め…

「30年以上、小説家であり続けるための超個人的な方法論」 村上春樹「職業としての小説家」感想

この本に書かれていることの中で、自分が一番共感したのはこの言葉だ。 僕は生きて成長していく過程の中で、試行錯誤を重ねつつ、僕自身のやり方をなんとか見つけていきました。トロロープさんはトロロープさんのやり方を見つけ、カフカさんはカフカさんの…

【5分でわかる】ドストエフスキー「悪霊」

ドストエフスキーの長編の中でも「カラマーゾフの兄弟」と「罪と罰」は、プロットからさほど脱線せずに書かれているため、まだしも読みやすい。 「悪霊」はあらすじがとっちらかっているうえに、登場人物全員が内省的な長広舌をする、しかも実際的なことはは…

【ネタバレあり】漫画版「うみねこのなく頃に」Episode8が素晴らしかったので、いいところも悪いところもまとめて語りたい。

漫画版Episose8では、猫箱の底まで描かれている。 漫画版「うみねこのなく頃に」Episode8を読了した。 うみねこのなく頃に散 Episode8:Twilight of the golden witch(9)(完) (ガンガンコミックスJOKER) posted with ヨメレバ 竜騎士07,夏海 ケイ スクウェア…