うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

小説

「あなたを殺そう(傷つけよう)とする私(俺)を受け入れて」×「救済(拒否)者」の組み合わせについて考えてみた。

ダルのどに似てるシチュのカプ他にあるー? 元ネタの「プリキュア」についてはわからないけれど、この増田について考えてみた。 増田が上げている条件が ①敵対カプ ②正義女対悪役男 ③疑似親子(兄妹・姉弟・魂を分け合った相手など) ④男が女に執着しつつ殺…

冴木忍「星の大地」のどこが好きだったのか語りたい。

先日、久しぶりに冴木忍「星の大地」のことを思い出して、急に語りたくなったので語りたい。 今でも「一番思い出深いライトノベルは何か」と聞かれると真っ先に思いつく。他の小説は処分したあとでも、これだけは長く持っていた。結局、処分したけれど。 い…

【小説感想】アイデンティティの確立が出来ないアルバニアの苦難を描く イスマイル・カダレ「誰がドルンチナを連れ戻したか」

「ヨーロッパで最も重要な作家の一人」「ノーベル賞を十回受賞してもおかしくない作家」と海外では高い評価を受けている、アルバニアの作家イスマイル・カダレの「誰がドルンチナを連れ戻したか」を読んだ。 あらすじ 三年前に遥か遠くの国に嫁ぎ、それ以来…

「メリバ」ことメリーバッドエンドについて、色々と語りたい。

*この記事には、「この作品はメリバと思われる」というネタバレが含まれています。 「メリーバッドエンド」略して「メリバ」の話題が先日上がっていた。 自分は割とメリバ好きなのだが、その起源を考えると子供のころにたどり着く。 そのころ自分が読んでい…

【小説感想】久しぶりに遠藤周作「沈黙」を読んで、その残酷さと美しさに気づく。

突然、読みたくなって遠藤周作の「沈黙」を読んだ。 沈黙(新潮文庫) 作者:遠藤周作 発売日: 2013/03/01 メディア: Kindle版 初めて読んだのは学生時代なので、十何年ぶりだ。 学生時代に読んだときは、最後の結末に強く衝撃を受けた。こんなに残酷なことが…

ホロコーストを引き起こした史上最悪の偽書「シオン賢者の議定書」はなぜ生まれたのか。ウンベルト・エーコ「プラハの墓地」

「ホロコーストを引き起こした至上最悪の偽書」と呼ばれる「シオン賢者の議定書」が生まれる過程と、それが広まった憎悪のメカニズムを描いたウンベルト・エーコの「プラハの墓地」を読んだ。 プラハの墓地 (海外文学セレクション) 作者:ウンベルト・エーコ…

今さらだけど、米澤穂信「インシテミル」のどこがどうすごく、面白いのかを語りたい。

初めて「インシテミル」を読んだとき、「漫画みたいな話*1だな」と思った。 設定は大仰で荒唐無稽だし、キャラクターは極端にわかりやすくカリカチュアライズされている。 ストーリーに関係ある設定以外のもの(食事の用意や洗濯など)は、「そういうもので…

連続殺人が行われている世界で、ループの原因である主人公を探すモブキャラたちの奮闘を描く「ループ・ループ・ループ」

*若干のネタバレあり。 こういうのはたいてい、物語の主人公が命の危険にさらされたり世界を救えなかったりするときに起きるものだ。ごろごろしながらマンガを読んでいただけの俺が起こすなんて、どう考えてもありえない。(略) 間違いない。この物語の主…

綾辻行人「囁きシリーズ」を久しぶりに続けて読んでみた感想。

突然読みたくなって、綾辻行人の「囁きシリーズ」三作、「緋色の囁き」「暗闇の囁き」「黄昏の囁き」を続けて読んでみた。 「緋色」と「暗闇」は犯人は覚えていて、細かいところは忘れていた。ほとんど初読のような気持ちで楽しめた。「黄昏」は未読。 ネタ…

「モスクワ裁判の被告は、なぜ嘘の自白をしたのか」という謎に迫る心理劇「真昼の暗黒」

真昼の暗黒 (岩波文庫) 作者:アーサー ケストラー 発売日: 2009/08/18 メディア: 文庫 スターリンの時代に行われた、モスクワ裁判をモデルにした本。 党の最高幹部であり英雄だったルバショフは、「党を裏切り、ナンバーワンの暗殺をもくろんだ」という嘘の…

「ナイルに死す」の新訳(黒原敏行訳)が欲しい&翻訳について思ったこと。

最近出版されたアガサ・クリスティーの「ナイルに死す」の新訳の訳者が、黒原敏行だった。 ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15) 作者:アガサ・クリスティー 発売日: 2020/09/11 メディア: 文庫 硬質な純文学を訳すことが多い、という…

【銀河英雄伝説キャラ語り】ビュコックとメルカッツはどちらが強いのか? から始まる雑談。

銀河英雄伝説の同盟側ではビュコックとアッテンボローが好きだ。 昔々メルカッツが一番好きな兄ちゃんと「ビュコックとメルカッツは、艦隊戦で戦ったらどちらが強いのか?」というテーマで語り合ったことがある。 子供のときって本当暇だったよなあ、と言い…

漫画版「十角館の殺人」2巻感想。コミカライズの面白さは、作画者の解釈が楽しめるところ。

漫画版「十角館の殺人」2巻が発売された。 十角館の殺人(2) (アフタヌーンコミックス) 作者:綾辻行人 発売日: 2020/08/21 メディア: Kindle版 第一の殺人が起こり、いよいよ話が始まった感がある。 二巻を読んでいて不思議な感覚に襲われた。 「先が楽し…

自分が好きなものには、自分のためにおけけパワーしていきたい。

話題になったおけけパワー中島。 突如トレンド入りした「おけけパワー中島」とは、同人女たちの深い業をすべて背負い心を搔き乱す「概念」だった…様々な考察集まる - Togetter 先日、「感想がもらえないので筆を折る」という作家の文章を読んだ。 そのこと自…

【小説感想】「タタール人の砂漠」多くの人にとって普遍的な人生の話&カフカについて

タタール人の砂漠 (岩波文庫) 作者:ブッツァーティ 発売日: 2013/04/17 メディア: 文庫 街の人々から忘れ去られた辺境の砂漠の砦に配属された青年将校が、「いつか来る」と言われている「タタール人の襲来」を待ち続ける話。 「イタリアのカフカと称される」…

【小説感想】ミステリー×民族学×幻想×ハイデガー 奥泉光「葦と百合」

*ネタバレ注意。 葦と百合 (集英社文庫) 作者:奥泉光 発売日: 2014/11/07 メディア: Kindle版 (あらすじ) 学生時代、自然と共生するコミューン「葦の会」に入って音信が途絶えた恋人と友人のことを思い出し、式根はその跡地を訪れる。 しかし「葦の会」…

奥泉光「ノヴァーリスの引用」アンチミステリの皮とかぶった精神的な殺し合いに厨二が瀕死の重傷を負う。

ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫) 作者:奥泉 光 発売日: 2015/04/26 メディア: 文庫 天気がいいから散歩していたら、突然横からきたダンプカーにはねられた。 どうせいつかは通る道だから、もしくは通ってきた道だからと言っても読みたい気分のときに読…

奥泉光「滝」別解。「松尾犯人説」を考えてみる&まとめ

ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫) 作者:奥泉 光 発売日: 2015/04/26 メディア: 文庫 どこまでやるんだという感じだが、せっかくなのでとことん考えてまとめてみた。 感想その1。 www.saiusaruzzz.com 感想その2。 www.saiusaruzzz.com ミステリー風に…

奥泉光「滝」の自分の感想を読んだらまったくしっくりこないので、もう一度考え直してみた。

www.saiusaruzzz.com 書いた直後から「いやでも、ちょっと違うんじゃないか」という気がしていた。 何だかピンとこない。 この話は「神」がすごく重要な要素なのに、上の感想ではすっぽり抜け落ちている。そういう話なら、巡礼者ではなく普通の登山者でも成…

【小説感想】他人に自分の悪を引き受けさせ、狂わせる人間の恐ろしさ 奥泉光「滝」

罠と悪意にからめとられ、極限状態に追いつめられていく少年たちの心理を緻密に描き出した傑作と名高い「滝」(裏表紙紹介) 滝 作者:奥泉 光 メディア: 単行本 あらすじ とある宗教団の若者組の少年五人は修行の一環として、山岳の七つの神社を二泊三日かけ…

【小説感想】我孫子武丸「修羅の家」 「『モチーフにしている事件のほうを語りたくなる』という感想になってしまう」ところがどうなのか。

*ネタバレしているので、未読の人は注意。 *「殺戮にいたる病」のネタバレもしています。 修羅の家 作者:我孫子武丸 発売日: 2020/04/14 メディア: Kindle版 面白かっただけに、ちょっと残念。 帯を見たら、「殺戮にいたる病」を読んだことがある人はすぐ…

ウソップ視点で見た「ワンピース」みたいな話=「選ばれていない人」視点の話について。

主人公が最強でない作品 「ウソップが視点人物のONEPIECE」みたいなのが見たい つまり、ずっと一貫して弱ペダやバキみたいにならない作品 あるいは主人公に特殊な能力がほとんどないかあっても劇中世界では凡人に近いレベル。(イシドロ視点のベルセルクと…

天城一の密室分類で「かまいたちの夜」を考えてみた&雑談

*本記事には「かまいたちの夜」の重要なネタバレが含まれています。 かまいたちの夜 発売日: 1994/11/25 メディア: Video Game 天城一の密室犯罪学教程 (宝島社文庫) 作者:天城 一 発売日: 2020/07/04 メディア: 文庫 「天城一の密室犯罪学教程」を読んでい…

「信頼のできない語り手」と「信頼のできない視点」についての雑談

先日見た「かまいたちの夜」の解説動画の中で、「『かまいたちの夜』は選択肢を間違うと、主人公がプレイヤーにとって『信頼のできない語り手』に変貌する」という考えが述べられていて面白いなと思った。 「信頼のできない語り手」は何か作為があったり、も…

【小説感想】持たざる者の残酷な世界への叫び 「なしくずしの死」

なしくずしの死〈上〉 (河出文庫) 作者:ルイ‐フェルディナン セリーヌ 発売日: 2002/03/01 メディア: 文庫 なしくずしの死〈下〉 (河出文庫) 作者:ルイ‐フェルディナン セリーヌ 発売日: 2002/03/01 メディア: 文庫 反ユダヤ主義の差別的言動から国家反逆罪…

【ドラマ考察】「Nのために」のねじれまくっているストーリーの構造のすごさについて考えたい。

第1話 「セレブ夫婦殺人事件…15年前に隠された秘密」 メディア: Prime Video 湊かなえ原作・榮倉奈々、窪田正孝主演ドラマ「Nのために」を観終わった。 引きが強いサスペンスドラマとして面白いが、中盤からストーリー展開について「?」と思うことが多くなる…

「雲のように風のように」と「後宮小説」の思い出

*ネタバレあり。 www.twellv.co.jp 懐かしい。 もう一度見たくて、ずっとアマプラ対象にならないかと思っていたら、BSで7月1日(水)に放送されるそうだ。 「後宮小説」との出会いは、うちの親が仕事関係の付き合いで「第一回日本ファンタジーノベル大…

【小説感想】今邑彩「少女Aの殺人」はミステリーとしてもノワール小説としても良かった。

*この記事は今邑彩「少女Aの殺人」と宮部みゆき「火車」のネタバレを含んでいます。 昔読んだ「金雀枝荘の殺人」が面白かったことを思い出して、今邑彩「少女Aの殺人」を読んでみた。 少女Aの殺人 (中公文庫) 作者:今邑彩 発売日: 2012/12/19 メディア: Ki…

【小説感想】「ザリガニの鳴くところ」 主人公の相手役が一番ヤバい奴に見えて怖かった。

「2019年アメリカで一番売れた本」 「全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー」 「ザリガニの鳴くところ」を読んだ感想。 ザリガニの鳴くところ 作者:ディーリア・オーエンズ 発売日: 2020/03/05 メディア: 単行本(ソフトカバー) 1960年~70年代、差別…

ループする絶望を体感できるゲームブック「護国記」が面白かった。

久しぶりに「このゲームでしか味わえない面白さを味わえた」と思うゲームをプレイした。 護国記 (幻想迷宮ゲームブック) 作者:波刀風 賢治 発売日: 2018/10/21 メディア: Kindle版 不穏な空気はあるものの、それなりに平和だった「高ツ原五国」の壱の国に、…