小説
文庫本を作ってみたいと思ったので、一ページの文字数は何文字くらいが読みやすいか、家にある文庫を元に考えてみた。 出版社によっても違うし、出版年数によっても違うし、シリーズによっても違うので「タイトル・出版年数」を参考に記載しておいた。 各出…
鈴木亮平主演で映画化された「エゴイスト」の原作を読んだ。(映画は未視聴) 鈴木亮平の寄稿文によると、作者にRと呼ばれる恋人がいたこととその母親と交流があったことは事実らしいが、「小説」と銘を打っているので「小説として」読んだ感想を書きたい。 …
インタビューの答えがそのまま書いてあった。 www.saiusaruzzz.com 小川哲のインタビューを読んで、「君のクイズ」に興味を持ち読んでみた。 自分は創作を読む時には作者という概念が頭から消えるタイプなのだが、これは読み終わったとあとに「インタビュー…
"> ">2022年1月24日(火)に読売新聞掲載されていた小川哲のインタビュー「直木賞に決まって」がとても良かったので、特に印象に残ったところを抜粋して紹介したい。 高校生のころから、ずっと心に決めているルールがある。 「自分の力ではどうしようもない…
「マツコ会議」に雨穴が出る、ということで、朝から楽しみすぎてそわそわしていた。 23時の15分前には、やること全部済ませてテレビの前で待っていた。 最初、マツコが雨穴にもホラーにも余り興味がなさそうなのが気になった。 これは余り深堀りされず面白く…
*物語の核心以外の若干のネタバレがあります。未読のかたはご注意下さい。 楽しみにしていた雨穴「変な絵」が発売されたので、さっそく購入した。 ほぼ一気読み。 変な絵 作者:雨穴 双葉社 Amazon 前回の記事で書いた通り、雨穴の話は導入から中盤までは滅…
変な家 作者:雨穴 飛鳥新社 Amazon 「変な家」で有名な雨穴のYouTube動画を何本か見たので、感想のまとめ。 ★【奇妙なブログ】消えていくカナの日記(17:54) 見た中では一番面白かった。 内容はシンプルで雨穴の話にしてはオチに捻りないが、むしろそこが…
※本記事には映画「容疑者Xの献身」のネタバレがあります。ご注意下さい。 容疑者Xの献身 福山雅治 Amazon 映画「容疑者Xの献身」*1を見るのは、通算五回目くらいだ。 この話の個人的な解釈を以前noteに書いたが、今回観て少し考えが変わった部分もあるので…
少し前にネットで学生運動の話をよく見かけたので、自分が今まで読んだり聞いたりした話と合わせて雑談したい。 この時代の学生運動周囲の話を見ていくと、そのセクトや大学によってだいぶ雰囲気が違う。(考え方が違うので当たり前だが) 例えば立花隆の「…
*記事の性質上、内容の核心的なネタバレが含まれます。本編未読の人は、まず本編を読まれることを強くおすすめします。 硝子の塔の殺人 作者:知念 実希人 実業之日本社 Amazon 公平に考えて、面白いと思う人もそうとういると思う。 出来不出来、是非の話で…
*本記事には原作及び漫画版「十角館の殺人」の重大なネタバレが含まれます。未読のかたはご注意下さい。 *原作未読の人はもちろん、原作ファンにもぜひ読んで欲しい。全五巻。 十角館の殺人(1) (アフタヌーンコミックス) 作者:綾辻行人 講談社 Amazon …
実家の兄ちゃんが貸してくれた知念実希人の「硝子の塔の殺人」を読んでいる。 硝子の塔の殺人 作者:知念 実希人 実業之日本社 Amazon 物語が始まってすぐに、投薬方法の特許を持ち、莫大な資産を築いた登場人物が「私は綾辻行人になりたかったんだ」(P38)…
読売新聞の書評欄に金石範の「火山島」が紹介されていて、面白そうだなと興味を持った。 韓国では今も余り語られない、「済州島四・三事件」を題材にした小説だ。 早速Amazonで調べてみたが、電書も文庫も出ていない。出ているのは中古の単行本とペーパーバ…
労働者版のフェミニズムみたいなのってないかな? 完全にマジカルバナナ*1だが、「労働者の組合運動」を描いた「沈まぬ太陽」一巻二巻のことを思い出したので、話したい。 読んだのが大昔なので、かなりうろ覚えな記憶の感想だ。 「沈まぬ太陽」の第一巻第二…
www.saiusaruzzz.com 「私だけに優しい、私だけを愛してくれる人」という、恋愛モノの相手役の究極の形である「自分を受け入れ愛してくれるが、他人に対しては受け入れがたい振る舞いをする相手」をどう考えるか。 恋愛モノにおいて、これは鬼門のテーマだ。…
ブログ記事をいくつも書いているも通り、ドストエフスキーが好きだ。 他の古典小説は(探せばあるのだろうけれど)余り感想を見かけないのに対して、ドストエフスキーは特に探さなくても言及している人をちらほら見かけるので人気があるのだろうなと思う。 …
*ネタバレがあります。未読の人はご注意下さい。 「騎士団長殺し」(上)(下)を読み終わった。 騎士団長殺し(第1部~第2部)合本版(新潮文庫) 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 下巻の途中から「えっ?」と声が出っぱなしだった。 元々「騎士団長殺し」…
ドストエフスキーの「悪霊」の中で、自分が自由であることを証明するために拳銃自殺をする男がいたと記憶しているんだけど (引用元:「騎士団長殺し」村上春樹 新潮社 P249) したな、自分の前でキリーロフの話を! と鼻息荒くキリーロフのことを思い出した…
www.saiusaruzzz.com 「アニメ平家物語」の時に書いたが、「向いていない、出来ないとわかっていることを人が無理やりやらされる描写」がかなり苦手だ。 その「やらされる人」が、その場にどうあっても適合できない、しかし文句も言えないような人柄の場合、…
「ハイコンテクストすぎて意味がわからん」と途中で投げ出すものもあれば、「ハイコンテクストだからこそ意味を考えたくなる」ので、何度も通読して寝食も忘れて文章ひとつ、語ひとつの意味まで考えたくなる作品もある。 今回は後者の「ハイコンテクストだか…
※この記事には、村上春樹の作品のネタバレを含まれています。未読の人はご注意下さい。 前回書いた「騎士団長殺し」の記事で、 www.saiusaruzzz.com 自分の感じた限りだと、村上春樹の小説はこの「自己の領域を広げる『仮説』の可能性」について書いているこ…
村上春樹の「騎士団長殺し」の第一部「顕れるイデア編」を読み終わった。 騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(上)―(新潮文庫) 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 最初のほうは「つまらなくはないけれど」と思っていたが、第一部の途中からじわじわ面白くなっ…
NHKで放送されたアガサ・クリスティ原作のドラマ「蒼ざめた馬」の感想。 「蒼ざめた馬」か。随分、渋い選択だな。 ノン・シリーズものだし、クリスティの作品の中では知名度は余りないけれど、怪奇色の雰囲気が楽しめつつ、謎解きもしっかりしている。 何故…
*タイトル通り、基本的に否定的な内容です。 *ネタバレあり感想です。未視聴のかたはご注意下さい。 ドライブ・マイ・カー インターナショナル版 西島秀俊 Amazon *記事内の青字は、映画・原作からの引用。 映画「ドライブ・マイ・カー」は原作の謎解きを…
ソ連時代にノーベル文学賞を受賞したソルジェニーツィンの「イワン・デニーソヴィチの一日」を読み終わった。 イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫) 作者:ソルジェニーツィン 新潮社 Amazon 「文化革命時代の中国でこっそり読まれていた」と知って読み出…
「世界に復讐してやる」というルサンチマン文学が好きである。 具体的な被害を伴わない、漠然とした呪詛や憎悪、怨嗟は、現実で言動に表すのは咎められるべきだと思うが、創作では長く書き続けてこられたテーマだ。歴史に残る傑作もいくつもある。 そんなル…
ゴールデン・グローブ賞を受賞した記念に、「女のいない男たち」に収録されている「ドライブ・マイ・カー」をもう一度読み直した。 女のいない男たち (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 監督の濱口竜介は、原作に強く惹きつけられて映像化したくなっ…
先日、「書評」が話題になっていたので、「書評を読んで読みたくなった本」を上げてみようかと思いたった。 読売新聞の「書評欄の読書委員が選ぶ『2021年の三冊』」を読んで読みたくなったもの、その中で「特に読みたくなったベスト3」を選んでみた。(青字…
相変わらず「グイン・サーガ」を読んでいる。 43巻でダリウス大公が最期にブチかます「開き直った悪党の下衆な恨み節」を読んで、「そうそう、こいつ、最期の最期で滅茶苦茶面白いキャラになったんだよなあ」と思い出した。 読んだことがない人のために説明…
「グイン・サーガ」41巻「獅子の星座」までの感想。 前回36巻まで。 www.saiusaruzzz.com 天才ヨナ登場 記憶だとナリスとリンダの二人は、婚約~新婚期間も落ち着いているというイメージだったが、まったくそんなことはなかった。 今回読んだら、マリウスと…