うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

よく読まれている、このブログのおススメの記事

このブログでおススメの記事を選びました。比較的、多くの方に読んでいただいているものです。ジャンルは小説や漫画、ドラマの批評・感想・管理人うさるの考え方などです。少しでも面白いと思っていただければ幸いです。 特におすすめしたいものはブログカー…

現在は、noteと一次創作をメインに書いています。

2023年12月からは、ブログは月一回程度の更新にして、noteをメインに書くことにしました。 note.com 両方愛着があるので悩んだけれど、色々考えた末、そうすることにしました。 よろしければフォローをお願いします。 一次創作もしています。 なろう「https:…

道教とは何なのか。その歴史と概略について。

中国道教の展開 (世界史リブレット 96) 作者:横手 裕 山川出版社 Amazon 中国の三大教のひとつである道教の概略を↑の本で学んだので、そのまとめ。 世界史リブレットはその分野の全体像が簡略にわかりやすくまとめられている。約800円と値段も内容のわりにお…

【小説感想】悟りへ至る自分独自の道筋を描く へルマン・ヘッセ「シッダールタ」

「ヘッセが東洋思想の話を書いているのか」と興味を持ち、読んでみた。 シッダールタ(新潮文庫) 作者:ヘルマン・ヘッセ 新潮社 Amazon シッダールタは若い時に、「悟りを開いた高僧」ゴーダマに出会い、その偉大さをひと目で見抜いて心を打たれる。 しかし…

【小説感想】マルクスとエンゲルスの出会いを阻止することで共産主義の消滅を目論む 小川哲「嘘と正典」

ソ連で活動しているCIAの諜報員が「共産主義を歴史に登場させない」という目的のために、歴史に干渉してエンゲルスを有罪にしようとする。 そんな筋書きに興味を持って、小川哲の「嘘と正典」を読んでみた。 嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA) 作者:小川 哲 早川書…

【映画感想】それは事故か殺人か。「ゆれる」が面白かったので解釈&感想を語りたい。

※この記事には映画のネタバレが含まれます。未視聴のかたはご注意ください。 ゆれる オダギリジョー Amazon ずっと昔、友達にすすめられたのを思い出して(今さら)視聴した。 見る前に想像したより、十五倍くらいいい話だった。 先日見た「落下の解剖学」と…

太平洋戦争(十五年戦争)とは何だったのか&村上春樹が語るノモンハン事件について

日本の歴史 (25) 太平洋戦争 (中公文庫) 作者:林 茂 中央公論新社 Amazon 太平洋戦争(十五年戦争)は、知れば知るほど何なんだろうなという思いが強くなる。 「戦争は自国も他国も含めて多くの人が犠牲になる、悲惨であり起こしてはいけないものだ」 そうい…

【漫画感想】佐藤秀峰「特攻の島」のどこが凄いかを語りたい。

※この記事には「特攻の島」全9巻のネタバレが含まれます。未読のかたはご注意ください。 人間魚雷と言われた兵器「回天」に乗り込む若者たちを描いた「特攻の島」全9巻を読んだ。 特攻の島 完全版1 作者:佐藤秀峰 佐藤漫画製作所 Amazon 凄い話だった。 普…

「昭和恐慌」からファシズムが生まれた流れは、現代と重なる部分が多い。

日本の歴史 24 (中公文庫 S 2-24) 作者:大内 力 中央公論新社 Amazon 昭和恐慌の流れを読んでいると現代の状況と重なる部分が多い。 資本主義においてはだいたい同じようなことが問題として起こって、似たような流れになるのかなと感じたので、大まかにまと…

「歴史を知ること」は難しい。

少し前に「済州島四・三事件」に興味を持った。 この事件は韓国でも長く触れられることのない件だったが、2000年代に入ってようやく公に解明しようという機運になった。 日本だと金石範の「火山島」が有名なので読んでみた。 火山島 1 作者:金 石範 文藝春秋…

【小説感想】嘲笑われ、消されたフェミニストを通して描かれる怒り 桐野夏生「オパールの炎」

オパールの炎 作者:桐野夏生 中央公論新社 Amazon 桐野夏生のインタビューを読んだことをきっかけに、ずっと読みたいと思っていた「オパールの炎」を読んだ。 一気読みしてしまった。 桐野夏生の作品は、何よりまず創作として抜群に面白い。先が気になって、…

【小説感想】コーマック・マッカーシー「すべての美しい馬」 初読では、びっくりするくらい話を読めていなかった。

すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫) 作者:コーマック マッカーシー 早川書房 Amazon コーマック・マッカーシーの小説は、初めて読んだあとたいてい続けてもう一度読み返すのだが、「すべての美しい馬」は一度しか読まなかった。 親友同士二人の少年が家出し…

ボルシェビキから新左翼まで、思想の流れの原点がわかる「ネチャーエフ ‐二ヒリズムからテロリズムへ‐」

戦前の共産党の組織はレーニンが作ったボルシェビキを元型としており、さらにボルシェビキはロシアで生まれた過激派組織「人民の意志」をモデルにして作られているという話を読んだ。 「人民の意志」に影響を与えたネチャーエフは、ドストエフスキーの「悪霊…

【ゲーム感想】「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」 こういうゲームがもっともっとプレイしたい。

www.jp.square-enix.com 「パラノマサイト」をクリアした。プレイ時間は10時間いかないくらい。 プレイしているあいだ、ずっと懐かしかった。 オカルトと過去の事件、現在の状況が複雑に絡み合った謎だらけのストーリー。 様々な登場人物の選択や思惑が絡み…

「なぜ隣人を殺したか ルワンダ虐殺と煽動ラジオ放送」を、現代の問題を語るために用いるのは問題が多いのでは。

www.saiusaruzzz.com ↑の本を読み終わったタイミングで、ちょうどNHKで1998年に制作されたルワンダの虐殺についての番組を放送していたので、合わせて見てみた。 「なぜ隣人を殺したか」は、94年4月のジェノサイドの時に、幼い甥と姪を殺してしまった少年フ…

ルワンダのジェノサイドはなぜ起こったのか。「ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実」を読んで考えたこと

日本語で出版されている中では一番ルワンダで起こったジェノサイドについて詳細に描かれている「ジェノサイドの丘」を読み終わった。 ジェノサイドの丘〈新装版〉―ルワンダ虐殺の隠された真実 作者:フィリップ・ゴーレイヴィッチ WAVE出版 Amazon この本を読…

【エルデンリングストーリー考察】三つの世界の可能性=源流から、ストーリーの全体像を考える。

ストーリーの大まかな全体像について考えたことのまとめ。 「エルデンリング」のストーリーの前提 「律」が壊れているので、時系列や因果律が乱れている。 現在と過去と未来が同時に事象化しており、一人の人物(の可能性)が必ずひとつの実体に集約されてい…

【ドラマ感想】宮藤勘九郎脚本「俺の家の話」 物語の深層に眠る自己犠牲のストーリーに涙が止まらない。

*本記事はネタバレ感想です。未視聴のかたはご注意ください。 第一話 濃すぎる家族の全力介護が始まる! Amazon 遅らばせながら宮藤官九郎脚本「俺の家の話」全10話を見た。 「俺の家の話」は、介護される父親と介護をする息子の親子愛、そして家に住む兄弟…

創作好きに色々な意味でぶっ刺さる。古屋兎丸「アマネ♰ギムナジウム(前半)」の紹介と感想

アマネ†ギムナジウム(1) (モーニングコミックス) 作者:古屋兎丸 講談社 Amazon 後半は不満があるのだが真相が解明されるまでの前半部分が凄くよかったので、紹介したい。 創作好きなら、笑いと共感と苦笑いと変な声がいっぺんに出ること請け合いである。 …

「独裁体制から民主主義へ ー権力に対抗するための教科書ー」が面白かった。

「100分de名著」で取り上げられて話題になったジーン・シャープ「独裁体制から民主主義へ ー権力に対抗するための教科書ー」を読んだ。 独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書 (ちくま学芸文庫) 作者:ジーン シャープ,Sharp,Gene 筑摩書房 Amaz…

アフリカ系女性で初めてノーベル文学賞を受賞したト二・モリスンが描く、差別の構造と傷痕について「ビラヴド」

ビラヴド (ハヤカワepi文庫) 作者:トニ モリスン 早川書房 Amazon アフリカ系女性で初めてノーベル文学賞を受賞したト二・モリスンが、実際の事件を基に奴隷制度の傷痕について描いた話。 奴隷としての過去を持ち、現在は自由の身になったセサは、娘のデンヴ…

NHK大河ドラマ「光る君へ」第六話まで見た忌憚のない感想・その恋愛描写は必要なのか。

*前回。 www.saiusaruzzz.com これまで「自分は宮廷の権力闘争に興味はないし、藤原家の行く末もなるようになればいい」と距離を取っていた道長がいよいよ後に最高権力者になる片りんを見せ始めた。 痣だらけの顔の道兼と対峙した時、今まで通り気圧される…

NHK大河ドラマ「光る君へ」第一話・第二話を見た忌憚のない感想

楽しみにしていた今期の大河ドラマ「光る君へ」の第一話、第二話を見たのでその感想。 「面白かった。先が楽しみ」 「豪華で実力派の俳優陣の演技を見ているだけで楽しい」 全体的にはこういう感想だが、強いて言えば「個人のストーリー」と「(宮廷政治など…

雨穴「変な家2」を謎解き推理して答え合わせしてみた&ネタバレ感想

変な家2 ~11の間取り図~ 作者:雨穴 飛鳥新社 Amazon 一見無関係に見える11の間取り図とそこにまつわる謎から、背後に隠れている不気味なストーリーが浮かび上がる「変な家2」を読み終わった。 ひとつひとつの間取りにまつわる話は、単体だけでも面白い。 …

【ゲーム感想】「ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島」の良かったところと気になったところを語りたい。

「ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島」をクリアした。 ストーリーをクリアして、自由にビルド出来るこれからが本番という感じだが、せっかくなのでストーリーモードの感想を一通り述べたい。(ネタバレ注意) 〔新価格版〕ドラゴンク…

「自分と異質で相容れない考えは、自分にとってこそ必要である」と立花隆の言葉を読んで改めて思った。

立花隆の「日本共産党の研究(一)」を読んでいる。 日本共産党の研究(一) (講談社文庫) 作者:立花隆 講談社 Amazon その中に書かれたこの文章が良かった。 私の基本的な社会観はエコロジカルな社会観である。多様な人間存在、多様な価値観、多様な思想の…

急にマッピングがしたくなって、ゲームブック「パンタクル2」をやり始めた。

www.saiusaruzzz.com 相変わらずゲームブック「ドルアーガの塔三部作」実況を見ている。 見ているうちに久しぶりに手書きマッピングをしたくなった。 ©しのゲーム 見るだけでときめく。 自分が知っている限りだと、ブロック(スクエア)数が表記されていて正…

「賭博黙示録カイジ」再読。福本漫画の世界は、命を賭けて鉄骨歩きをしなければ「世間に入っていけない」

*本記事には「賭博黙示録カイジ」のネタバレが含まれます。 『賭博堕天録カイジ 24億脱出編』 【無料公開中】 | ヤンマガWeb 「カイジ」の「24憶脱出編」の冒頭数話が無料公開されていたので、読んでみたら面白かった。 (引用元:「賭博堕天録カイジ 24…

「ソ連や中国は(国家)資本主義であり、マルクスが想定したコミュニズム社会ではない」ということがわかりやすい「ゼロからの『資本論』」

「資本論」入門書二冊目「ゼロからの『資本論』」を読んだ。 ゼロからの『資本論』 (NHK出版新書) 作者:斎藤 幸平 NHK出版 Amazon 池上彰の本が「わかりやすく伝えること」を第一にしているのに対して、「ゼロからの『資本論』」は著者の視点や主張がかな…

ある作品を読むことで他の作品の理解が深まると、テンションが上がる。その2(「火山島」×「カラマーゾフの兄弟」)

note.com ↑の話の続き&補足。 いま読んでいる「火山島」の7巻に、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」のオマージュシーンが出てきた。 反政府組織の裏切者である柳達鉱(ユ・タルヒョン)を、主人公の李芳根(イ・バングン)が糾弾する。 このシーン…