うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

2019-01-01から1年間の記事一覧

【漫画感想】東元俊哉「テセウスの船」10巻完結。家族愛をテーマにしたヒューマンドラマとしてよかった。

「テセウスの船」が全10巻で完結した。 テセウスの船(10) (モーニング KC) 作者:東元 俊哉 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/12/23 メディア: コミック これも「モンキーピーク」と同じだった。 期待値の高さと期待の方向性が、ちょっと食い違ってしま…

ミステリーをメタ視点で読み解く面白さ「ロジャー・アクロイドは、なぜ殺される? ー言語と運命の社会学ー」を紹介したい。

アガサ・クリスティの代表作で、超有名なトリックが使われている「アクロイド殺し」を、物語の構造や言説、表紙や献辞を含めた本そのものの作り、クリスティが当時置かれていた状況や人生などから、多角的に読み解く、という非常に面白い本。 アクロイド殺し…

アニメ版「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」に、物語の凄みを見た。

アニメ版「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」の感想。他の版は未視聴、未読。劇場版はこれから見る予定。 #1 超平和バスターズ 発売日: 2015/12/18 メディア: Prime Video ずっと見たいと思っていたので、プライムビデオ対象になっていたのを見つけ…

「最強不動産屋ガチンコ家売りバトル『どっちの家を買いますか?』」が面白かった。

2019年12月17日(火)にテレビ東京で放送された「どっちの家を買いますか?」が面白かった。 正直な感想を言えば、バラエティとしては中途半端だったと思う。 ひな壇のゲストたちの反応やコメントも余り目立たず微妙だったし、不動産屋さん同士の対立構図も…

「物分かりいい症候群との戦い」としての「進撃の巨人」を語りたい。

www.saiusaruzzz.com この記事の続き。 上の記事で「『進撃の巨人』は世界に対する怒りそのものと感じる」と書いた。 根底にあるその怒りのエネルギーがずっと持続しているところが、「進撃の巨人」のすごいところだ。怒りが払しょくされていく話なのかと思…

【漫画感想】諌山創「進撃の巨人」30巻 理想という欺瞞に満ちた世界への怒り

「進撃の巨人30巻」を読んだ。 かなり衝撃を受けていて、モヤモヤをそのまま語るのであまりまとまっていない。 モヤモヤしたまま語りたい。 進撃の巨人(30) (週刊少年マガジンコミックス) 作者:諫山創 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/12/09 メデ…

世界一の投資家、唯一の公認伝記「ウォーレン・バフェット伝 スノーボール」感想

文庫・スノーボール ウォーレン・バフェット伝 (改訂新版)〈上・中・下 合本版〉 作者:アリス・シュローダー 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2014/12/26 メディア: Kindle版 大好きな美雪さまが目をキラキラさせて、「投資の神様」「私の憧れ…

女の子の力を信じて応援する「荒ぶる季節の乙女どもよ。」が素晴らしかった。

荒ぶる季節の乙女どもよ。DVD 第四巻 出版社/メーカー: DMM pictures 発売日: 2019/12/27 メディア: DVD この商品を含むブログを見る アニメ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」がよかった。 「異性相手では物理的には受容的にならざるえない女性が、性的に主体的…

「犯罪者には田中が多い」が面白かったことと文章について思うこと。

kakuyomu.jp 昨日、はてブであがっていたこれが面白かった。 差別の構造を皮肉っていながら、それをまったく気にしなくても読めるエンターテイメントに仕上がっている。 短編でこれができるってどういう力量だ、と思ったら、作者は既に商業作品を出している…

Googleアドセンスの自動広告を導入して心が震えた話。再び。

人は同じ過ちを何度も犯す生き物なのですね…。(主語デカい) www.saiusaruzzz.com Googleアドセンスさんから「自動広告がボタンひとつで導入できるようになりましたよ、どうですか?」とお誘いがあった。 一年半ほど前、これを導入してひどい目にあったから…

村上春樹「国境の南、太陽の西」は、なぜあんなクソみたいな奴が主人公なのだろう。

国境の南、太陽の西 (講談社文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1995/10/04 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 230回 この商品を含むブログ (285件) を見る 「国境の南、太陽の西」を初めて読んだときの、なんとも言えない嫌悪と困惑…

漫画版「十角館の殺人」1巻が発売。読んでみたら、やっぱり面白い。

「十角館の殺人」が漫画になっていた。 TwitterのTLで綾辻行人が「漫画版『十角館の殺人』の一巻が発売されました」とつぶやいていたのを見かけたので、さっそく購入して読んでみた。 十角館の殺人(1) (アフタヌーンコミックス) 作者: 綾辻行人 出版社/メ…

【ダークソウルⅢ考察】「罪の都」で起こったこと、法王サリヴァーン、「深みの聖堂」についてなど。

www.saiusaruzzz.com 前回の「基本的な考え方」を踏まえて、「ダークソウルⅢ」のストーリーについて考えていきたい。 「罪の都」で何が起こったのか? カルラはなぜ、牢に閉じ込められていたのか? 物語の中心にいる法王サリヴァーン 「深みの聖堂」マクダネ…

【ダークソウル考察】世界観の考え方と「混沌の廃都イザリス」で起こったこと「闇撫でのカアス」関連の復習。

「ダークソウルⅠとⅢ」について、もう一度1から考え直してまとめた。 *ゲーム内のテキストやストーリーを基にした、個人的な考察です。 「ダークソウル」の世界についての基本的な考え方 「ダークソウル(Ⅰ)」のストーリーの復習 混沌の廃都イザリスで起こ…

他人をイラっとさせてしまったことに気づいた話。

先日、仕事関連の勉強会があった。(ブログやネットとは何の関係もない。) そのときにある事例に関連して、自分なりの質問や意見を述べたら、適当に流されて、その日はけっこう落ち込んだ。 「的外れな考えだったのだろう」と自分に言い聞かせたが、色々な…

MBTIのタイプにおける典型的なキャラとそれについての雑談(その2)

www.saiusaruzzz.com 前に書いたこの記事の続き、というか補足。 記事を書いたあとに思いついたことやキャラについて。 *創作の中の話に限定しています。書いてあることはすべて個人的な考えです。専門家ではないので、雑談程度に読んでください。 NTJ世界…

起業リアリティショー「メイクマネー」を見て、「世界観が違うと話がかみ合わない」とはどういうことなのかを学ぶ。

You Tubeで公開されている「起業リアリティショー メイクマネー」を何気なく見始めたら面白かった。(*NEWSPICKSのレギュラー番組の番宣で、全編見るには加入が必要。自分はYou Tubeに公開されているぶんしか見ていないが、十分楽しめた) 事業に出資して欲…

「バチェラー3」が面白くていっき見したので、何の遠慮もなく感想を語りたい。

先日読んだ「バチェラー3」の感想が面白かったので、今まで興味がなかった「バチェラー」を見てみた。 バチェラー・ジャパン 予告編 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る あくまで「番組を見ただけの感想」「登場人物たちは、この番組内だけ…

コバルト文庫の思い出。

「コバルト文庫はラノベかどうか」というまとめを見つけて、コバルト文庫のことを思い出した。 自分が当時読んでいた、コバルト文庫の思い出を気ままに語りたい。 コバルト文庫を知ったきっかけは、ゲームブックまでさかのぼる。 小学生のとき、創元社のゲー…

【小説考察】アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」の事件と犯人を細かく検証してみた。

*本記事には、アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」の重大なネタバレが含まれています。本編未読のかたは、本編から読まれることをお勧めします。 そして誰もいなくなった (クリスティー文庫) 作者: アガサ・クリスティー,青木久惠 出版社/メーカ…

「紅蓮館の殺人」の解決部分の説明が、なぜおかしく感じたのかをもう少し考えてみた。

www.saiusaruzzz.com 前回の「紅蓮館の殺人」の感想の続き。ネタバレがあるので注意。 「犯人の行動(犯行を含む)の根拠に犯人の性格を持ってきているけれど、それは根拠にならないのでは」ということを書いた。 タイムリーな記事を読んだので、補足的に考…

【小説感想】館が燃え落ちるまで残り35時間。事件を解決できるか。阿津川辰海「紅蓮館の殺人」

山火事に巻き込まれて逃げ込んだ館で起こった、吊り天井による殺人事件。館が燃え落ちるまでの残り35時間で、殺人事件を解決し、館から脱出することができるか。 「タイムリミット」「クローズド・サークル」「吊り天井」このあたりのワードで興奮した人は、…

【漫画感想】「モンキーピーク」とは何だったのか。

「モンキーピーク」が全12巻で完結した。 モンキーピーク 12 作者: 志名坂高次,粂田晃宏 出版社/メーカー: 日本文芸社 発売日: 2019/10/18 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 想像以上にやっつけな終わり方だった。 内容のつじつまやキャラの掘…

「デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する」からデジタル断捨離について学ぶ

デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する 作者: カル・ニューポート,長場雄,佐々木典士,池田真紀子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/10/03 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 最初にこの本の概要について説…

リアリティ溢れる警察小説・奥田英朗「罪の轍」の映画化、ドラマ化を熱望する。

罪の轍 作者: 奥田英朗 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/08/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 1963年に起こった「吉展ちゃん誘拐事件」をモデルにして描かれたフィクション。 幼いころ義父から虐待された影響で脳機能に障害を抱え、周…

【2019-2020シーズンBリーグ】開幕から早くも波乱万丈の予感でわくわくする。

10月3日(木)に、Bリーグが開幕した。 www.bleague.jp 千葉は渋谷相手に二連敗スタート……。うーん、きつい。 千葉ファンとしては大ダメージなんだけれど、千葉VS渋谷、川崎VS宇都宮と四戦見て、嬉しくなった。 「Bリーグが、どんどん面白くなっている」。 …

「鉄血のオルフェンズ」なぜ、雪之丞は鉄華団を止めなかったのか?という疑問から、物語を支配する恐ろしい回路の存在を妄想する。

これまでの感想の変遷 (一期を観終わった直後) www.saiusaruzzz.com (全話観終わった直後) www.saiusaruzzz.com www.saiusaruzzz.com (全話観終わった一年後) www.saiusaruzzz.com これだけ書いても「オルフェンズ」について、腑に落ちない部分がある…

【ゲーム感想】トゥルーエンドのあとも「支配ー被支配」のループから抜け出せない「レイジングループ」にがっくりくる。

*PS4「レイジングループ」と「宇宙よりも遠い場所」の五話のネタバレを含んでいます。 レイジングループ 【同梱特典】特製ステッカー 同梱 - PS4 出版社/メーカー: ケムコ 発売日: 2018/01/25 メディア: Video Game この商品を含むブログ (3件) を見る …

アガサ・クリスティの後継者と謳われるP・D・ジェイムズのデビュー作「女の顔を覆え」感想

P・D・ジェイムズの「女の顔を覆え」を読んだ。 女の顔を覆え (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 129-6)) 作者: P・D・ジェイムズ,山室まりや 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1993/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る P・D・ジェイムズ…

田中芳樹「灼熱の竜騎兵」(レッド・ホット・ドラグーン)の続きを妄想してみた。

灼熱の竜騎兵 1 (EXノベルズ 35-1) 作者: 田中芳樹,北爪宏幸 出版社/メーカー: エニックス 発売日: 2002/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 「灼熱の竜騎兵」既刊のおさらい 2504年、惑星ザイオンは建前上は自治権を認められていたが、…