うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

2020-01-01から1年間の記事一覧

【漫画感想】平野耕太「ドリフターズ」を読むと、無性に厨二的自分語りがしたくなる。

「未完で終わるかもしれない」と思い敬遠していた平野耕太「ドリフターズ」既刊6巻を、今さら読んだ。 ドリフターズ(1) (ヤングキングコミックス) 作者:平野耕太 発売日: 2013/04/12 メディア: Kindle版 「目的があって戦う話」ではなく、ひたすら戦っ…

【小説感想】久しぶりに遠藤周作「沈黙」を読んで、その残酷さと美しさに気づく。

突然、読みたくなって遠藤周作の「沈黙」を読んだ。 沈黙(新潮文庫) 作者:遠藤周作 発売日: 2013/03/01 メディア: Kindle版 初めて読んだのは学生時代なので、十何年ぶりだ。 学生時代に読んだときは、最後の結末に強く衝撃を受けた。こんなに残酷なことが…

ホロコーストを引き起こした史上最悪の偽書「シオン賢者の議定書」はなぜ生まれたのか。ウンベルト・エーコ「プラハの墓地」

「ホロコーストを引き起こした至上最悪の偽書」と呼ばれる「シオン賢者の議定書」が生まれる過程と、それが広まった憎悪のメカニズムを描いたウンベルト・エーコの「プラハの墓地」を読んだ。 プラハの墓地 (海外文学セレクション) 作者:ウンベルト・エーコ…

【「ダークソウル3」雑談】「深淵の監視者」は、こんなことを考えていたのか。

「ダークソウルⅢ」の「深淵の監視者」がすごく好きで、たまに動画を見に行く。 二段階めのときの攻撃の炎が、ワンテンポ遅れてついてくるところが特に好きなのだが、同じことを言っている人がいて嬉しかった。 「深淵の監視者」のBGMについているラテン語…

「鬼滅の刃」を23巻まで読んだので、感想の付けたし。

最終巻23巻を読んだので、前回の感想で入れられなかったことを雑談風に話したい。 www.saiusaruzzz.com 家に帰る話 「お願いします、神様。家に帰してください」 「俺は妹と家に帰りたいだけなんです」 炭治郎のこのセリフを読んだとき、こういう話だったな…

黒死牟こと継国巌勝についての話の続き。継国縁壱について少し考えてみた。

www.saiusaruzzz.com 前回の話で入れられなかった箇所があるので続き、というか補足。 巌勝というキャラは、ほぼすべてが弟・縁壱に対する感情のみでできているキャラなので、縁壱について考えてみようと思った。 縁壱というキャラは、把握するのが少し難し…

「アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治」メモと感想。

「アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治」を読んだ。 アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治 (講談社現代新書) 作者:吉田徹 発売日: 2020/09/16 メディア: Kindle版 現状についてなぜこうなったのか、ということがまとめられている。 以下は自分が理解した限…

【「鬼滅の刃」キャラ語り】黒死牟こと継国巌勝は、一生懸命すぎてはた迷惑なところが魅力だと思うのだ。

「鬼滅の刃」の鬼サイドで一番好きなのは、圧倒的に黒死牟こと継国巌勝だ。 この人のどこが好きかを書こうとすると、なぜか悪口みたいになってしまうのだが、とりあえず自分が巌勝のどこが好きかを語りたい。 自分から見た巌勝は、ひと言で言うと「思い込み…

好きな小説の文章から学んだこと

「私のジャンルに『神』がいます」の珠希に触発されて、自分も文章について考えたこと、やってみたことを急に話したくなった。 人のメソッドを聞くのは楽しい。珠希の「短編小説百本ノック」も、もう少し前の体力があったころだったら実際に試したかもしれな…

【漫画感想】真田つづる「私のジャンルに『神』がいます」各話ごとの感想。

「おけけパワー中島」で一躍有名になった、「同人女の感情」改め「私のジャンルに『神』がいます」 私のジャンルに「神」がいます (コミックエッセイ) 作者:真田 つづる 発売日: 2020/11/12 メディア: Kindle版 最近は漫画はほぼ電書で購入しているんだけれ…

【「鬼滅の刃」キャラ語り】「伊黒小芭内はなぜ甘露寺蜜璃に靴下を贈ったのか?」という疑問から、二人の関係について考えた。

*ネタバレ注意。 *(11年2月6日追記)公式ファンブック2の情報について末尾に追記しました。 (引用元:「鬼滅の刃」14巻 吾峠呼世晴 集英社) 「なぜ、伊黒は蜜璃に靴下を贈ったのか?」がすごく気になる。 「伊黒がなぜ蜜璃に靴下を贈ったのか?」は…

【漫画感想】「鬼滅の刃」22巻まで読んですごいと思ったところを、黒死牟のエピソードを例に話したい。

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:吾峠呼世晴 発売日: 2016/06/17 メディア: Kindle版 今さらだけど、「鬼滅の刃」の既刊22巻までとアニメシーズン1を観た。 もうさんざん色々と言われつくされていると思うが、それでも自分の感じ方を書きたく…

【推しキャラの死の思い出語り】マニゴルドが死んだとき、ショックがデカすぎてその後の展開が記憶からすべて吹っ飛んだ。

私のジャンルに「神」がいます 作者:真田 つづる 発売日: 2020/11/12 メディア: 単行本 「おけけパワー中島」で有名になった「同人女の感情」改め「私のジャンルに『神』がいます」が完結した。 特に「素晴らしき過疎ジャンル」が好きで繰り返し読んでいる…

今さらだけど、米澤穂信「インシテミル」のどこがどうすごく、面白いのかを語りたい。

初めて「インシテミル」を読んだとき、「漫画みたいな話*1だな」と思った。 設定は大仰で荒唐無稽だし、キャラクターは極端にわかりやすくカリカチュアライズされている。 ストーリーに関係ある設定以外のもの(食事の用意や洗濯など)は、「そういうもので…

連続殺人が行われている世界で、ループの原因である主人公を探すモブキャラたちの奮闘を描く「ループ・ループ・ループ」

*若干のネタバレあり。 こういうのはたいてい、物語の主人公が命の危険にさらされたり世界を救えなかったりするときに起きるものだ。ごろごろしながらマンガを読んでいただけの俺が起こすなんて、どう考えてもありえない。(略) 間違いない。この物語の主…

「水溜まりに浮かぶ島」を2巻まで読んだ感想&今のところの疑問&考えたことのメモ。

作者は「僕だけがいない街」の三部けい。 水溜まりに浮かぶ島(1) (イブニングコミックス) 作者:三部けい 発売日: 2020/03/23 メディア: Kindle版 裏社会に生きる殺し屋・黒松とネグレクトされている妹思いの少年・湊の心が入れ替わる話。 黒松はその筋の…

「葬送のフリーレン」感想・裏面 美しすぎる過去が超えられないハードルになるかもしれない。

www.saiusaruzzz.com すごくいいな、と思っているけれど、先が不安な部分もある。 自分がこの話でいいと思うほぼ全ての要素は、「フリーレンとヒンメルの関係性」にある。 アイゼンが言っているこの言葉がすべての話だ。 (引用元:「葬送のフリーレン」1巻…

【漫画感想】時を超えて仲間を思い続ける「葬送のフリーレン」が尊すぎて、涙がとまらない。

たまたま見たPVで、涙腺が決壊した。 『葬送のフリーレン』PV初公開 魔王を倒した勇者一行のその後を描く“後日譚”ファンタジー PVで泣いたのは「カールじいさんの空飛ぶ家」とこれくらいだ。しかも何度見ても泣く。 本編も絶対泣くだろうな、と思って既刊二…

「カルト集団と過激な信仰」第一話「ネクセウム」を見たので感想とメモ。

「カルト」と呼ばれる集団から脱会した人々に、入会した経緯や入会していたときの活動や経験、脱会に至る過程をインタビューしたドキュメンタリー。 NXIVM(ネクセウム) メディア: Prime Video 第一話は自己啓発団体「ネクセウム」。 有名女優もメンバーと…

ドラマ「半沢直樹2」の悪役が好きだった。特に伊佐山部長。

何だかんだ言って面白かった。 対談で「歌舞伎を意識している」と言っていたので、話を極力わかりやすくして、舞台映えを重視しているのかなと思う。「2」ではこの傾向が「1」以上だった。 すべての物事が怒鳴り合いで締められるのも、お約束化している。…

17歳のテロリストは、なぜ61歳の野党政治家を襲ったのか。沢木耕太郎「テロルの決算」

1960年10月12日に日比谷公会堂で起こった、17歳のテロリストによる日本社会党党首・浅沼稲次郎刺殺事件について描かれたノンフィクション。 テロルの決算 作者:沢木耕太郎 発売日: 2014/01/24 メディア: Kindle版 面白いノンフィクションは、膨大な資料や関…

第27話の藤吉郎と光秀が話すシーンを見て、「麒麟がくる」の面白さが突然わかった。

今までも普通に面白いとは思っていたけれど、どちらかと言うと斜めな視線で見ていた。 ドラマだとしても、さすがに個人的な関係や個人の動向で物事が動きすぎだし、登場人物のモチベーションが「個人的なもの」が多いことも気になった。信長の「人の役に立っ…

トゥルーエンドでも「狭い閉じた世界」から脱出しきれない「最悪なる災厄人間に捧ぐ」が残念だった。

*この記事は、否定的な感想を述べています。 *若干のネタバレを含んでいます。 最悪なる災厄人間に捧ぐ - PS4 発売日: 2018/08/23 メディア: Video Game 長い。 長い。 長い。 とにかく長い。 このゲームのストーリーは、主人公・豹馬の「罪悪感ループ」に…

綾辻行人「囁きシリーズ」を久しぶりに続けて読んでみた感想。

突然読みたくなって、綾辻行人の「囁きシリーズ」三作、「緋色の囁き」「暗闇の囁き」「黄昏の囁き」を続けて読んでみた。 「緋色」と「暗闇」は犯人は覚えていて、細かいところは忘れていた。ほとんど初読のような気持ちで楽しめた。「黄昏」は未読。 ネタ…

【「SLAM DUNK」キャラ語り】「田岡の夢」とコインの裏表である魚住と赤木の関係性について語りたい。

10月2日(金)にBリーグが開幕した。 アルバルク東京対川崎ブレイブサンダースは開幕にふさわしい好カードだった。 バスケを久しぶりに観て、突然「SLAM DUNK」について語りたくなったので語りたい。 「SLAM DUNK」は、「自己探求を通じて、自己実現(悟り…

「罪悪感キャラについて」続き。イーゴンはなぜイリーナを悪く言うのか?

www.saiusaruzzz.com 上の記事で罪悪感について考えたことを踏まえたうえで、「ダークソウルⅢ」のイーゴンとイリーナについて考えてみた。 白面の虫が「男は恐れた。固い鎧を身に着けて、弱い女を、まるで児戯のように」と言っているように、イリーナは「弱…

「俺がいるだけで、周りが不幸になる」罪悪感キャラは、恋愛と相性が悪いからこそ恋愛モノと相性がいい。

「罪悪感キャラ」とは、罪悪感が極まっていていっぱいいっぱいの状態のキャラのことだ。(造語) 先日14巻が出た「中卒労働者から始める高校生活」の主人公・片桐真実は、絵に描いたような「罪悪感キャラ」だ。 中卒労働者から始める高校生活 10 作者:佐々木…

「中卒労働者から始める高校生活」を14巻まで読み返して、五十嵐がすごく好きなことに気づいた。

「中卒労働者から始める高校生活」の14巻が出た。 様々な社会問題が最終的には恋愛の背景に収まってしまうのがこの漫画の大きな特徴だ。 そのあたりを割り切って読めば面白い。 中卒労働者から始める高校生活 14 作者:佐々木ミノル 発売日: 2020/09/28 メデ…

「モスクワ裁判の被告は、なぜ嘘の自白をしたのか」という謎に迫る心理劇「真昼の暗黒」

真昼の暗黒 (岩波文庫) 作者:アーサー ケストラー 発売日: 2009/08/18 メディア: 文庫 スターリンの時代に行われた、モスクワ裁判をモデルにした本。 党の最高幹部であり英雄だったルバショフは、「党を裏切り、ナンバーワンの暗殺をもくろんだ」という嘘の…

「ナイルに死す」の新訳(黒原敏行訳)が欲しい&翻訳について思ったこと。

最近出版されたアガサ・クリスティーの「ナイルに死す」の新訳の訳者が、黒原敏行だった。 ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15) 作者:アガサ・クリスティー 発売日: 2020/09/11 メディア: 文庫 硬質な純文学を訳すことが多い、という…