うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

社会問題

誰かが「災厄」になることを食いとめる「家族という関係性が病んでいる」という考えかた

www.saiusaruzzz.com 前回、「ゴールデンカムイ」の尾形は、アダルトチルドレンの類型のひとつであるスケープゴートではないか、という記事を書いた。「今の時点では自分にはそう読める」というその解釈に基づいて、今回の記事を書いている。 尾形は気の毒…

「相手にも自分と同じクズでいて欲しい」気持ちを描いた、樹なつみ「パッション・パレード」の神回。

www.saiusaruzzz.com 「蟻の棲み家」は「分断する自分」への無頓着さが気になり、自分の中でかなり評価が低い。ただ感想記事でも紹介した 「安易な区分けは不当に誰かを貶める危険がある。そして不当に貶められた人たちは誇りを叩き壊されて、規範意識を持て…

最貧困男子の苦闘を描いた、望月諒子「蟻の棲み家」は、どうしても他の作品と比べてしまう。

「蟻の棲み家」あらすじ 東京都内の河原で、顔をつぶされた男の死体が発見された。 同じころ起こった、身を売って生活をする女性二人の射殺事件。 フリーライターの木部美智子は、弁当工場の工場長に対する恐喝事件を調べるうちに、稚拙な恐喝事件と、三件の…

山崎雅弘「中東戦争全史」 自分たちも、彼らと同じ構造の中で生きているのかもしれない。

一冊で、今日の中東問題や経緯が一通りわかる。 【新版】中東戦争全史 (朝日文庫) 作者: 山崎雅弘 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2016/08/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る シリアの内戦とイスラム国のことが知りたくて、シリ…

【ネタバレあり】曽根富美子「親なるもの 断崖」のわりと細かい話。

[まとめ買い] 特装版「親なるもの 断崖」(フラワーコミックス) 作者: 曽根富美子 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 最近、また読み返したので思いついたことや考えたことを書きたい。 茜というキャラと梅との関係 梅と茜の関係は、最初読ん…

多様化する現代社会の考え方のお供に。石原英敬「現代思想の教科書」

主にソシュール以後の構造主義、ポスト構造主義周辺の思想を取り上げている。 現代思想の教科書 (ちくま学芸文庫) 作者: 石田英敬 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2010/05/10 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (7件) を見…

孤独とは何なのか。「ある世捨て人の物語 -誰にも知られず森で27年間暮らした男-」の感想

2013年4月4日、アメリカのメイン州で無人の別荘地帯に盗みに入った男が捕まる。 捕まったクリストファー・ナイトは、20歳のときに森の中に入って以来27年間、二度簡単な挨拶の言葉を交わした以外は、手紙や文字も含めて一切世間と関わらず生きてきた。 ア…

竹田青嗣「自分を知るための哲学入門」感想 哲学は身近で実践的なものであることを教えてくれる。

なぜこの本を読みなおそうかと思ったかというと、笠井潔の「哲学者の密室」のことを思い出し、もう一度読みたいと思ったからだ。 哲学者の密室 (創元推理文庫) posted with ヨメレバ 笠井 潔 東京創元社 2002-04-12 Amazon Kindle 最初読んだときはハイデガ…

【ザ・ノンフィクション】「男と女の婚活クルーズ」を見ていて思ったこと。

2018年9月23日(日)に放送された「ザ・ノンフィクション 男と女の婚活クルーズ」の感想です。 44歳舞台俳優のテキサスが、五泊六日の婚活クルーズに参加する。 最も安いプランでも18万円弱の費用がかかるこのクルーズに参加しているのは、高収入の男性ば…

NHKスペシャル未解決事件「警察庁長官狙撃事件」ドラマ版は、ベテラン俳優の演技が圧巻だった。

9月8日(土)に放送された、NHKスペシャル未解決事件「警察庁長官狙撃事件」のドラマ版の感想。 www.saiusaruzzz.com ドラマ版ではより一層、警察組織の問題点が浮き彫りになっていた。 一週間前に放送されたドキュメンタリー版を見て、「一度、一定の方向…

NHKスペシャル未解決事件「警察庁長官狙撃事件」を見て、組織の怖さを思う。

この番組を見て、「そういえばそんなことがあったなあ」と思い出した。 www.nhk.or.jp 1995年3月、地下鉄サリン事件の直後に起こった「警察庁長官狙撃事件」。 2010年に時効を迎えたこの事件の真犯人を名乗る男から、2013年にNHKに手紙が届く。 手紙の主は…

気分が悪くて最後まで読めなかった。ジョン・クラカワー「信仰が人を殺すとき」

「荒野へ」の作者ジョン・クラカワーの本 ジョン・クラカワーの「荒野へ」が大好きで、何回も繰り返し読んでいる。 先日「何か面白い本はないかな」と思ったときに、同じ作者の本を読んでみようと思い本書を購入した。 信仰が人を殺すとき 上 (河出文庫) pos…

「サリン事件死刑囚 中川智正との対話」 感想及びメモ

本書は、松本及び地下鉄サリン事件の解明に大きく貢献した、生物兵器化学兵器の専門家アンソニー・トゥーが、中川智正との交流内容を明かした本だ。 松本サリン事件発生時、日本にはサリンに関する知識がほぼなかった。 トゥー氏が書いたサリンについての論…

「杉田水脈氏を支持する人」や「ルカクをコンゴ系ベルギー人と呼ぶ人」は、自分の中にもいるのかもしれない。

「LGBTには生産性がない」という言葉が批判されている、杉田水脈氏の主張を全文読んだ。主張の是非以前に論旨が混乱していて、何が言いたいのかよく分からなかった。 本人は「切り取って批判するな」と言っているようだが、読んでも主旨が分からないので枝葉…

地下鉄サリン事件を実行したエリート医師の恐るべき純粋さ 林郁夫「オウムと私」感想

地下鉄サリン事件の実行犯の中で、ただ一人、極刑を免れた林郁夫が自らの生い立ちとオウムに入信した経緯、出家したあとのオウムでの日々をつづった本。 林郁夫は医者の父親と薬剤師の母親の間に生まれ、慶應義塾中等部、高等部を経て慶應大学の医学部に進み…

山本直樹「レッド」と「普通の人たち」が引き起こした連合赤軍事件について。

山本直樹の「レッド」の一巻、「レッド 最後の60日間 そしてあさま山荘へ」の一巻が試し読みの対象になっていたので読んでみた。 レッド(1) (KCデラックス イブニング) posted with ヨメレバ 山本 直樹 講談社 2007-09-21 Amazon Kindle レッド 最後の60日 …

「貧乏で幸せな人間はいても、貧困で幸せな人間はいない」 鈴木大介「最貧困女子」感想

鈴木大介「最貧困女子」は、「貧乏とは違う貧困状態」の女子の中でさらに極限の貧困状態に置かれている「最貧困」の女性たちの様子を記述したものだ。 「貧乏と貧困は何が違うのか?」 この辺りについては、だいぶ知識が広まりつつあるが、まだまだ根強い「…

「YouTubeで食べていく 『動画投稿』という生き方」感想

YouTubeで食べていく 「動画投稿」という生き方 (光文社新書) posted with ヨメレバ 愛場 大介(ジェット☆ダイスケ) 光文社 2014-08-07 Amazon Kindle 読んでみたら、意外と面白かった。 正直なことを言うと、読む前は余り期待していなかった。 ノウハウ本に…

「平気でうそをつく人たちー虚偽と邪悪の心理学」感想 「邪悪な人」は、あなたのそばにもいるかもしれない。

他の人の記事で何回か見かけて、気になっていた本。 平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学 posted with ヨメレバ M.スコット ペック 草思社 1996-12 Amazon Kindle この本では、ある方向性の特性を持つ人を「邪悪」と名付けている。 この本で書かれて…

会社や家族で遭遇する困った人。「不機嫌な人」への対処法。

誰もが人生で一度は関わったことがあるだろう「不機嫌な人」 自分が考える、いわゆる「不機嫌な人」は二種類に分かれる。 ①本当に不機嫌な人 ②不機嫌そうに見えるけれど、不機嫌ではない人 ②についても話したいことがあるのだけれど、多くの場合、問題になる…

大西巷一「乙女戦争」を読んで感じた、「個人」として生きることを選べる現代の幸福とか不幸とか。

*この記事にはネタバレが含まれています。未読の方はご注意ください。 大西巷一の「乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ」を既刊9卷まで読んだ。 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(1) (アクションコミックス(月刊アクション)) posted with ヨメレバ 大西…

社会人になってから、日本史を勉強したい人におすすめ! 中央文庫版「日本の歴史」が面白い。

昔、読んでいた中央文庫版「日本の歴史」を読み直している。 全26卷+別卷の構成だ。 前は図書館で借りて読んでいたのだが、なかなか読む時間がとれないことと、前よりも読むのに時間がかかるようになっているので、購入することにした。 一冊税込で1337円、…

「私はそれが嫌い」と「お前のそれは間違っている」は違うと思う。

www.already-match.com この記事を読んで、「ブーメラン」という反応が多いことが気になった。 「チェンジ」という言葉は破壊力が大きいので、そう言いたくなる気持ちも分かる。 ただそれでも、 「相手が自分にとって、異性として好みではない」ということと…

【ネタバレ考察】「俺は俺を肯定する」20世紀最凶の衝撃作 新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」を読み解く

読もう読もうと思っていた「真説ザ・ワールド・イズ・マイン」を読んだ。 真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (1)巻 (ビームコミックス) posted with ヨメレバ 新井 英樹 エンターブレイン 2006-08-31 Amazon Kindle 昔、最初のほうを少しだけ読んだことがある…

【ザ・ノンフィクション】「人殺しの息子と呼ばれて 24歳青年の地獄の人生 前後編」感想

2017年10月15日(日)22日(日)に放映された「ザ・ノンフィクション 人殺しの息子と呼ばれて 24歳青年の地獄の人生 前後編」を見た感想です。 見ていてとてもキツい内容で、正直記事を書こうか悩みました。 ただご本人が、今回取材を受けたのは、ネットで様…

ネットが「未知の世界」ではなく「世間」になることについていけない自分は、これからの時代の負け組なのかもしれない。

www.omachil.club p-shirokuma.hatenadiary.com この二つの記事を読んで、自分が最近のネットについてモヤモヤしていたことがパッとつながった気がした。 以前書いたけれど、自分にとってネットは「リアルの自分を表現する場ではなく、リアルでは邪魔にしか…

「運命に対する無力さ」を描く「親なるもの断崖」は、男性に残酷な物語なのかも。

この記事からの派生話題です。引き続き主語デカい系の話です。 www.saiusaruzzz.com www.saiusaruzzz.com この話の中で「無力感や無能感に対する耐性の低さ」「無力であることは悪である」という考えは男性特有のものであり、「運命に対して受け身で無力にな…

「正しさの暴走」の抑止力としての「真っ当さ」

www.saiusaruzzz.com この記事からの派生余談。余りまとまっていないけれど、思いつたまま書いていく。 「パトレイバー」の記事で、「真っ当さ」が、今後増えるだろう「愉快犯的悪」や「愉快犯的アジテーター」への唯一の対抗手段ではないか、という話をした…

「面白さ史上主義」に対抗する「真っ当さ」の物語。ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー」

21世紀の新型悪役像「内海課長」 togetter.com このまとめ記事を読んで、頷く部分が多かった。 YouTuberに限らず、「内海課長的悪」「面白ければいいじゃん主義」というのはネットで見かけるし、確実に増えていると思う。 自分が欲しいもの、面白いと思うこ…

自己肯定感とは何なのか。漫画のキャラクターを使って解説してみる。

自己肯定感については、前に一度書いたことがある。 www.saiusaruzzz.com 自己肯定感の話題を見ると、「自分が考えているものと少し違うな」と思うことが多い。 なので自己肯定感については、もう一度まとめて書きたいと思っていた。 あくまで自分の考えだ。…