うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

2024-01-01から1年間の記事一覧

【小説感想】嘲笑われ、消されたフェミニストを通して描かれる怒り 桐野夏生「オパールの炎」

オパールの炎 作者:桐野夏生 中央公論新社 Amazon 桐野夏生のインタビューを読んだことをきっかけに、ずっと読みたいと思っていた「オパールの炎」を読んだ。 一気読みしてしまった。 桐野夏生の作品は、何よりまず創作として抜群に面白い。先が気になって、…

【小説感想】コーマック・マッカーシー「すべての美しい馬」 初読では、びっくりするくらい話を読めていなかった。

すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫) 作者:コーマック マッカーシー 早川書房 Amazon コーマック・マッカーシーの小説は、初めて読んだあとたいてい続けてもう一度読み返すのだが、「すべての美しい馬」は一度しか読まなかった。 親友同士二人の少年が家出し…

ボルシェビキから新左翼まで、思想の流れの原点がわかる「ネチャーエフ ‐二ヒリズムからテロリズムへ‐」

戦前の共産党の組織はレーニンが作ったボルシェビキを元型としており、さらにボルシェビキはロシアで生まれた過激派組織「人民の意志」をモデルにして作られているという話を読んだ。 「人民の意志」に影響を与えたネチャーエフは、ドストエフスキーの「悪霊…

【ゲーム感想】「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」 こういうゲームがもっともっとプレイしたい。

www.jp.square-enix.com 「パラノマサイト」をクリアした。プレイ時間は10時間いかないくらい。 プレイしているあいだ、ずっと懐かしかった。 オカルトと過去の事件、現在の状況が複雑に絡み合った謎だらけのストーリー。 様々な登場人物の選択や思惑が絡み…

「なぜ隣人を殺したか ルワンダ虐殺と煽動ラジオ放送」を、現代の問題を語るために用いるのは問題が多いのでは。

www.saiusaruzzz.com ↑の本を読み終わったタイミングで、ちょうどNHKで1998年に制作されたルワンダの虐殺についての番組を放送していたので、合わせて見てみた。 「なぜ隣人を殺したか」は、94年4月のジェノサイドの時に、幼い甥と姪を殺してしまった少年フ…

ルワンダのジェノサイドはなぜ起こったのか。「ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実」を読んで考えたこと

日本語で出版されている中では一番ルワンダで起こったジェノサイドについて詳細に描かれている「ジェノサイドの丘」を読み終わった。 ジェノサイドの丘〈新装版〉―ルワンダ虐殺の隠された真実 作者:フィリップ・ゴーレイヴィッチ WAVE出版 Amazon この本を読…

【エルデンリングストーリー考察】三つの世界の可能性=源流から、ストーリーの全体像を考える。

ストーリーの大まかな全体像について考えたことのまとめ。 「エルデンリング」のストーリーの前提 「律」が壊れているので、時系列や因果律が乱れている。 現在と過去と未来が同時に事象化しており、一人の人物(の可能性)が必ずひとつの実体に集約されてい…

【ドラマ感想】宮藤勘九郎脚本「俺の家の話」 物語の深層に眠る自己犠牲のストーリーに涙が止まらない。

*本記事はネタバレ感想です。未視聴のかたはご注意ください。 第一話 濃すぎる家族の全力介護が始まる! Amazon 遅らばせながら宮藤官九郎脚本「俺の家の話」全10話を見た。 「俺の家の話」は、介護される父親と介護をする息子の親子愛、そして家に住む兄弟…

創作好きに色々な意味でぶっ刺さる。古屋兎丸「アマネ♰ギムナジウム(前半)」の紹介と感想

アマネ†ギムナジウム(1) (モーニングコミックス) 作者:古屋兎丸 講談社 Amazon 後半は不満があるのだが真相が解明されるまでの前半部分が凄くよかったので、紹介したい。 創作好きなら、笑いと共感と苦笑いと変な声がいっぺんに出ること請け合いである。 …

「独裁体制から民主主義へ ー権力に対抗するための教科書ー」が面白かった。

「100分de名著」で取り上げられて話題になったジーン・シャープ「独裁体制から民主主義へ ー権力に対抗するための教科書ー」を読んだ。 独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書 (ちくま学芸文庫) 作者:ジーン シャープ,Sharp,Gene 筑摩書房 Amaz…

アフリカ系女性で初めてノーベル文学賞を受賞したト二・モリスンが描く、差別の構造と傷痕について「ビラヴド」

ビラヴド (ハヤカワepi文庫) 作者:トニ モリスン 早川書房 Amazon アフリカ系女性で初めてノーベル文学賞を受賞したト二・モリスンが、実際の事件を基に奴隷制度の傷痕について描いた話。 奴隷としての過去を持ち、現在は自由の身になったセサは、娘のデンヴ…

NHK大河ドラマ「光る君へ」第六話まで見た忌憚のない感想・その恋愛描写は必要なのか。

*前回。 www.saiusaruzzz.com これまで「自分は宮廷の権力闘争に興味はないし、藤原家の行く末もなるようになればいい」と距離を取っていた道長がいよいよ後に最高権力者になる片りんを見せ始めた。 痣だらけの顔の道兼と対峙した時、今まで通り気圧される…

NHK大河ドラマ「光る君へ」第一話・第二話を見た忌憚のない感想

楽しみにしていた今期の大河ドラマ「光る君へ」の第一話、第二話を見たのでその感想。 「面白かった。先が楽しみ」 「豪華で実力派の俳優陣の演技を見ているだけで楽しい」 全体的にはこういう感想だが、強いて言えば「個人のストーリー」と「(宮廷政治など…