うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

漫画

創作好きに色々な意味でぶっ刺さる。古屋兎丸「アマネ♰ギムナジウム(前半)」の紹介と感想

アマネ†ギムナジウム(1) (モーニングコミックス) 作者:古屋兎丸 講談社 Amazon 後半は不満があるのだが真相が解明されるまでの前半部分が凄くよかったので、紹介したい。 創作好きなら、笑いと共感と苦笑いと変な声がいっぺんに出ること請け合いである。 …

「賭博黙示録カイジ」再読。福本漫画の世界は、命を賭けて鉄骨歩きをしなければ「世間に入っていけない」

*本記事には「賭博黙示録カイジ」のネタバレが含まれます。 『賭博堕天録カイジ 24億脱出編』 【無料公開中】 | ヤンマガWeb 「カイジ」の「24憶脱出編」の冒頭数話が無料公開されていたので、読んでみたら面白かった。 (引用元:「賭博堕天録カイジ 24…

「葬送のフリーレン」を「つまらない」と感じるのは何故か。

*既刊のネタバレが含まれます。 葬送のフリーレン(11) (少年サンデーコミックス) 作者:山田鐘人,アベツカサ 小学館 Amazon 以前から気になっていたけれど、「葬送のフリーレン」を検索にかけると、「関連性の高い検索」で「つまらない」が出てくる。*1 …

【アニメ感想】「葬送のフリーレン」4話まで。原作とは違う視点が入れることで、物語のテーマの美しさがより際立つ。

※既刊11巻までの若干のネタバレがあります。未読のかたはご注意ください。 別に魔法じゃなくたって… 種﨑敦美 Amazon 「葬送のフリーレン」のアニメがついに始まった。 第一話を見て(おこがましくて申し訳ないが)「アニメになるならこういう要素を取り入れ…

「降り積もれ孤独な死よ」6巻までの時系列と謎のまとめ&感想

「降り積もれ孤独な死よ」の6巻が発売された。 話も佳境に入っているようなので、頭の整理がてらストーリーの時系列と残っている謎をまとめてみた。 *ストーリーの時系列は単行本の末尾に掲載されているけれど、自分がわかりやすいように書き直してみた。 …

「語ることができないこと」に意味がある。「隠蔽するための物語」について。

*「隠蔽するための物語」と思われる話についてのネタバレが含まれます。 www.saiusaruzzz.com 「一方通行の家」が自分にとって面白かった理由である「隠蔽するための物語」(造語)について話したい。 「隠蔽するための物語」とは何かは、以前↓のnoteに書い…

【漫画感想】「一方通行の家」は、「隠蔽するための物語」として抜群の出来だった。

一方通行の家 - 屋嘉壱 | 少年ジャンプ+ 今朝、読んだ「一方通行の家」がめっちゃ面白かった。 *以下ネタバレ注意(未読の人は、上のリンクから先に本編を読むことをおすすめします。) 明確に「おかしい」とは言えないが、奇妙な違和感がある。 この漫画…

【漫画感想】残酷歌劇「ライチ☆光クラブ」 暗い世界に閉じ込められた少年たちが辿る残酷な運命。

ライチ☆光クラブ 作者:古屋 兎丸 太田出版 Amazon ぼくらの☆ひかりクラブ 全2巻セット Amazon 既に映画化されていることも知らず表紙買い。 江戸川乱歩に代表される、退廃的で耽美で残酷描写があるインモラルな世界観だ。「グランギニョール」というジャンル…

【漫画感想】「水溜まりに浮かぶ島」全5巻が、打ち切り臭い終わり方でも面白いと思った理由。

*ネタバレが含まれます。未読のかたはご注意下さい。 水溜まりに浮かぶ島(1) (イブニングコミックス) 作者:三部けい 講談社 Amazon 巷で言われているように打ち切り臭い、もしくは飽きて終わらせたのかと疑うような終わり方だったが面白かった。 湊と黒…

好みの疑似百合について語りたい。

「男の娘な彼氏」が掲載されているということで「学園の王子とゲーム実況者」を購入。 学園の王子とゲーム実況者 1 (角川コミックス・エース) 作者:バラ子 KADOKAWA Amazon *表紙は本編。疑似百合はスピンオフの短編が載っている。 個人的には「疑似百合」…

「他人から見た評価はわからないが、何故か心惹かれる創作」が、たまにある。

*本記事には「サマータイムレンダ」及び「君が獣になる前に」のネタバレが含まれます。 客観が主観を凌駕するとは限らんぜ。事実が妄想を吹き消すとは限らんぜ。 (引用元:「騎士団長殺し 第一部 顕れるイデア編(上)」村上春樹 新潮社 P256/太字は引用者…

【漫画感想】さの隆「君が獣になる前に」6巻まで。この話の面白さは、「物語が語ることができないもの」にある。

*ネタバレが含まれます。未読のかたはご注意下さい。 君が獣になる前に(1) (ヤングマガジンコミックス) 作者:さの隆 講談社 Amazon 読めば読むほど連載でサスペンスは難しいと思う。 一冊の本ならラスト手前まで伏線を張りつつ緩急をつけて最後にどんで…

【「エネアド(ENNEAD)」シーズン1考察】設定&疑問点からの考察まとめ。

「エネアド(ENNEAD)」のシーズン1を読み返して設定と疑問点のまとめ、そこから考察をしてみた。(*シーズン1のネタバレあり。注意) エジプト神話の死生観を頭に入れると、話が理解しやすい。 シュト(影)と鏡、セクメトとハトホルの関係。 太陽神ラー…

【映画感想】「THE FIRST SLAM DUNK」は、原作と何が違うのかを熱く語りたい。

*本記事には映画「THE FIRST SLAM DUNK」、漫画「SLAM DUNK」のネタバレが含まれます。ご注意ください。 【映画パンフレット】 THE FIRST SLAM DUNK 監督:井上雄彦 声の出演:仲村宗悟、笠間淳、神尾晋一郎、木村昴、三宅健太 スラムダン…

先日読んだ三角関係の恋愛漫画がすごく引っかかったので、何がそんなに引っかかるのか考えてみた。

とある短編恋愛漫画の三角関係に引っかかるものを感じたので、何がそんなに引っかかるのか考えてみた。 諸事情*1あってタイトルは出さないが、読んだことがある人は設定ですぐに気付くと思う。 そこまで複雑な状況ではないので説明する。 状況説明 クロ、モ…

【漫画感想】モクモクれん「光が死んだ夏」2巻まで。ホラーではなく恋愛ものだった。

「このマンががすごい! 2023」オトコ編で一位になった「光が死んだ夏」を二巻まで読んだので、その感想。(ネタバレ注意) 光が死んだ夏 1 (角川コミックス・エース) 作者:モクモク れん KADOKAWA Amazon 二巻まで読んだ感想は、「ホラーではなく恋愛モノだ…

【漫画感想】「住みにごり」2巻まで。引きこもりの兄、寝たきりの母、モラハラ気質の父、出戻りの姉。「家族」という異質で怪物のように不可解なもの。

住みにごり(1) (ビッグコミックス) 作者:たかたけし 小学館 Amazon 主人公の末吉は都会での生活に疲れ、仕事を辞めて故郷に戻って来る。 実家は寝たきりの母親とその面倒を見るモラハラ気質の父親、離婚して戻って来た姉、そして二十年近く部屋に引きこも…

【漫画感想】BLに興味がない自分がドハマりした「エネアド(ENNEAD)」の、どこがそんなに面白いかを語りたい。

"> ">今までBLはほとんど読んだことがなかったが、「エネアド(ENNEAD)」は無茶苦茶面白くハマっている。 ">個人的には「エネアド(ENNEAD)」はBLというジャンルを超えて、普遍的なことが描かれていると思う。 "> ">*ネタバレ注意。 "> 「エネアド」は、…

【その2・王位継承の設定&ルール編】「HUNTER×HUNTER」の暗黒大陸編の設定が余りに複雑すぎるので整理してみた&王子たちについて雑感。

「HUNTER×HUNTER・暗黒大陸編」の情報整理。 前回は「出航前の状況」を整理した。 www.saiusaruzzz.com 今回はカキン帝国の王位継承について、主に参加する十四人の設定を整理してみた。 カキン帝国王位継承戦の勝者の条件 十四人の王子のうち 「生き残った…

【その1・出航前の状況編】「HUNTER×HUNTER」の暗黒大陸編の設定が余りに複雑すぎるので整理してみた&自分にとって「HUNTER×HUNTER」が複雑な理由。

*本記事には冨樫義博「HUNTER×HUNTER」の32巻以降のネタバレが含まれます。未読のかたはご注意ください。 HUNTER×HUNTER モノクロ版 33 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:冨樫義博 集英社 Amazon 11月4日に37巻が発売されたが、案の定以前の設定を忘れて…

創作で、キャラを分裂させて自己葛藤を描くときに重要になる「フェアさ」とは何なのか。

*独自解釈に基づく話です。 *この記事には、ドラマ「Nのために」と漫画「アスペル・カノジョ」のネタバレが含まれます。 www.saiusaruzzz.com 「アスペル・カノジョ」は何かに似ていると思って、思い出したのがドラマ「Nのために」だ。 www.saiusaruzzz.co…

【最終的な感想】今まで本当にごめん。「アスペル・カノジョ」は「生きづらさ」との和解を目指した素晴らしい漫画だった。

*漫画「アスペル・カノジョ」の結末までのネタバレが含まれます。未読のかたはご注意下さい。 これまでのあらすじ。 「アスペル・カノジョ」は、主人公が「物語世界」にいない。 「なぜ、主人公のお前がここにいる?」という驚愕。 「アスペル・カノジョ」…

【漫画感想】「アスペル・カノジョ」自分がこの話に持った最大の疑問は、「なぜ横井がこの話は自分自身の問題と認めて、自分で物語を語らないのか?」ということだ。

*考え直した最終的な感想。 www.saiusaruzzz.com *6巻までの感想。 www.saiusaruzzz.com 六巻までで読むのを止めたが、「せっかくだし最後まで読もうかな」と思い、全12巻を読んだ感想。 読むのを止めた理由は、 「なぜ横井がこの話は自分自身の問題と認…

自分が横井に厳しすぎるんだろうな。

www.saiusaruzzz.com www.tyoshiki.com 言及ありがとうございます。 記事を読んで「確かに最後まで読んでみないとわからないな」と思ったので最後まで読みました。 「アスペル・カノジョ」は「信仰型恋愛」なのに普通の恋愛のように恵が側にいて交流も出来る…

【漫画感想】「44歳処女の末路」に自分がリアリティを感じない理由。

noteのほうで、自己肯定感の低下には罪悪感ルートと無価値感ルートがあるのでは、という自分の考えを書いた。(※あくまで個人的な考え) 罪悪感と無価値感にまつわる、人間関係で生じやすい問題について考えたこと。|うさる|note 話を簡単にまとめると、 …

【漫画感想】「アスペル・カノジョ」を6巻まで読んだが、物語の構図に大きな疑問がわいて読めなくなった。

*最終巻まで読んで、色々と考えた最終的な感想。 www.saiusaruzzz.com *タイトル通り批判的な感想です。 アスペル・カノジョ(1) (コミックDAYSコミックス) 作者:萩本創八,森田蓮次 講談社 Amazon 「アスペル・カノジョ」を6巻まで読んだ。 どうに…

冨樫義博「HUNTER×HUNTER」の連載が再開するので、31巻(ハンター協会会長選挙&アルカ編)から、36巻までストーリーをおさらいしたい。

10月24日発売のジャンプから、「HUNTER×HUNTER」の連載が再開するらしいので、これを機会にうろ覚えの31巻からストーリーをおさらいしてみた。 *ネタバレ注意。 31巻~32巻「ハンター協会会長選挙&アルカ編」 前会長ネテロが死んだため行われたハンター協…

【漫画感想】「葬送のフリーレン」9巻まで。ヒンメルが生きた「今」とフリーレンの記憶が重なるたびに、涙が止まらん。

*「葬送のフリーレン」9巻までのネタバレが含まれます。未読のかたはご注意下さい。 葬送のフリーレン(9) (少年サンデーコミックス) 作者:山田鐘人,アベツカサ 小学館 Amazon アニメも始まるので、1巻から読み直そうと思ったら結局9巻までいっき読みし…

【漫画感想】「十角館の殺人」全5巻 原作ファンも驚く衝撃の展開と感動の結末に大満足した。

*本記事には原作及び漫画版「十角館の殺人」の重大なネタバレが含まれます。未読のかたはご注意下さい。 *原作未読の人はもちろん、原作ファンにもぜひ読んで欲しい。全五巻。 十角館の殺人(1) (アフタヌーンコミックス) 作者:綾辻行人 講談社 Amazon …

【漫画感想】「親愛なる僕へ殺意をこめて」 殺人鬼やサイコパスは便利アイテムすぎるので一作に二人まで、というルールが欲しい。

「親愛なる僕へ殺意をこめて」全11巻を読み終わった。 *犯人の名前など物語の核心に触れるネタバレ以外の、若干内容のネタバレがあります。未読の人は注意してください。 親愛なる僕へ殺意をこめて(1) (ヤングマガジンコミックス) 作者:井龍一,伊藤翔太 …