ストーリーの大まかな全体像について考えたことのまとめ。
「エルデンリング」のストーリーの前提
「律」が壊れているので、時系列や因果律が乱れている。
現在と過去と未来が同時に事象化しており、一人の人物(の可能性)が必ずひとつの実体に集約されているとは限らない。一人の人物の別の可能性が別人物として、同じ世界で具現化している(多くの場合、本人たちは血縁であると語る)
さらにレイヤーを上げて見れば「事象を擬人化、物語化して語っている」
例えば「エルデの獣」=律であり、律に反する動きがマリカ、その律を強固にする動きがラダゴンである。律はその揺らぎを繰り返すことで、揺れ動きも含めた完全な世界=エルデンリングになっていく。
こう考えて、何がどの人物が、何を象徴しているかを考えながらストーリーを追うと比較的話が理解しやすい。
世界の可能性である三つの源流
作内で「源流」として出てくる魔術は、「エルデンリング」の三つの世界線(世界の可能性)を指す。
①「星団の終焉」(滅びの流星)→エルデの獣(黄金の流星)が襲来
②「暗黒」(彗星アズール)→アステール(悪意ある流星)が襲来
③「星の琥珀」(創生雨)→星の琥珀が降り注ぐ
エルデンリング(律)が壊れたことにより、この三つの世界の可能性の過去から未来にわたる事象が同時に具現化している。
世界は律によって形成されるため、どの律を選ぶかによって構成される世界線が決まる。
「エルデンリング」は褪せ人となったプレイヤーがどんな世界にするかを選ぶために、ルーンを集めて律を修復する話である。
①「星団の終焉」(滅びの流星)の世界線→「エルデンリング」の世界の中心である黄金律
★大まかな時間の流れ
・シーフラ河の文明圏に祖霊を祭る祖霊の民が住んでいた。(*シーフラ河、エインセル河は太古にその流域で発展した文明圏を表している。井戸から地下に入ることで、世界の過去=深層に遡ることができる)
・エルデの獣(黄金の流星)が訪れる。
かつて大いなる意志は黄金の流星と共に一匹の獣を狭間に送り、それがエルデンリングになったという。
(「エルデの流星」のテキスト)
・黄金律に基づいてノクローンができる。
・律を主る二本指によって、マリカは破壊を、ラダゴンは修復をして黄金律の完成を目指す。
★黄金律の完成を目指す過程
・黄金律をより完全なものにするために不確定要素である「力」を外にはじき出す。→その動きを具現化したのが、マリカとゴッドフレイの離婚。
・「エルデンリング」の世界では力は同化によって得られる。そのため同化しているものをはじき出す(異化する)→同化しているもの:混種、坩堝、竜。
・「終わりのない連環」を目指すため、終わりである死を律の外にはじく。
・魔術を律に馴染む形で取り入れあと、不要なものは外に出す→ラダゴンとレナラの離婚
・黄金律が完成したため、破壊と再生を繰り返しながらより完全な連環を目指す→ラダゴンとマリカの結婚及び二人が同一人物であること
・プレイヤーである褪せ人が、マリカによって破壊されたエルデンリングを修復するのはこの連環構造の一部である。
・完成した黄金律は、地上での役目を終えたら還樹する。「雫の幼生」によって形成された肉体に蟻がルーンを埋め込み、また地上に生まれる、という構造になっている。
銀の雫と呼ばれる、変態生物の核。生物と物質の中間にあるもの。
満月の女王レナラの抱く、琥珀のタマゴ
その秘めたる「産まれ直し」の素材となる
(「雫の幼生」のテキスト)
★破砕戦争とは?
マリカがエルデンリングを壊したことにより始まった破砕戦争は、黄金律の破砕と修復の連環の中では出来レースの可能性が高い。
特に根拠はないが、黄金律(=マリカ=ラダゴン)が想定していなかったのは狂い火と星の世紀エンドだけではと思う。
★陰謀の夜の表向きとその本来の意味。
(表向き)
マリカの影従であるマリケスが宵眼の女王を倒し、「死のルーン」を奪い管理する。
マリケスから奪った死のルーンによって、黒き刃たちがゴッドウィンを殺害。
陰謀の夜の主犯であるラニは、協力の謝礼としてライカードに「冒涜の爪」を贈る。
ゴッドウィンは「デミゴットの最初の魂の死者」となり、死のルーンを宿す。
ゴッドウィンの死は黄金樹の根の底に沈み、地上に死の棘を出すようになる。
(裏)
死のルーンを黄金樹に回帰させるのは、黄金律の破壊と修復の連環の一部であり、マリカもラニに協力していた。
★宵眼の女王と神肌の使徒は、火山館で作られている。
宵眼の女王とは羊膜の持ち主?とおぼしき火山館に祀られている白蛇だと考えた。
雫の幼生を蛇の羊膜にくるむことでしろがね人を作る。蛇人にしろがね人の皮(肌)をかぶせて、神肌の使徒を作っているのではないか。
蛇人たちと神肌の使徒の動きが同じなので、神肌たちが火山館から生まれているのは間違いないと思う。
ライカードは神人ではないため、黄金律とは別の(反する)「背律」を生成するためには神人を手に入れなければならない。
ライカードは蛇神(宵眼の女王)に食われ同化することで、「背律」(冒涜)の力を手に入れて火山館を作ることができた。
★神人とデミゴットの違い
神人とデミゴッドの違いは何か。
神人であるミケラ、マレニア、ラニ、宵眼の女王はそれぞれ黄金律とは別世界(律)を主ることができる。
・ミケラ→聖樹:黄金律とは別の生命の律(もうひとつの黄金律)
・マレニア→朱い腐敗に沈む世界
・ラニ→星の世紀・夜の世界
・宵眼の女王→黄金律に対する背律
神人ではないデミゴットは一人では世界を作れない。そのためモーグはモーグウィン王朝の建設のためにミケラをさらい、ライカードは火山館設立のために冒涜の蛇(宵眼の女王)に食われた。
★同一人物に見えるけれど名前が違うキャラは何なのか?
「エルデンリング」は本来は平行して存在する世界線がいっぺんに具現化しているため、同一人物の別の可能性が同時に存在する。
マルギットーモーゴット、マリケスーグラング、死を狩るDー死に見えるDなどがそうである。
ミリセントーマレニアのように血縁を名乗る場合も、同一人物の別の可能性の一部が具現化している。(血縁を名乗る場合は、同一人物に見える場合よりも代替する範囲が小さい)
メリナは恐らく、環百足が刻まれた「最初のデミゴットの肉体の死」であるラニの元の体に残っていた魂の一部である。(ややこしい)
★ラニについて
ラニは神人であるため、二本指によってマリカの後継者として定められている。
その運命から逃れるために、死のルーンを刻むことで自らの肉体を捨て、指殺しの刃で二本指を打倒しようとしている。
二本指はラニが「暗黒」の世界を到来させないように、ラダーンに星を砕かせ続けている。プレイヤーがラダーンを倒すとラニの運命が動き始め、ノクローンに至る道が開ける。
②「暗黒」(彗星アズール)の世界線→アステールが襲来し、ノクステラが壊滅する
遥か彼方、光の無い暗黒で生まれた星の異形。
それはかつて、永遠の都を滅ぼし、彼らから空を奪った悪意ある流星である。
(「暗黒の落とし子の追憶」のテキスト)
源流「暗黒」のほうでは、アステール(悪意ある流星)が空から降ってきてウル王朝の都だったノクステラを壊滅させる。
その時に生まれたのが朱い腐敗である。
「蠍の針」が抜けたため、アステールは朱い腐敗を持たず重力の力のみを持つ。
大蠍の針を刃となした短剣。朱い腐敗の毒が滴っている。
封じられた、外なる神の遺物を用いた異教の祭具であるという
(「蠍の針」のテキスト)
ノクステラのさらに底にある「蠍の針」が祀られた腐れ湖の世界が、マレニアが持つ世界の可能性である。
神人であるマレニアは本来は世界を腐れ湖にすることが出来るが、「ミケラの刃」となることでその可能性を抑え込んでいる。
★ミケラについて。
黄金樹=ラダゴン=マリカの別の可能性ではと考えた。
アステールが襲来した世界線での黄金樹という考え方が妥当だと思う。
朱い腐敗が生まれた時に、朱い腐敗に対処する可能性として同時に生まれた。そのためミケラとマレニアは双子なのではないか。
③「星の琥珀」(創生雨)
それは、輝石の魔術のはじまりとされる。
星見の垣間見た源流は現実となり、この地に星の琥珀が降り注いだのだ。
(「創生雨」のテキスト)
「創生雨」は他の二つの源流とは違い、「現実にあったもの」ではなくレナラが星見をしたために「現実として具現化したもの」→現実ではないものを具現化する。それが魔術だったのではないかと考えた。
レナラがラダゴンから贈られた琥珀の卵が大ルーンであることからもそう感じられる。
琥珀の卵は還樹しなくとも生命を生み出せる、輝石の魔術は同化することによって力を得ることを禁忌としていないから、黄金律(現実の可能性)のさらに外にある律である。
狂い火以外ではレナラの娘であるラニのみが黄金律以外のエンディングを持っている(独自の世界を作れる)のは、そのためだ
ストーリーの一番外側の枠組みについてはこんな感じではないか。
三つの世界の可能性(世界線)が「源流」として存在しており、その可能性がいっぺんに具現化している、という世界構成の一番大外の枠を押さえれば、あとは通常の物語通り因果で解釈して問題ないと思う。
もう少し細かく考えたかったが、いかんせん以前まとめたものを処分してしまった。フレーバーテキストや会話を、また一から調べ直して考え直すのはさすがにキツイ……。
また何か思いついたら、都度都度足していこうと思う。
なぜまた考えだしたかというと四週目を始めたから。今回は銀バサで神肌プレイ。