うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語ります。【ネタバレ前提です。注意してください】

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気軽に読める退廃的な世界名作文学 おすすめ10選

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要約本じゃ物足りないけど長編読むような体力もない。(中略)気軽に読める退廃的な作品はないものか。

「気軽に読める世界名作文学」という題の増田の記事に答えてみました。

 

「退廃的な」は、「道徳的要素が少ない、もしくはない」「救いがない」を基準に選びました。
「気軽に」という点は、物語としても面白くて読みやすいを基準にしました。長編も入っています。

 

「蠅の王」 ウィリアム・ゴールディング

ノーベル文学賞作家ウィリアム・ゴールディングの処女作。無人島に不時着した少年たちが野性に目覚めて、徐々に対立し殺し合いを始める話。
大好きな作品ですごい影響を受けた。

心象風景や情景描写がリアルで、特に何も起こっていないのに恐怖心や不安な気持ちがずっと続く。不穏な空気を作るのがうまい。

 

プロット自体は一言で説明できるシンプルなもので、少年たちもキャラが立っているので話の筋も追いやすく読みやすい。

退廃度★★★★★
気軽さ★★★

 

「変身」 フランツ・カフカ

カフカの長編は「訳がわからない絶望感」「自分の周囲の物事に対する違和感」が結論が出ずずっと続くので、自分は途中で飽きを感じてしまう。

「変身」はその要素が凝縮されていていい。

カフカは、中編や短編のほうが読みやすくて好き。
書き出しが名文だなと思う。

退廃度★★★★★
気軽さ★★★★★

 

「黒猫」 エドガー・アラン・ポー

「退廃」といったら、ポーだよなという印象。

ソースを忘れてごめんだけど、ポーの物語で飲み食いのシーンがいっさい出ないのは、世界が常に破滅にむかっているからだ、と読んだことがある。

「モルグ街の殺人」や「盗まれた手紙」などのミステリーもいいけれど、ポーの本領は、人間の退廃的な部分を描いた「アッシャー家の崩壊」や因果応報な怖さを感じさせる「黒猫」、理不尽すぎる世界観の「落とし穴と振り子」のような作品だと思う。
退廃度★★★★★
気軽さ★★★★★

 

「嵐が丘」 エミリー・ブロンテ

情熱的な恋愛小説でありながら、DV描写満載な陰惨な小説、なおかつとても面白いのが「嵐が丘」のすごいところだ。

恋愛や暴力、復讐心や卑劣さや狂気、何かもが過剰なほど詰め込まれていて、それこそ物語内で嵐のように荒れ狂っている。

 

「嵐が丘」の評は、モームの「世界の十大小説」が面白い。エミリー・ブロンテってすごい変わった人だったんだろうな…と思う。

天性の才能とありあまるほどのエネルギーを抑圧せざるえなかった人が、その恨みと欲求をぜんぶぶちこんだ狂気の一作。

退廃度★★★
気軽さ★★★

 

「月と六ペンス」 サマセット・モーム

何ひとつ問題のない平穏な生活を送っていた平凡な株の仲買人が、ある日突然絵を描くために、家族も仕事もすべてを捨てる話。画家のゴーギャンの生き方をモデルにしている。

現代だと共感する人も多いかもしれないので、退廃度は少ないかも。

天才は周囲の人間に常に犠牲を強いるものだ、ということがよく分かる一作。自分が周囲の人間だったらたまったものじゃないけど。

退廃度★★
気軽さ★★★

 

「悪霊」 フョードル・ドストエフスキー

ドストエフスキーの長編は、あえて「悪」を語ることで相対的に善とは何かを考えているものが多いんだけれど、「悪霊」は人間が持つ様々な邪悪に直接焦点を当てている。

打算や弱さや愚かさや執着や欲望ばかりが描かれていて、人間のいい部分がほとんど出てこない。

ツルゲーネフをカルマジーノフという名前で出してぼこぼこに叩くドストエフスキー自身のダメさも含めて、人間の様々な悪性が出てくるけれど、登場人物にどこか愛嬌があって、意外と楽しく読める。

超厨二理論で自殺しようとするキリーロフと、遺書を書かせてから自殺させようとするピョートルの駆け引きのシーンは、すさまじい緊迫感がみなぎる圧巻のシーンなので、ここだけでも読んで欲しい。

 

「悪霊」は結末が綺麗に終わっていないし、ドストエフスキーの長編の中でも読みにくいと欠点が多いけれど、他の作品にはない不思議な面白さがある。

退廃度★★★
気軽さ★

 

「ねじの回転」 ヘンリー・ジェイムズ

怪奇色が濃いめの作品。

謎に満ちた住民が住む古い屋敷にきた女性が、怪奇現象に出くわす、というのはこの時代のひとつのテンプレだったのかも。

個人的にはそんなに面白いとは思わなかったのだけれど、名作と言われているし物語に仕掛けがあるので、そういうのが好きな人にはいいのかもしれない。

短いので、気楽に読める。

退廃度★★
気軽さ★★★★

 

「宇宙からの色」 ハワード・P・ラブクラフト

ラブクラフトの小説の中で、一番好きな作品。

意味がわからないうちにどんどん周りが荒廃していって、訳がわからないまま何もかもがおかしくなって終わる。人間の小ささに絶望しか出てこない。ラブクラフトの話はほとんどそうだけれど。

「退廃」を求めるなら、ラブクラフトはおすすめ。

世界名作文学か?と言われると、少し微妙だけど。

退廃度★★★★
気軽さ★★★★

ラヴクラフト全集 4

ラヴクラフト全集 4

 

 

「西部戦線異常なし」 エーリヒ・レマルク

第一次世界大戦下のドイツで、学生の身で出征した少年の物語。反戦文学として有名。一緒に出陣した友人や古参兵士や上官、色々な人が出てくる。

いい奴もイヤな奴もいて、普通に笑ったり話したりしているのに、次の瞬間あっさり死んでいく。仲間たちが次々死んでいくのは日常のひとこまに過ぎず、主人公の心も、死に対して徐々に麻痺していく。

戦地から一時帰宅したときに、母親を見ながら「あなたが愛し育ててくれた自分は、人を当たり前に殺すような、前の自分とは違う「人ではないもの」になってしまった」と主人公が心中で慟哭するシーンは、読んでいて辛い。
人間をこんな状態にしてはいけない、とヒシヒシと感じさせられる。

退廃度★
気軽さ★★

 

「八百万の死にざま」 ローレンス・ブロック

同じジャンルならば「ロンググッドバイ」のほうが有名で「世界名作文学」にもそろそろ入れられるのではと思うけれど、「退廃度」ではこちらのほうが上なので入れた。

アル中の孤独な探偵が、縁があった売春婦を惨殺した犯人を探す物語。

 

主人公マット・スカダーの人生の行き詰まり感が、そのまま作品の行き場のない閉鎖感と息苦しさにつながっている。

白人の警察官が語る人種問題など、その場所で生きている人にしかわからない苦しさが重くのしかかってくる。

事件が解決してもまったく気が晴れないのが、この物語のいいところ。

退廃度★★★★
気軽さ★★★

 

行き場のない閉塞感や人間が持つ様々な悪性をそれぞれ感じられる作品なので、「暗い雰囲気にひたりたい」ときに、ぜひ読んでみてください。

 

モームのおススメはこちら。