「変な家」で有名な雨穴のYouTube動画を何本か見たので、感想のまとめ。
★【奇妙なブログ】消えていくカナの日記(17:54)
見た中では一番面白かった。
内容はシンプルで雨穴の話にしてはオチに捻りないが、むしろそこが良かった。
他の話は自分の好みからすると趣向を凝らしすぎなのかなあと感じた。
★とある一軒家で見つかった、不気味なビデオテープの真相 (49:00)
動画ではなくオモコロの記事で読んだ。
オチはツッコミどころが多いが、中盤までは安定の面白さだった。
★【ミステリー】人形に録音された、子供の声の謎(49:58)
これも面白かった。
オチが若干リアリティがないかなと思うが、全体的に見ると全然許容範囲。
子供の絵が小道具に使われているが、見ようによっては怖いということに気付いたところが凄い。
★異形の牢獄 (10:32)
だいたい想像通りの話。文章で読んだらそれほど面白くなかったと思うが、怪物のビジュアルが見ていて楽しかった。
★幻肢痛~十畳間の霊~ (11:30)
一番好きな話。
導入から謎の提示のしかた、オチまで含めて全て好み。
十分強のこういう小話がさっと思いついて作れるのが凄い。
★【最後の5分ですべてがひっくり返る】差出人不明の仕送り (58:48)
最新の話。
印象としては「不気味なビデオテープの真相」と同じで、発端から推測の過程、中盤の展開までは息をつかせぬほど面白いが、オチをそこまで捻らなくてもいいのではと思ってしまう。
「オチのためのオチ」に見えてしまうのだ。
ただそれも含めて十分面白かったので、謎解きモキュメンタリー好きの人にはおススメ。
雨穴の動画は、オチは若干自分の好みではなく腑に落ちないことも多い。
ただそれを差し引いても、導入部分の不思議さ、中盤の展開の面白さ、演出による吸引力が群を抜いている。
「謎系の話」は、オチ(謎解き)が合わなければ全てが合わなくなりそうだが、雨穴の話は「謎の提示」「謎解きの過程」の面白さだけで十分にお釣りがくる。
「差出人不明の仕送り」で栗原さんが、「犯人はストーカーではないか」という雨穴の推測を否定する場面がある。
その時に
「(犯人の動機がストーカーではないことは推測できるが、それ以上のことは何もわからない)ですので今の段階では犯人の動機は不明。わからないものはいくら考えても仕方ない。外堀から埋めていきましょう」(12:25付近)
と言う。
自分が雨穴の動画が、オチが合わないと思いながらも「面白い」と思うのは、この謎解きの過程が自分の感覚にピッタリ合うからではないかと思う。
以前、「事実の検証」とは、
事実のみの羅列→事実であるか否かの検証→全体像を組み立て→第三者が検証可能かどうか俯瞰→考察
この順番が、「事実に迫る」ことだ。
こういうものだが、順番が逆になっているもの、「先に自分の推測(結論)があって、それに合わせた事実のみを拾ってストーリーを作ってしまう。それが『謎解き』『考察』として流布していることが往々にしてある」と書いたことがある。
「創作」ならもちろんこれでもいい。
だがそれはあくまで創作(妄想)であって、事実の検証ではない。
雨穴の作る話は「お話」だが「お話の造り」はしておらず、「事実の検証風」になっているところが、モキュメンタリーとしての抜群の面白さにつながっている。
「謎解きモキュメンタリー」が好きな人にもしかしたら多いかもしれないが、自分も「未解決事件」が大好きで、一時期は色々なものを読み漁っていた時期がある。
だが判明している事実の検証が公的に進んでいたり、もう関係者がいなくなっている事件ならばともかく、まだ起こって日が十年単位でしか過ぎていない未解決事件だと、中傷めいた憶測も多い。
それこそ「面白い推測に合わせたストーリー」が、数多く流布されている。*1
自分も(当たり前だが)発言はしないけれど、そういうことを考えてしまうこと自体が嫌で見るのを止めた。
そういう自分からすると「事実の検証風・謎解きモキュメンタリー」を作ってくれる人、しかもそれが滅茶苦茶面白い人は、とてつもなくありがたい存在だ。
10月20日に出版予定の「変な絵」も凄く楽しみにしている。
1992年、山奥で一人の男性が遺体となって発見されました。
身体中には激しい暴行の跡があり、そして彼のポケットの中には一枚の絵が入っていました。ボールペンで描かれた山並みの絵。細かく折りたたまれた跡。そして、土の汚れ。
彼は犯人に関するある情報を伝えるために、この絵を描いたのです。
彼は一体、何を伝えたかったのでしょうか。
読んだ感想。
*1:これは本当に問題だと思う。