うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

哲学は「みんなが納得できる共通の原理」を、みんなで探すジャンルだったのか。

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↑をもう一度読み直して、学んだこと考えたことのまとめ。

この本を三回通読して、自分が勘違いしていた*1と気付いた。

この記事では、自分が「哲学とはそういうものだったのか」とわかったことを書きたい。

 

一番「なるほど」と思ったのは、哲学は宗教などとは違い、特定の属性や共同体を超えて「万人が普遍的に『確かにそうだ』と思う原理を、誰が一番うまく当てるかを競うゲーム」だと言うことだ。

皆が時代を超えてひとつのことを競っているプラスうまく当てるために、前の時代や同時代の人間の考えを前提にするなり一部借用するなり批判するなりして、自分の考えを述べている。

競いながら協力しながら対立しながら皆で「万人が普遍的になるほどと思う原理」を探しているのだ。

個々の思想を追うと「同じ対象」について話しているようにはとても見えないので、それぞれが全く違うものについて自分の思想を語っているのではないかと思ってしまうがそうではないらしい。

哲学の歴史を追うと「最初は前時代の〇〇に傾倒して、後から批判的になることが多いな」と疑問に思っていたが、皆が同じお題について自分の意見を言うからだと考えると「だからか」と納得がいく。

なので、基本的に通史(それまでの流れとなる前提や背景)を頭に入れた上で、自分が興味を持った人の考えを読んだほうが、わかりやすいし意義があるように感じた。

時代を超えてみんなが同じことを話しているので、途中からだと話がよくわからない。日常会話と同じだ。

 

「万人が普遍的になるほどと思う原理」を見つけようと思ったのは何故か。

それまで形成されていた宗教による世界観が行き詰まりをみせたためだ。

宗教と哲学の最も大きな違いは、宗教は特定の共同体の内部でしか機能しない「物語」であるため、万人が共有できない。対立する*2というよりは、そもそも(共同体の外に出てしまうと)共有する前提が存在しない。

そういう状態を解消すべく、万人にとって前提となる原理を見つけるための哲学が生まれた。

他に哲学と宗教が違う点は、宗教は前提となる教祖(神)の考えは絶対的なものであり、その解釈を争うだけだが、哲学は最初は傾倒した〇〇の考えに後から批判的になるように「原理そのものを争う」

「なるほど」とわかりやすかった。

「宗教は物語で、哲学は言語ゲーム」 竹田青嗣が語る「宗教と哲学の違い」がわかりやすくて面白かった。 - うさるの厨二病な読書日記

 

哲学は時代を超えて、ひとつのことを争っているので、時代背景による限界もある。

近代より前の時代の哲学者は宗教以外の世界観を生み出す原理を見つけようとしたものの、神そのものは否定することは難しかった。

近代の哲学者たちは人民による主権国家に理想を託していたけれど、今の時代から振り返れば個人と国家は対立する部分もある。

マルクスは資本主義社会のシステムに対抗する思想を生み出したけれど、その問題点は今の時代は歴史的に明らかになっている。

そういう時代背景を見ないで「その思想の問題点は実証済みである現代の視点」だけで批判的に見てしまうと、その思想の核となる部分を見落としてしまう。

そういう危険性があるということも語られている。(自分もやらかしがちなので反省した)

 

本書ではプラトンから始まって16人の哲学者の主な思想が、通史的に紹介されている。

哲学は主にプラトン、デカルト、ヒューム、カントなど「人の認識」をメインに探る流れと、ホッブスやルソー、ヘーゲル、マルクスなどによる国家はどうあるべきかという「社会構造」についてメインで語る流れに分かれている。*3

それがニーチェによって「主観ー客観」の構図そのものが破壊され、「人の認識の成立条件」に焦点が移る。

「認識(確信)の成立条件」を突き詰めるうちに、フッサール、ヴィトゲンシュタイン、ソシュールなどの思想を通して「個人の認識と社会との間で相互作用する関係自体が、社会を駆動する力なのではないか」という発見がなされる。

ソシュールが言語学において発見した言語の構造が、そのまま数多の社会モデルに適用できるということで構造主義が生まれる。

その個人の認識も社会からの影響ですべて構成されているのではないか、という指摘がポスト構造主義*4によってなされる。

本書には載っていない有名な哲学者も数多いるので、もの凄く(もの凄く二回言う)ざっくりしたものだが、全体の流れはこう理解した。

これを頭に入れた上で、興味がわいた人の本を読んでみようと思う。

 

竹田青嗣はフッサールから哲学に興味を持ったというだけあって、フッサールの紹介が凄く面白かった。

これ↓が積読しているので読んでみようと思った。

*1:かどうかはわからないけれど、とりあえず自分ではそう思った。

*2:批判の応酬があるように哲学も対立はもちろんある。

*3:両方語っている人もいるが、その二つをバラバラに語っている。

*4:余り興味がわかない。