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うさるの厨二病な読書日記

生涯中二の着ぐるみが、本や漫画、ドラマなどについて好きも嫌いも全力で語ります。【ネタバレ前提です。注意してください】

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【ザ・ノンフィクション】「しっくりくる生き方」が、まったくしっくりこなかった。

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2017年2月12日にフジテレビで放送された「ザ・ノンフィクション」は、性同一障害を持ち、地下アイドルになることを夢見て、借金を背負い極貧の生活を営む、大浦きららさんの物語だった。

 

きららさんのおかれている状況は過酷

きららさんが現在おかれている状況は壮絶だ。

39歳で、400万円以上の借金を10年前から返済し続けている。

仕事は一日7,000円の解体業。

返済額を差し引くと、手元にはいくらもお金が残らない。

家は、家賃約3万円の風呂なしのアパート。ガスが通っていないので、三日に一度くらいの割合で、真冬でも水で行水する。

余りにお金がないので、食事は鳥のエサ用に販売されている格安の米を買い、それを食べて生活している。

父親が厳しく、きららさんの性同一障害を認めなかったため、家族とは絶縁している。

借金は友人に貸すなどのために借りたものだが、返してもらえなかった。

「お金を返してもらえないことの辛さ」が身に染みているため、債務整理はせず、何としても借金を返したいと言う。

そんなきららさんは、地下アイドルになることを夢見ており、ライブにも出演している。

 

最初の状態を聞くだけで余りに過酷で目まいを起こしそうだが、番組が進むにつれてさらなる苦難が振りかかる。

職場で怪我をしてしまい、一か月働けなくなる。日給だから、その間収入はないし、おまけに以前よりも働けないからと、給料を7,000円から5,000円に下げられてしまう。

追いつめられたきららさんは、性体験がまったくの未経験にも関わらず、ヘルスの仕事に応募する。

しかしこれは、未経験であることと年齢を理由に落とされてしまう。

次に深夜のショーパブの仕事に就く。仕事内容は、とにかく高級な酒を飲みまくり、場を盛り上げること。日当一万円。

 

ナレ「飲めば飲むほど売り上げに貢献します」

 

いや、それって……と突っ込みを入れたくなるが……。

とりあえずきららさんが給料をもらうとき、店長が全裸で紙オムツをはいた姿であることに凄まじい闇を感じる。

フィクションなら、これが伏線なんだろうと思うところだ。

 

夜の仕事を始めてしばらくして朝起きられなくなり、昼間の仕事を無断欠勤してしまう。

そして、薬を大量に飲んで自殺未遂をはかる。

 

「しっくりくること」だけを選び続けることが、「しっくりくる生き方」ではないと思う。

もちろん、人の生き方は本人が決めるものだし、本人がそれでいいと言うのならばこちらが口を出す筋合いはない。

「しっくりくること」を選び続けた結果が、鳥のエサを食べるまで困窮することだったり、ヘルスの面接を受けることだったり、深夜のショーパブで高級な酒を飲みまくる仕事をすることだったりで、

「それが自分にとって、しっくりくる生き方なんです」と言うのならば、本人が決めることなのでそれはそれでいいと思う。

 

「でも結局、行きついたところがしっくりこなかったから、自殺未遂をするまで追いつめられたんじゃないの? しっくりきているのであれば、死のうとは思わないんじゃないの? それとも自殺を考え実行することまですべて含めて『しっくりくる生き方』なの?」

厳しい言い方かもしれないけれど、そう思ってしまう。

 

「しっくりくる生き方」というのは、人生の総体として決めるべきことであって、部分ごとに「しっくりくる、こない」という感覚で決めたことを積み重ねたものではないと思うのだ。

「しっくりこないこと」をこなしながら、全体として「しっくりくる人生」を目指す。それが「しっくりくる生き方」ではないか、と個人的には思う。

 

誰だって、生きていくうえですべて「しっくりくること」を選ぶことはできない。

 

「しっくりくる生き方」を目指しその生き方を貫くならば、「しっくりこないこと」をやる覚悟が必要なんじゃないないか、そう思う。

 

その場その場で、先のことを考えず「しっくりくること」を選び続けることを指して「しっくりくる生き方」と言う。

本人がそう思いそう生きるのは、もちろん構わない。

そういうきららさんを見て励まされる人もきっといると思う。(実際、たくさんの反響があったようだ。)

でも、見ている身としては、本人が本当に「しっくりきている」のか疑問に感じたし、色々なものが絡み合って、それを必死でほどくように生きてきたのだと思えるようなきららさんの生き方を「しっくりくる生き方」という言葉でまとめる番組の姿勢に、疑問と後味の悪さを感じた。

 

ナレ「こんな風に生きていくのも悪くないな、そう思える気がしました」

 

……。

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