「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」の三角関係について考えて見ました。
前回(マァム編)からの続きです。
次は、当然のようにヒュンケルはマァムのことが好きなんだろうか? という疑問がわきます。
作中では、マァムがヒュンケルのことを好きかどうかはたびたび言及されるのですが、ヒュンケルがマァムのことを好きなのかどうかは、誰も言及しません。(絡み辛いから???)
ヒュンケルに告白したエイミですら、ヒュンケル自身に対して「マァムが好きなのか」と聞いたりしません。
ヒュンケルは戦いの場以外ではほとんど自分の感情を口にしないため、周りの人間も今いち気持ちを把握できないようです。(というよりは、しようとすらしない。)
ヒュンケルが独白などでマァムのことを思う描写があるので、これを基に検証を行いたいと思います。
ヒュンケルがマァムのことを思う描写を見ると、
「聖母だ(!)」と言ったり、「慈愛の天使(!!!)」
と言ったり、恋愛より,もっと崇高な感覚でマァムを見ている印象です。
もともとヒュンケルは5巻で倒されたときも、マァムの膝枕&涙で改心したような描写がありましたから、マァムに人生を変えられたと言っても過言ではないでしょう。
感覚としては、宗教に近いのではないかと思います。
ただ、「ヒュンケルのマァムに対する気持ちは、女性に対するというよりは、崇高なものを崇拝する感情に近い」と考えとき、ちょっとひっかかるセリフがあります。
バーンパレス突入後、ヒュンケルがマァムをポップのところへいかせたとき、前述の「慈愛の天使よ」から続く独白の最後で、ヒュンケルは「俺ではお前を幸せにできない」といいます。
マァムと違い、ヒュンケルは無私ではありません。
ここで「俺」がでてきます。
「幸せにできない」というセリフを言うということは、「幸せにしたい」という気持ちが根底にあるということです。
「幸せにしたい」という気持ちが前提にあるからこそ、それを否定するために「幸せにできない」という言葉を言うわけです。
ということは、否定する前の気持ちは「俺がお前を幸せにしたい」ということです。
これは正に、男性が愛する女性に向かって言う言葉です。
ヒュンケルはマァムのことを女性として愛しているのですが、自分の過去の過ちがあったり、マァムが自分に向ける感情が自分がマァムに向ける感情とは違うものであることが分かっているので「自分自身のための愛を見つけてくれ」と言って、彼女の背中を押すのです。
この三角関係の真の姿は
「ポップとヒュンケルに愛されながら、まだ誰かを好きになったことのないマァム」
というもです。
3人の関係がその後、どうなるか最後まで書かれていません。
話の流れ的にはマァムはポップとくっつくのではないかと思います。
心情的には、ヒュンケルとマァムに幸せになって欲しいのですが、(「俺ではお前を幸せにできない」というセリフは、グッときます。)マァムの心の流れを追っていくと成長したポップと一緒になるのが、自然ではないかと思います。
そして、ポップとマァムの間に生まれた子供に剣術を教えるヒュンケル。
そうなるのが自然かなという気がします。
改めて書いていると、「ダイの大冒険」って大人な話だよなあ。
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ごめん、メルルの存在を忘れていた(・∀・)