PS1のゲーム「ムーンライトシンドローム」の考察記事です。
前回第四回「浮遊」はコチラ↓
「電破」
ミカがユカリと一緒にクラブのイベントに行ったあと、耳鳴りが止まらなくなる話です。粗筋を書いても、意味が分からないな。
翌日の学校でも耳鳴りが止まらず、人の心の声が聞こえたり、同じ時間を繰り返したりします。
次話の「開扉」の予告のようなお話ですね。
話の作りや雰囲気が好きなので、次話の「開扉」よりも、この話を作りこんで欲しかったです。残念。
夢から覚めてもまた夢で、何が現実で何が夢か分からなくなるって怖いですよね。
「開扉」
話の意義としては、ずっとウダウダ言っていたリョウが、やっと腹をくくる話だととらえています。
アリサの夢は、「ムーンライトシンドローム」の世界の成り立ちを表しています。
世界は途切れることがなく循環し続けている。
途切れることがなく永遠に続く世界を見守ったり、世界の矛盾を飲み込む損な役回りの人がいるからこそ、世界は成り立っている。
リアルで「損な役回りの人」として存在しているのが、リョウでありミトラなのでしょう。
彼らが人知れず、世界の矛盾と向き合っているから、世界は成り立っている。
矛盾がなければ世界は成立しないので、その人たちが矛盾を全て引き受けている。
でも、世界の人たちはそれを知らないのです。
ミトラはミカに、人の心の声を聞かせて、人間の醜さを教えるわけです。
ここは、本当にうんざりします。
今まで語ってきたことに対して、余りに安易で分かりやすすぎないかと思います。
過去に、何千回と色々な創作物で、使い古された手を使うんですか、と。
もうやめようよ~~。
「人の心の中を見れば、人が本当は醜い生き物なのが分かる」っていう論法は。
こういう安易なことを言うから、厨二がバカにされるんだよ~~。
真の厨二はもっと深く複雑に人をとらえます。(きりっ)
その人間の本質は、「いま現在、その人が考えていること」では分かりません。短時間で流れていく思考に、その人の本来の姿が反映されるわけないでしょう。
「心の声=本当のこと=人間は醜い」
この理屈が許されるのは、少年ジャンプの世界だけだ。
ミカって、何にでも騙されやすそう。
将来、ネズミ講のすばらしさを語ったり、ツボを売ったりするようになるのだろうか。
リョウもなあ、
自分は静かな生活のほうが性に合っている。
でも、なんだかんだ言って、ミカを助けにくる。
それは何故なんだ? 他人のことなんて関係ないじゃないか?
キョウコ、俺はどうすればいいのか教えてくれ。
俺にできること、ミカを助けること。
だから、助ける。
「好きな女を守る」というただそれだけのことをするのに、ここまで色々考えなければならないものですかね。
頭でっかちな男は、何をやるにしてもだいたいこのターンが必要みたいですね。(頭で納得しないと、身体が動かないタイプ。)
川谷絵音みたいに、脊髄反射だけで動く人も困りますけれども。
ちょうどよくは、いかないものですね。
ミトラが
「ボクが何もしなくても、悲しい結末を迎えるよ」
と言っていましたが、激しく同意します。
何も考えていなくて、人から言われたことを頭から信じ込んじゃうミカと、肝心なことは何も言わないで、頭の中ではぐるぐるぐるぐる思考が回っているリョウとでは、うまくいく絵面がまったく見えないです。
コミュニケーションって大事だな、ということを分からせてくれます。
次回は「慟悪」です。