うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

【ネタバレあり】「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序・破」を観た雑感。

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Amazonプライムビデオで会員特典になっていたので、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」と「破」を見た。

「Q」は見ていないので、とりあえず二作見た雑感。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
 

 

誰も同意してくれないと思うけれど、自分はテレビ版、旧劇場版は、ゲンドウが主人公の物語じゃないかと思っている。

「旧版エヴァンゲリオン」は、ゲンドウの抱えている問題がそっくりそのままシンジに反映していて、それがそもそも人が人であるがゆえに内包している問題だという話なのだろう、という風に見ていた。

 

息子とさえうまく触れ合う方法が分からず、妻は(そういうつもりはないけれど)都合よく扱ったため、最終的には息子のほうを選ばれてしまう。

父親=自分にとっての最初の他者・ゲンドウがそういう問題を抱えているがゆえに、息子のシンジは世界と上手く向き合えない。

母親(レイ)と融合することで「他者」という概念がない世界に逃れようとしたけれど、結局は自分のことを「気持ち悪い」と感じる他人(=アスカ)と生きていくために、「自分」として生まれなおす。

という話だと解釈している。

 

「エヴァンゲリオン」という物語の一番の特徴と問題点は、シンジが内省せざるえないほど「大人」のキャラが「大人として機能していない」という点だと思っている。

シンジは14歳の思春期なのであの状態はむしろ普通なのだけど、「エヴァンゲリオン」という物語の中では、あの状態を受けとめられる大人がいない。(ミサトはかなり頑張っているが。)

ゲンドウはシンジに対して冷たいのではなく、「親としてどう機能していいかが分からない」

「逃げている」のはシンジではなく息子とすら向き合わないゲンドウのほうで、この親子はそっくりだな、というのが旧版を見た感想だった。

最初に見たときは、どうしてこんなに「大人が大人になれないのか」不思議だったけれど、自分が大人になると……人のことは余り言えない……。

 

物語のテーマが、旧版の「他者との関係」という普遍的で、だからこそ若干ぼんやりしたものから、「親子関係」「少年の成長譚」に移り変わっている。

登場人物や筋は大幅に変わっているわけではないのに、まるで別の話になっている。

そのことに驚いた。

 

特に「破」のラストのほうでシンジが「僕はエヴァンゲリオン初号機のパイロットです」と自分が明確に何者かを発言したことは衝撃的だった。迷いの中で、自らのアイデンティティを獲得していく、オーソドックスな成長譚になっている。

ミサトがシンジに向かって叫ぶ「誰かのためじゃない。あなた自身の願いのために」というセリフは滅茶苦茶陳腐だが、「エヴァンゲリオン」という話では革命的なセリフだ。

「旧版エヴァンゲリオン」は、この「誰か」と「あなた」の違いを傷つかないためになくしたい、ということを延々とやり続けていた話だからだ。

旧劇場版の最後でようやく、「気持ち悪い」という言葉を投げつける他人がいる世界で「他人ではない自分として」存在することを選んだ。

 

「誰かのためじゃない。あなた自身の願いのために」

 

旧版で延々とやっていたことを、言い古された少年漫画の言葉みたいなセリフで総括した、ということが(控えめに言って)かなり驚きだった。

 

旧版では、「誰か」と「私」が分かれた世界は傷つく、例え息子でも「誰か」との接し方は分からなかったゲンドウが、新劇場版ではレイの誘いを受けて食事会に参加しようとし、シンジの怒りを受けとめ、なおかつ「大人になれ」と訓戒まで吐いたことにも衝撃を受けた。

10年以上たって、ついにゲンドウは「大人」に、「親」になった。

ゲンドウが自分とは異なる価値観を持つ「親という他人」になったからこそ、シンジも「自分」を獲得することができた。

誰かのためじゃない、シンジ自身の願いとして、世界がどうなろうと綾波だけは救い出すと言い、現に救い出した。

 「エヴァンゲリオン」という作品自体が、大人に成長している。

 

「自分以外の他者と共存していく大人」になった「新劇場版ヱヴァンゲリヲン」にとって、アスカは「最初の他人」ではなく、たくさんいる他人の一人=友達になった。

だからテレビ版のトウジの役割を代替した、というのは話としては分かるのだが、アスカファンである自分にとっては少し残念だ。旧劇場版の、ただ自分が存在するためだけに敵を殺戮しつくすアスカには痺れた。

これも「自分以外の他人を殺すことで、自分を存在させる→他人からの攻撃で瀕死」から、「他人と共に生きることを選ぶ」に変化しているのだと思うが、「Q」ではアスカ個人の葛藤の落としどころも見たい。

 

旧版とどっちがいいか、というと正直まったくの別物に見えるので比べづらい。物語の内容だけで言えば新版のほうが好みだ。

旧版のテーマはいまいち共感しづらかった。「他人がいると傷つくから、自他の境界をなくせばいい、というのは、ちょっと繊細すぎないか」と思っていたので、新版は「大人」になっていて良かった。

 

ただまだ「Q」を観ていないので、先のことは分からない。

プライム特典になったら見よう。(せこい)

「シン・エヴァンゲリオン」は、「Q」が面白かったら観に行こうかな。

使徒、襲来

使徒、襲来

 

 懐かしのテレビ版。