2020年3月19日午後7時に行われた「新型コロナウイルスによる感染症に関する第八回専門家会議後の会見」の動画を見た。
動画を見て自分なりの理解と雑感をまとめたくなったので書いてみた。
NHKが全文やまとめを出しているので、正確な情報が知りたいかたはこちらや厚生労働省のホームページを確認して欲しい。
2時間とかなり長いので尾身茂副座長が話した36分で、ひと区切りした。
- 専門家会議の提言で、自分が理解したこと簡易まとめ
- 動画のまとめと雑感
- (2:00)専門家会議が最も重要だと思っていること及び今回の提言の目的
- (3:12)対策の三本柱について
- (4:23)クラスター対策における二つの課題
- (5:27)北海道の感染状況と感染対策について
- (6:42)国内の現況の問題と対策について
- (9:06)国内での対策の効果について
- (10:15)重症化する患者について
- (11:15)今後の見通し
- (12:45)人口10万人の都市で、もし三つの仮定が重なったらシミュレート
- (14:29)地域ごとに準備が必要な医療提供体制
- (15:18)地域ごとの対応に関する基本的な考えかた
- (17:15)学校等について
- (19:36)政府への提言
- 各地方公共団体への提言
- (23:10)受診・入院・退院の方針について
- (26:46)市民及び事業者への提言
- (31:42)大規模イベントの取り扱いについて
専門家会議の提言で、自分が理解したこと簡易まとめ
提言は「オーバーシュートによる医療崩壊を防ぐため」に行われている。
医療崩壊が起これば、人工呼吸器が足りなくなり、助かる命も助けられなくなる。
「オーバーシュート」がもしおこれば、医療崩壊を防ぐために都市封鎖(ロックダウン)を行わざる得ない。
そういう事態にならないよう、国民の皆さまにできることは「三つの条件」が同時に重なる場を避けることである。
「オーバーシュートによる医療崩壊」「ロックダウン」を起こさないために、「三つの条件が同時に重なる場」を避けてもらうよう、重ね重ねお願いする。
(1)換気の悪い密閉空間
(2)多くの人が密集
(3)近距離での会話や発声
現在の状況、感染症対策がうまくいっているかは「新規感染者の増加数」が判断材料になる。
一人の患者が二次感染者を生み出す「実効再生産数」が1以下になれば、新規感染者数は日を追うごとに減っていくはずであり、新規感染者が出なくなった期間(他の専門家の話だと、一般的には四か月程度が目安だそうだ)がある一定程度続いた段階で感染症が収束したと判断する。
動画のまとめと雑感
以下は動画時系列でのまとめと感想。
黒字がまとめで青字が雑感。
(2:00)専門家会議が最も重要だと思っていること及び今回の提言の目的
気付かないうちに町の中に感染が広がり、ある日突然、爆発的に患者が急増する。これを「オーバーシュート」と呼ぶ。
オーバーシュートが起こると、適切な医療の提供ができなくなる。
今回の提言は、そうした医療事態(オーバーシュートによる医療崩壊)を防ぐために行われる。
専門家会議の提言の目的は、あくまでオーバーシュートを防ぐことにある。
それぞれ色々な事情もあり、自分も経済についてすごく心配しているが、とりあえずそれは専門家会議では考慮には入れずに、純粋に感染症対策にのみ焦点を当てている。
(3:12)対策の三本柱について
3月11日にWHOによって、現況は「パンデミック」であるという見解が出された。この見解によって、日本の対策は特に大きな変化はない。
対策は今まで通りの三本柱でいく。
三本柱とは
①クラスターの早期発見・早期対応
②患者の早期診断、重症者への集中治療の充実(医療体制の充実)
③市民の行動変容
この三つの対応を必要に応じて強化したり、状況に応じて変化させたりしていくことを維持していく。
市民の行動によって、感染者を増やさない。大規模感染の引き金となるクラスターを早めに見つけて感染源とさせない、感染してしまった人への対応を適切に振り分ける、という感じかな。
(4:23)クラスター対策における二つの課題
クラスター対策に関して、二つ課題がある。
①国や地方自治体に、クラスター対策の指揮を執る専門家が少ない。
②帰国者相談センターへの過重な負担、それによる現場の疲弊
今までにない状況なので、対応できるシステムがない、既存の一部のシステムに負担が大きく偏ってしまう、のは想像できる。
オーバーシュートが起こる前に、ここで現場崩壊が起こってしまう危険もある。
(5:27)北海道の感染状況と感染対策について
北海道は2月28日に緊急事態宣言を出した。
・週末の外出の自粛
・大規模イベント開催の自粛
・一斉休校
結果、緊急事態宣言前の2月27日、28日は、50名以上の新規感染者数だったが、直近の数日は、新規感染者数が0名ないし5名以下だった。
この結果から、緊急事態宣言は一定の効果があると判断した。
検査基準を変えているのでなければ、この結果は素直に良かったと思える。不安や我慢を強いられている人が多いだろうから、これで「効果はなし」だとガックリきてしまう。
効果があったのなら、どんなことを避けたほうがいいのかがある程度見えてくる。
(6:42)国内の現況の問題と対策について
現在の国内の感染者数の増加状況については、
・都市部を中心に漸増している
・高齢者施設などで集団感染が見られる。
国内の感染者の状態を測るのに参考となる数値は、「実効再生産数」。(一人の感染者が二次感染者をどれくらい出すかの数値)
この再生産数を「1」より下回っていると、感染者数が減っていくと考えることができる。
この実効再生産数は3月上旬から「1」より下回り続けている。
現在、問題視しているのは、クラスターとのリンクがわからない感染者(=孤発例)。
孤発例は、感染の実態がつかめず対応が打てないため、オーバーシュートにつながる危険が高い。
この後、頻繁に出てくる「孤発例」が登場。
クラスターが出現している地域と孤発例が出現している地域では、対策が違う。というより、孤発例はクラスター以上に対応が難しい……というのは、素人でも何となくわかる。
(9:06)国内での対策の効果について
・孤発例は、都市部を中心に微増
・新規感染者は若干減ってきている。
この結果から、対策は一定の効果があがっていると考えている。
現在の懸念材料は
①海外からの流入
②孤発例
「実効再生数が1を下回っていれば、新規感染者数は徐々に減っていくはず」なので、新規感染者数が指標として重要なのがわかる。
新規患者数の増減は、NHKのサイトのグラフで見れる。
昨日3月20日は、久しぶりに50人を超えてしまった。(54人)
上下がありながら少しずつ減らすことを狙っているのだろうから、一日の数字にいちいち一喜一憂しても仕方ないとは思うものの、早く収束して欲しいと思うので、つい「増えたか…」と思ってしまう。
(10:15)重症化する患者について
3月18日までで死亡者数は29名。
入院における死亡者数の割合は低く抑えられている。
死亡者を出さないためにも、医療崩壊をしないよう考慮を続けなければならない。
29名亡くなっているのはやはり重い。医療崩壊が起これば、もっとたくさんの犠牲者が出るし、助けられない命が増えてしまう。
「医療崩壊を起こさない」
亡くなる人を減らすために、この目的が大事と再確認する。
(11:15)今後の見通し
この感染症対策の難しさは、オーバーシュートを予見できない点にある。
オーバーシュートがもし起こったら、都市の封鎖(ロックダウン)をせざるえない。
(12:45)人口10万人の都市で、もし三つの仮定が重なったらシミュレート
仮定①ヨーロッパのような大規模流行が起こる。
仮定②①に関わらず、ロックダウンをしない
仮定③実効再生産数がドイツ並みの2.5である。
この場合、50日めの新規感染者数は5414名になり、最終的には人口の79.9パーセントが感染。
これの何が問題か? 人工呼吸器が足りなくなる。
今回、一番「なるほど」と思ったのはこの部分。
何も措置を取らなければ、人口の8割が感染する、というのは衝撃的だった。
今朝の読売新聞で名古屋市の病院長らが「市南東部の医療機関に過度の負担がかかっている。入院患者の広域的な振り分けをお願いしたい」という要望書を市長宛に提出した、という記事が出ていた。
今の段階ですら、破綻しかねない現場が出てきている。
広域的な振り分けができない状態になったらどうなるか?
ということにならないために、オーバーシュートが起こったら都市封鎖をせざるえない。
都市封鎖をせざるえない状況を避けるために、一人一人が感染源にならないようにしてください、そのためには休校などの措置を取るけれど、都市封鎖を避けるためにお願いします、と言われれば、大変だけれど今は仕方ないと納得できる人も多いと思う。
少なくとも自分はこういう風に説明してくれれば「そうか」と思う。
オーバーシュートが起こったら、都市封鎖せざるえない。実際にヨーロッパではそういった措置をとっている場所がある。一斉休校どころの騒ぎですらなくなる。
そうならないようにこうしてください、お願いします、というのが今回の提言と理解した。
(14:29)地域ごとに準備が必要な医療提供体制
感染者が少ない今の内に、この感染症の治療が受けられる医療機関の設置が急務。
(15:18)地域ごとの対応に関する基本的な考えかた
感染状況に応じて地域を三つに分ける。
①感染状況が拡大傾向にある地域
蔓延の恐れが高い段階にならないよう、一律自粛の方向で検討したほうがよい。
②感染状況が収束に向かっている地域、一定程度に収まっている地域
人の集まるイベント、三つの条件が同時に重なる場は徹底的に避ける。
そのうえで感染リスクの低い活動は、自粛を解除してよいのでは。
③感染者が確認されていない地域
学校における活動、屋外スポーツについては実施してよい。
「三つの条件」
専門家ではない個人ができることは、この「三つの条件」が重なる場所を避けて、感染しないようにするくらいしかない。
そのひとりひとりの行動や努力が「実効再生産数」を下げ、オーバーシュートを防ぎ、ロックダウンしなくてもよくなり、平穏な生活を取り戻すためにできること、ということになる。
自分が住んでいる地域は恐らく①なので、今まで以上に気をつけます。
(17:15)学校等について
①感染状況が拡大傾向にある地域については、一定期間の休校も考慮して欲しい。
(19:36)政府への提言
①地域でクラスター対策を指揮する専門家を支援する人材の確保
②地方公共団体間が連携することで、感染者の情報をそれぞれの自治体がリスクアセスメントに活用できるシステムを作ること。
③保健所が大規模なクラスター対策に専念できる人員と予算の投入
これは病気の実態が分かるわからない以前から、できることだと思うが…。今頃、提言に盛り込まれているのを見ると大丈夫か、と思ってしまう。
どの行動がどれくらいリスクがあるか、ということを提示することは、経済にとっても大事だと思う。
箇条書きで例示を出してくれれば、地域の感染状況によってもリスクの高低を判断できるし、アナウンスもできる。それによって経済活動と感染症対策をバランスをとってやっていくこともできるのでは。
各地方公共団体への提言
①「三つの条件が同時に重なった場を避ける必要性」について、もっと周知、啓発して欲しい。
②重症者を優先する医療体制の構築
一般医療機関のうち、どの機関が感染者を受け入れるか、今から決めておいて欲しい。
「三つの条件が同時に重なった場を避ける必要性」
ここにすさまじく力がこもっていた。
この条件を注意深く避けていても感染してしまった事例もあると思うけれど、とりあえず提言として繰り返し出てきているので避けよう。
(23:10)受診・入院・退院の方針について
①重症化のリスクの高い人(強いだるさ、息苦しさを訴える人・高齢者・基礎疾患を持つ人)は、早めの受診を。
②入院の必要のない軽症者、無症状の陽性の人は自宅療養のうえ、電話で健康状態を把握する。家族内感染を避けるために、別の施設での宿泊が望ましい。
③入院していた人が退院可能になった場合は、退院して②の状態へ。
「別の施設で宿泊が望ましい」のはわかるけれど、入院の必要はないけれど看病が必要な場合とか子供が感染してしまった場合とか、どうすればいいのだろうと思うケースがある。
あくまで「感染を防ぐ観点からの提言」なので個別条件については、当事者で考えほしいというのはわかるけれど。
(26:46)市民及び事業者への提言
①「三つの条件が同時に重なる場を避けること」
②感染者、濃厚接触者、医療従事者に対する差別は許されない。誰もが感染する可能性がある。
「三つの条件が同時に重なる場を避けて感染者にならないように気をつける」
「差別という病の病原にならないように気をつける」
「感染も差別も広げない」という気持ちを持つことが、元の生活に戻るために自分たちができることかな。
(31:42)大規模イベントの取り扱いについて
大規模イベントの自粛についてのみの、効果測定は難しい現状を踏まえて、主催者の慎重な判断にゆだねる。
ここは言いかたがそうとう曖昧だった。
「できれば行わないで欲しい」という気持ちは何となく伝わってきたが、イベントに携わる仕事の人には死活問題だから自粛を強制もできないという雰囲気だ。
とりあえずここまで見た。