先日、友達から
「仕事関係の人が、綾辻行人の作品を初めて読んで面白かったって言っていた。読んでみようかと思って、うさるが好きだって言っていたのを思い出した。おススメの作品ある?」
というlineがきた。
一瞬でテンションのメーターが振り切れた。
よくぞ聞いてくれた、ありがとうありがとう。
せっかく聞いてくれたんだ。
好きの熱量Maxボルテージ全開でおススメして、ドン引きされるのだけは避けなければならない。(経験則)
ここは、冷静に厳正に吟味して最適解を出さなければ。
まず友達について考える。
友達は本をよく読むが、ほとんどが仕事関連の本か実用書。
フィクションは余り読まなかった……が、頭も気持ちも動くところが好きで最近読むようになった、と言っていた。
恩田陸と有川浩が面白かったと聞いた。
ミステリーはたぶんほとんど読まない。
とすると、オーソドックスで読みやすいものがいいのでは、と思う。
話を聞いた限りでは、青春ものや恋愛ものが好きなようだ。
「Another」はどうだろう?
実写映画化、アニメ化もされているので、綾辻行人の作品の中では一番認知度が高そうだ。
ホラー要素、ミステリー要素もあって二度おいしいし、中学生のクラス内の出来事なのでたいていの人が雰囲気をつかみやすく感情移入しやすい。
ここまで深刻な現象ではなかったけど、小中学生のときクラス内学年内の独特のルールとか雰囲気とか七不思議とかあったよな~と懐かしい。
ただ「Another」は面白いけれど、純粋なミステリーとは言い難い。
自分の中で綾辻行人の最高傑作と言えば「霧越邸殺人事件」
事件そのものも面白いし、舞台となる霧越邸の謎めいた美しさが魅力だった。
ただトリックが変則的なのと、単発の話なので、「面白いから他の作品も読みたい」となったときに導線の引き方が不親切かもしれない。読んでハマればいつかたどり着くし、最初に読まなくてもいいかも。
親しみやすいキャラがいたほうが、最初のとっかかりとしては入りやすそうだ。
ただ殺人方程式の飛鳥井兄弟は余り好きじゃない。すみません。
とするとやっぱり館シリーズか。
一番すすめたいのは、館シリーズ異色で偏愛している「人形館」
ただ「人形館」は、前三作を読んでいたほうが絶対楽しめる。
「ふんふん、こうこうこうきて、え? えええ?!」
みたいな感じが楽しいから、初めて読むのが「人形館」というのはどうなんだろう?
これ一作でも十分面白いけれど、やはり「館シリーズ四作目」として読んだほうが楽しいのは間違いない。
とすると「十角館」かな。
いやいやここはちょっと攻めて、「殺人鬼」はどうだろう?
オチは賛否両論あるけれど、自分はけっこう好きだ。
いやダメだ、そもそも自分が頑張っても最初と最後だけしか読めなかったのに。
スプラッタは好き嫌いが激しいから危険だ。やめよう。
とするとやっぱり「館シリーズ」のどれかだ。
館シリーズのひとつの到達点である「暗黒館」も好きだけれど、最初に読むには少し長いかもしれない。
「迷路館」も館の不気味さと話のわかりやすさからおススメだ。
あとは「館シリーズ」の中で一番だと思う「時計館」か。
悩む。
無理にとは言わないけれど、この一作で綾辻作品にハマって欲しい。
館シリーズはぜんぶ読んで欲しい。
どれだ、どれなんだ。どれが正解なんだ。
五分後。
「どれも面白いけど(←重要w)、デビュー作の『十角館の殺人』か、評判がいい『時計館の殺人』がおススメ!」
五分後。
「読んでみる。ありがとう(スタンプ)」
というわけで、綾辻作品を初めて読む人への自分のおススメは、「十角館の殺人」と「時計館の殺人」です。
異論は認めます。
漫画も面白かった。