*ネタバレあり。
懐かしい。
もう一度見たくて、ずっとアマプラ対象にならないかと思っていたら、BSで7月1日(水)に放送されるそうだ。
「後宮小説」との出会いは、うちの親が仕事関係の付き合いで「第一回日本ファンタジーノベル大賞」で大賞になった「後宮小説」と優秀賞になった「宇宙のみなもとの滝」がセットになって装丁された本をもらってきたことがきっかけだ。
「宇宙のみなもとの滝」は、たしか劇中劇っぽい話で読んだと思ったけれど、内容を忘れている。
「後宮小説」は面白くて繰り返し読んだ。
前にこの話が出たときに「雲のように風のように」がいいのでは、と思った。作者が男でかなり古い話だけれど、パトレイバーや攻殻機動隊が理想ならいいだろう。
「後宮」が舞台だけれど、皇帝はほとんど何もしないし、主人公銀河の成長譚がメインだ。
イチ推しは今も昔も変わらずセシャーミンだ。江葉も好きだけど。
反乱軍と戦うときに「暇だから残った」と言われたときは、銀河ならずとも「友よ」を(「荒ぶる季節の乙女どもよ」を参照)やりたくなる。
昔からこういう気が強くてツンツンしていてわがままで意地悪そうなのに、ギリギリのところで(←大事)いい奴という女性キャラに弱い。
原作で一番印象的だったのは、江葉の故郷の結婚の習慣だ。
「年頃になると親が娘に村の男を通わせて、娘もよほど嫌じゃない限り断らない。子供ができたら、通った男の中から娘が自由に婿を指名できる。その相手と夫婦になる」だったかな。
妻問い婚に似ているが、「通った男の中から娘が指名した男が婿になり、父親にもなる」というところが徹底している。
これはこれでいい習慣では、と思った。どこかにモデルになる習慣があるのかもしれない。
「後宮小説」の面白かったところは、自分が生きている現代の日本にはなかったり、考えられなかったりする風習や習慣が世界観として確立していたところだ。
もうひとつは銀河の生きざま「三食昼寝付きにつられて後宮に入り、自分がそれまでの人生で縁のなかった人たちと交流し、縁のなかったことを学び、自分が根付いた場所に縁を感じて、反乱軍と皇帝と後宮を守るために戦い、戦いが終わったあとはその運命を受け入れ、市井で生きた」という生命力と逞しさが好きだった。
正妃になったとたん国が滅び、夫である皇帝は処刑される話だけれど、悲壮感のようなものがまるでない。
大人になった今のほうがより、運命を受け入れることは流されることでも負けることでもない、そこに根付いて生きる強さを持つ銀河の生きざまがカッコよく思える。
「後宮」「反乱」「国の滅亡」という言葉からは想像がつかない、前向きに生きる力に満ち溢れた話だった。
原作とアニメとどちらが好きかと言われると難しい。自分の中ではお互いがお互いを補い合っているので比べられない。
原作も久しぶりに読みたいな。